スクリーンの餐

年の瀬はワイン映画で三本締め

2022年最後となる今回は、本連載第292回で触れた「戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン」「チーム・ジンバブエのソムリエたち」に、日本の「Vin Japonais The Story of NIHON WINE」を加えたワイン映画三本立てでお送りする。 ※注意!! 以下はネタバレを含んでいます。 日本ワイン造りを凝縮 「Vin Japonais The Story of NIHON WINE」は、 […]
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食事と描き出した二十四節気

今回取り上げる「土を喰らう十二カ月」は、「五番町夕霧楼」(1963)、「飢餓海峡」(1963)等で知られる小説家、水上勉のエッセー「土を喰う日々 ―わが精進十二カ月―」(1978)を、中江裕司が現代の信州に置き換えて脚本化し、監督した新作映画である。  本作の主役とも言える四季折々の料理は、「きょうの料理」(NHK Eテレ)、「おかずのクッキング」(テレビ朝日系、2022年3月で終了)等のTV番組 […]
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美食スノッブたちへの挑戦状

2010年代、「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」(2011、本連載第42回参照)のヒットをきっかけに、高級レストランや料理人、美食家等を題材とした「グルメ系フードドキュメンタリー」が次々に公開され、ちょっとしたブームになった。その流れは現在、Netflixのフードドキュメンタリーシリーズ「シェフのテーブル」等に受け継がれている。  2020年代に入り、フィクションではあるが、変化 […]
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恒例・この時期のワイン映画

昨日11月17日は11月第3木曜日で、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だった。例年この時期になると、ワインを題材とした映画が公開されるのが恒例となっている。今回は、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁を前に公開された、仏日2本の作品をご紹介する。
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市民革命と美食革命の同時進行

筆者のような庶民にとって、フランス料理のレストランは数ある飲食店の中でも憧れの存在である。そのフレンチレストランはいつ頃から始まり、どうやって現在のような形になったのか。現在公開中の「デリシュ!」は、そうした興味に答えてくれる一本である。
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思い出の中の海の幸と山の幸

夏休みも終わりというこの頃。夏休みの思い出は、それぞれにお持ちのことだろう。現在公開中の「サバカン SABAKAN」は、1986年の長崎県西彼杵郡長与町を舞台に、2人の少年の冒険と友情を描いた、
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シーズン到来! 山小屋の飯

昨日8月11日は山の日だった。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨とした国民の祝日である。折しも夏山登山のハイシーズン。一昨年と昨年のようなコロナ禍による行動制限も緩和され、久しぶりの山を楽しみにしている方も多いことだろう。
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店の内幕/衛生からSNSまで

おしゃれで洗練されたイメージがある高級レストランの舞台裏はどうなっているのか? 現在公開中の「ボイリング・ポイント 沸騰」は、シェフとして15年間働いた経験を持つフィリップ・バランティーニが、2018年に監督した短編がモチーフ。
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カルトの活動を表現する食事

1990年代に大きな社会問題として顕在化したカルト。そして7月8日、その団体の一つへの怨恨が動機と思われる凄惨な事件が発生し、再びカルトへの関心が高まっている。折しも事件当日の7月8日に公開された「ビリーバーズ」は、過去にカルトや過激派が起こしたいくつかの事件をモチーフとした、山本直樹の漫画(2000)を原作とした問題作である。以下、その前半の食べ物絡みのシーンについて書いてみたい。
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つらいときも食は人を笑顔に

コロナ禍の前、令和元年におけるわが国の難民申請者数は10,375人。このうち難民と認定された者は44人で、認定率はわずか約0.4%にとどまっている(※)。これは諸外国と比べると著しく低い数字である。
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卵と畑/黄色で描き出したもの

2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、多くの悲劇を生みながら未だ収束をみていない。そんな中、1970年製作のイタリア映画「ひまわり」が再び注目を集めている。第二次世界大戦で未帰還兵となった夫を探しにソ連を訪れるイタリア女性を通して、戦争の悲惨さを訴えている本作。イタリア軍捕虜が埋められているひまわり畑がウクライナで撮影されたことが注目の所以というのだが……。