外食産業市場規模は1.3%増

外食産業市場規模推計(2019年)

日本フードサービス協会が8月27日に発表した「令和元年外食産業市場規模推計」は、外食産業(料理品小売業を含まない)の市場規模を26兆439億円と推計した。前年比ではプラス2,747億円で、1.3%の増加となった。

営業給食と料飲が増・集団給食は減

 部門別では、給食主体部門(飲食店、機内食等、宿泊施設、集団給食を含む)は21兆521億円で、前年より1.4%増加した。給食主体部門は市場規模全体の80.8%を占める。また、料飲主体部門(娯楽、遊興目的の飲食を提供する施設)は4兆9,918億円で、前年より0.5%増加した。料飲主体部門は市場規模全体の19.2%を占める。

 給食主体部門のうち、営業給食(飲食店、機内食等、宿泊施設)の市場規模は17兆6,987億円で、前年より1.8%増加した。営業給食は、市場規模全体の68.0%を占める。同じく、集団給食(学校、事業所、病院、保育所給食)の市場規模は、全体の12.9%を占め、3兆3,534億円で、前年より0.2%減少した。

外食産業市場規模推計値(2019)

外食産業総合調査研究センター「令和元年外食産業市場規模推計」による。
分類実数(億円)対前年増加率(%)
外食産業計(広義の外食産業)333,184 1.4
外食産業計(狭義の外食産業)260,439 1.3
給食主体部門210,521 1.4
営業給食176,987 1.8
集団給食33,534 ▲ 0.2
料飲主体部門49,918 0.5
喫茶店・居酒屋等21,894 0.8
料亭・バー等28,024 0.3
料理品小売業(弁当給食を除く)72,745 1.7

ファストフードが牽引役

 業種ごとに見ると、比較的大きく伸びているのは、ファストフードなどを含む「その他の飲食店」、インバウンドの増加があった宿泊施設、喫茶店など。

 集団給食では、保育所の在所者数の増加傾向が見られる保育所給食だけが増加。日本フードサービス協会の発表資料では、学校給食の減少について「給食実施人数の減少傾向」、事業所給食について「出勤日数の減少傾向など」、病院給食の減少について「入院時食事療養費の医療費に占める割合は減少傾向」といった事情に触れている。

 業種ごとの対前年増減率は以下のとおり。

●食堂・レストラン:1.6%増
※ファミリーレストランや一般食堂、専門料理店等を含む。

●そば・うどん店:0.9%増
※立ち食いそば・うどん店を含む。

●すし店:0.2%増
※回転寿司を含む。

●その他の飲食店:4.9%増
※ファストフードのハンバーガー店、お好み焼き店を含む。

●宿泊施設:2.0%増
※ホテル、旅館での食事・宴会など。

●学校給食:0.9%減
※主として小学校、中学校等の給食で、大学の学生食堂は含まない。

●事業所給食のうち社員食堂等給食:0.2%減

●事業所給食のうち弁当給食:0.4%減

●病院給食:0.3%減

●保育所給食:1.6%増

●喫茶店:1.2%増

●居酒屋・ビヤホール等:0.4%増

●料亭・バー等:0.3%増

料理品小売業は1.7%増

 いわゆる中食も外食産業に含めるが、本推計では中食のうち日本標準産業分類の料理品小売業(持ち帰り弁当店や惣菜店であり、他の小売業の弁当・惣菜部門は含まれない)の推計値を算出している。その推計値は7兆2,745億円で、前年より1.7%増加した(狭義の外食産業でカウントしている弁当給食の重複分を除いた値)。

令和元年外食産業市場規模推計について
http://anan-zaidan.or.jp/data/2020-1-1.pdf

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About 齋藤訓之 398 Articles
Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所特任研究員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。日本フードサービス学会、日本マーケティング学会会員。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →