ファミレス・回転すしが好調

ホットペッパーグルメ外食総研による外食市場調査の2018年10月度調査結果では、外食市場規模が2カ月ぶりに前年を上回った。ただ、前月に続いてシニア層の外食控えが見られた。延べ外食回数で最も伸びたのは「ファミリーレストラン、回転すし等」だった。

市場規模2カ月ぶりに前年クリア/シニア層の陰りは拭えず

 2018年10月の外食市場規模は、3圏域合計で3,330億円。前年同月比(以下、前年比)は+135億円で、2カ月ぶりに前年を上回った。外食実施率(77.2%、前年比+2.2ポイント)は2013年の調査開始以来、10月としては過去最高を記録。外食頻度(4.17回/月、前年比+0.08回)も前年超えしたが、外食単価(2,497円、前年比−21円)は前年割れした。

 性年代別では、前月60代で男女そろって外食実施率と単価が前年を割り込み、シニア層の外食控えが市場規模にマイナス影響となったが、今月も60代男性の外食実施率こそ前年比プラスであったものの、60代女性の外食実施率は前年同月を下回り、また60代男女とも外食単価は前年割れしており、不調が続いている。

 カレンダー上は日曜日が前年に比べると1日少ない不利な日並びであったが、天候面では全国的に安定し、2017年10月が台風の上陸などで降雨量が多かったことから前年比では有利な要因となった。

 圏域別には、東海圏のみが市場規模が前年比−19億円と2カ月連続して市場規模がマイナスであったが、首都圏(前年比+97億円)、関西圏(前年比+58億円)は市場規模が前年比プラスであった。

2018年10月の外食実施率は77.2%

前月比増減+1.3pt、前年比増減+2.2pt。

外食実施率(2018年10月)

2018年10月の外食頻度は4.17回/月

前月比増減−0.04回、前年比増減+0.08回。

外食頻度(2018年10月)

2018年10月の外食単価は2,497円

前月比増減+42円、前年比増減−21円。

外食単価(2018年10月)

2018年10月の外食市場規模は3,330億円

前月比増減+85億円、前年比増減+135億円。

外食市場規模(2018年10月)

ファミレスの利用頻度増/和食の落ち込み目立つ

「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」15カ月連続で市場規模前年越え

 業態別では、主要16業態中、9業態で市場規模が前年比プラスで、とくに「居酒屋」(前年比増減+59億円)の伸びが顕著であった。逆に「和食料理店」(同−12億円)は前年比でマイナスの大きい業態で、シニア層の不調が影響している可能性が高い。

 連続して前年実績を上回っている業態は、「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」で、15カ月連続で前年市場規模を上回っている。

 今回延べ外食回数と単価の両方が前年比プラスの業態は主要16業態中5業態。延べ外食回数で最も伸びたのは「ファミリーレストラン、回転すし等」で前年比+130万回、また、単価が最も伸びたのは「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」で前年比+576円などとなっている。

前年比プラス業態

「中華料理店」「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」「ファミリーレストラン、回転寿司」「居酒屋」「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」「ファストフード」「牛丼、カレー等一品もの専売業態」

前年比±0の業態

「フレンチ・イタリアン料理店」「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」

前年比マイナス業態

「和食料理店」「アジアン料理店」「その他各国料理店」「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」「カラオケボックス」

※ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査」(2018年10月度)
https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/marketing/201810

ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査

 ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査は、リクルートライフスタイル(東京都千代田区、淺野健社長)の外食に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が行っている調査。毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約9,000~1万人を対象に「外食市場調査」を実施している。

 この「外食市場調査」では、圏域内の生活者による毎日の夕方以降の食事や飲酒について、外食と中食の内容(場所、相手、単価など)をヒアリングし、毎月の外食市場の動きを継続的に可視化している。3圏域限定で朝食・昼食は含まない市場調査ではあるが、飲食店などの事業所ヒアリングではなく、生活者に直接ヒアリングを行っていることから、性年代別や相手別の消費動向がわかり、外食している街や業種の情報が取得できていることが特徴。

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About 稲垣昌宏 56 Articles
ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員 いながき・まさひろ 市場調査をメインに消費者動向から外食市場動向を分析・予測。また、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や講演などを行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」。