外食実施率低調で市場縮んだ

ホットペッパーグルメ外食総研による外食市場調査の2020年2月度調査結果では、外食市場規模が2カ月ぶりに前年割れとなった。暦と天候では好結果が期待できる条件だったが、外食実施率が低かった。

中高年女性の外食実施率が低かった

 2020年2月の外食市場規模は、3圏域合計で3,061億円。前年同月比(以下、前年比)は−91億円と、2カ月ぶりに前年を下回った。外食頻度と単価は前年比プラスであったが、外食実施率が記録的に低かったため市場規模が前年割れとなった。

 当月の外食実施率は2012年の調査開始以来過去最低値となる72.6%で、前年同月比−3.0ポイントも単月の下げ幅として過去最大であった。

 また、外食実施率を年齢性別に見ると、50代女性(前年比−6.5ポイント)、60代女性(同−5.3%)、40代男性(同−4.0ポイント)、30代男性(同−3.9ポイント)の順で大きな前年割れとなっている。なかでも50代女性と30代男性は8カ月連続の前年割れとなった。

 2020年2月はうるう年で日数が1日長く、祝日と土曜も前年よりそれぞれ1日多く、カレンダーとしては有利だった。また、天候も雨や雪の日が少ないなど外食には好条件だったが、上述のとおり中高年女性等の外食実施率が低い結果となった。

 なお、外食市場規模を圏域別で見ると、東海圏でのみ前年を上回った。

2020年2月の外食実施率は72.6%

前月比増減−2.7pt、前年比増減−3.0pt。

外食実施率(2020年2月)

2020年2月の外食頻度は3.94回/月

前月比増減 ±0.00回、前年比増減+0.04回。

外食頻度(2020年2月)

2020年2月の外食単価は2,603円

前月比増減−76円、前年比増減+24円。

外食単価(2020年2月)

2020年2月の外食市場規模は3061億円

前月比増減−205億円、前年比増減−91億円。

外食市場規模(2020年2月)

肉系好調だがフレンチ・イタリアン振るわず

 業態別では、主要16業態中、市場規模が前年比プラスだったのは5業態であった。「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」(前年比増減+12億円)、「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」(同+3億円)、等で前年を上回った。一方、「居酒屋」(前年比増減−40億円)、「フレンチ・イタリアン料理店」(前年比増減−24億円)等で、市場規模が前年を下回った。

 延べ外食回数が伸びたのは「ファストフード」(前年比増減+29万回)と「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」(前年比増減+24万回)のみだった。

 単価が最も伸びたのは「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」で前年比+1,184円だった。

 延べ外食回数、単価とも前年を上回った業態はなかった半面、「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」等4業態で延べ外食回数および単価とも前年を下回った。

「フレンチ・イタリアン料理店」「アジアン料理店」は3カ月連続して市場規模が前年比マイナスだった。

前年比プラス業態

「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」「ファミリーレストラン、回転すし等」「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」「ファストフード」

前年比±0の業態

「牛丼、カレー等一品もの専売業態」

前年比マイナス業態

「和食料理店」「中華料理店」「フレンチ・イタリアン料理店」「アジアン料理店」「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」「居酒屋」「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」「カラオケボックス」「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」

※ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査」(2020年2月度)
https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/marketing/202002

ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査

 ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査は、リクルートライフスタイル(東京都千代田区、淺野健社長)の外食に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が行っている調査。毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約9,000~1万人を対象に「外食市場調査」を実施している。

 この「外食市場調査」では、圏域内の生活者による毎日の夕方以降の食事や飲酒について、外食と中食の内容(場所、相手、単価など)をヒアリングし、毎月の外食市場の動きを継続的に可視化している。3圏域限定で朝食・昼食は含まない市場調査ではあるが、飲食店などの事業所ヒアリングではなく、生活者に直接ヒアリングを行っていることから、性年代別や相手別の消費動向がわかり、外食している街や業種の情報が取得できていることが特徴。

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About 稲垣昌宏 56 Articles
ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員 いながき・まさひろ 市場調査をメインに消費者動向から外食市場動向を分析・予測。また、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や講演などを行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」。