サルモネラで「コストコ」が鶏肉製品を回収

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.21(2013.10.16)を発表した。

注目記事

【USDA FSIS/US CDC】鶏肉製品で抗生物質耐性のあるサルモネラ汚染

 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、「コストコ」El Camino Real店(カリフォルニア州South San Francisco)がサルモネラ(Salmonella Heidelberg)汚染の可能性がある鶏肉あぶり焼き製品9043ユニット(約18t)を回収していると発表した。回収対象製品は、「Kirkland Signature Foster Farms」ブランドの鶏肉あぶり焼き8730ユニット、「Kirkland Farm」ブランドの鶏肉あぶり焼きのスープ、レッグクォーター(骨付もも肉)およびサラダ計313ユニット。これらは、2013年9月11~23日に同店で販売された。

 USDA FSISは、Foster Farms社の3施設(カリフォルニア州)で製造された生の鶏肉製品に関連してサルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染患者が発生したとの懸念から、公衆衛生警報(public health alert)を発表した。

 現段階では、患者と具体的な製品名や製造期間との関連は特定できていない。

 当該施設で製造された生の鶏肉製品の包装には、USDA検査印の内側などに当該3施設の施設番号「P6137」「P6137A」および「P7632」のうちの1つが記載されている。当該製品は主にカリフォルニア、オレゴンおよびワシントンの各州の小売店に出荷された。

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、複数州の公衆衛生・農務当局および米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)と協力し、複数州にわたり発生している多剤耐性サルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイクの調査を行っている。2013年10月11日時点で、S. Heidelbergの7種類のアウトブレイク株の感染患者が米国20州およびプエルトリコから計317人報告されている。患者の73%がカリフォルニア州からの報告である。

 今回のアウトブレイク株は、頻用される複数の抗生物質に耐性である。このような耐性により、患者の入院や治療不能のリスクが上昇する可能性がある。

 製造業者に関係なく、生の家禽肉のサルモネラ汚染は珍しいことではない。CDCおよびUSDA FSISは、生の家禽肉によるサルモネラ感染を防ぐため、「食品安全のためのヒント(food safety tips、http://www.foodsafety.gov/)」を守るよう消費者に推奨している。

 サルモネラ(Salmonella enterica)は、動物由来食品だけでなく、野菜や果物などの植物由来食品からも感染する。

【CFIA】ビーフバーガーのO157:H7汚染

 カナダ食品検査庁(CFIA)とBelmont Meats社(施設番号112、オンタリオ州トロント)は、大腸菌O157:H7汚染の可能性がある特定のビーフバーガーを喫食しないよう消費者に注意喚起している。CFIAは、各州の公衆衛生当局と協力し、オンタリオ州で発生している大腸菌O157:H7感染の患者クラスターに関連した食品安全調査を行っている。これまでに収集された情報から、当該製品が本件に関連していることが示されている。

 CFIAは健康危害警告(Health Hazard Alert)を発表し、当該製品を喫食しないよう消費者に注意喚起している。同社施設で継続中の食品安全調査の進展に伴い、回収対象製品が拡大する可能性がある。

 Belmont Meats社は、牛挽き肉、牛肉パテ/バーガー、およびその他の種々の生の牛肉製品(カット肉、ベーコン巻、マリネ製品など)を製造する中規模の食肉加工会。一部の回収対象製品はカナダ全国に出荷された。同社の施設は米国、メキシコおよび南アフリカ共和国への輸出の資格を持っているが、回収対象製品はこれらの国へ輸出されていない。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.21(2013.10.16)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201321m.pdf

今号の目次

【汎アメリカ保健機構(PAHO)】
1. コレラの発生状況(2013年10月1日)

【米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)】
1. カリフォルニア州の店舗がサルモネラ(Salmonella Heidelberg)汚染の可能性がある鶏肉あぶり焼き製品を回収
2. Foster Farms社の3施設で製造された鶏肉製品に関する公衆衛生警報(サルモネラ感染患者発生)

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. Foster Farmsブランドの鶏肉に関連して複数州にわたり発生している多剤耐性サルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイク
2. サルモネラ(Salmonella enterica)感染アウトブレイクにおける血清型と原因食品の関係(米国、1998~2008年)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:Gort’s Gouda Cheese Farm社製の一部のチーズに関連して発生している大腸菌O157:H7アウトブレイク(2013年10月15日付更新情報)

【カナダ食品検査庁(CFIA)】
1-1. 特定のビーフバーガーの大腸菌O157:H7汚染に関する調査(患者発生)
1-2. 健康危害警告:大腸菌O157:H7汚染の可能性がある特定の冷凍ビーフバーガー
1-3. 特定のビーフバーガーに関連した大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(時間軸に沿った記述)
1-4. Q & A:特定のビーフバーガーの大腸菌O157:H7汚染

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 最新疫学情報:メキシコのコレラ
2. 欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)における主要な6種類の食品・水由来疾患のサーベイランス

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1. トルコへの休暇旅行に関連したサルモネラ(Salmonella Enteritidis)または赤痢菌(Shigella sonnei)感染患者(デンマーク、2013年)

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報
食品安全情報(微生物)No.21 / 2013(2013.10.16)