バーテンダー諸兄に贈るFOODEX JAPAN 2012洋酒レポート10(1)

OLD & RARE SCOTCH WHISKY GIFT SET
OLD & RARE SCOTCH WHISKY GIFT SET

去る3月6日~9日、幕張メッセにおいてFOODEX JAPAN 2012が開催された。参加国数72か国、約2400社の飲料・食品メーカーが一堂に集まる世界でも有数の見本市であり、今回も73000人を超す来場者で賑わった。その中でバーテンダー目線に立って見付けてきた洋酒10品を紹介していく。最初の2品は風変わりな“グラッパ”とファン垂涎のミニチュアボトルセットだ。

 これだけ大規模な見本市となると、ゆっくり端から見ていると4日間、駆け足で見ても2日はかかる。来場者が薦められるままに、圧倒的に出品が多いワインを試飲していると、会場のそこかしこで出されているカシューナッツやオリーブオイルを浸したフランスパンも差し出される。国内大メーカーが派手な展示をしているピザや焼きそばの行列に並んでいるうちに、気が付けば1日が終わってしまうということになる。

 せっかく仕事の合間の時間を見つけ、貴重な睡眠時間を削ってはるばる海浜幕張まで行ったバーテンダー諸兄も、なかなか蒸留酒にはたどりつけないままで終わることが多いと聞く。

 洋酒関連のイベントとしては、ゴールデンウィーク(5月5日~6日)に日本最大級となる「東京インターナショナル・バーショー」(六本木の東京ミッドタウン)が控えているのだが、それまで待てないというバーテンダーの方々のために、FOODEX JAPAN2012の広大な会場を実際に小走りで走り回って探してきた洋酒関連の注目アイテムの中から、筆者の独断で「これは」と思われるものを10本ピックアップして紹介したい。

 出品者のWebサイトにリンクしておくので興味を持たれた方はそちらにアクセスされたい。

【1】Distillata Rossa

Distillata Rossa
Distillata Rossa

ボック系のビールを蒸留して作られた“グラッパ”
取扱:アーパ・アンド・イデア Tel.03-5319-4455

 アーパ・アンド・イデア扱いのボック系褐色ビールを蒸留して作られたグラッパ。ブドウならぬ麦から作られた蒸留酒が「グラッパ」と呼べるのかどうか、グラッパと言うからには麦汁を絞った後の搾りかすから作られているのか……は聞き漏らした。

 同社が販売しているビールはバス・ペールエールに近い色をしているが、こちらのグラッパは透明でホップの香りとかすかな苦みが残っており、“色物”ではないしっかりした味にはかなり好感が持てた。(イタリア)

【2】OLD & RARE SCOTCH WHISKY GIFT SET

あのポート・エレンを始めとする30年越モルトを含むミニチュア5本のギフトセット
出展:駐日英国大使館 貿易・対英投資部(輸入未定) Tel.03-5211-1154

OLD & RARE SCOTCH WHISKY GIFT SET
OLD & RARE SCOTCH WHISKY GIFT SET

 珠玉のモルトウイスキーとグレンウイスキーのミニチュアボトル5本セット。ギフト用商品なので試飲はできなかったが、ポートエレン(83年蒸留)/グレンアラヒ38年/ローズバンク21年/グレンリベット34年と46年物のグレーンウイスキーが上品なギフトボックスに入っているという、モルト好きにはこたえられない内容。

 ウイスキーにはワインのような“当たり年”はないと言われているが、まだ今のように無茶苦茶な値段になる前からポートエレン好きで、安かったころにキングスバリー/サマローリ/ケイデンヘッズ……と片っ端から試していた筆者の独断で言わせてもらうと、83年は群を抜いてうまかった。ことにシグナトリーのプレーンオーク樽の12年物は感動的で、サラッとしていて力強く、後口に残るかすかな塩味と香ばしいピート香が今でも記憶に新しい。その後出回り始めた78年や81年で「?」がついた筆者にとって別格の「83年」が入っているとあれば、評価はいやがおうにも上がらざるを得ない。

 気になるのは値段だが、ブースの係員に聞いたところ価格は未定で輸入代理店も現在探しているとのことだった。筆者の感覚では1万~1万5000円なら人気が出そうな気がする。5000円なら自分用として購入したい。(イギリス)

※本稿を送稿する際にネットで検索したところ、英国で販売している同キットは5本セットで58.5ポンド(3月18日の対円レートで7732円。3本セットは2639円だが、内容が異なる。また英国と日本では税金が異なることと輸送費が別途かかると思われるので、あくまでも参考価格と捉えていただきたい。

About 石倉一雄 129 Articles
Absinthe 研究/洋酒ライター いしくら・かずお 1961年北海道生まれ。周囲の誰も興味を持たないものを丹念に調べる楽しさに魅入られ、学生時代はロシアの文物にのめり込む。その後、幻に包まれた戦前の洋酒文化の調査に没頭し、大正、明治、さらに江戸時代と史料をあたり、行動は図書館にバーにと神出鬼没。これまでにダイナースクラブ会員誌「Signature」、「男の隠れ家」(朝日新聞出版)に誰も知らない洋酒の話を連載。研究は幻の酒アブサン(Absinthe)にも及び、「日経MJ」に寄稿したほか、J-WAVE、FM静岡にも出演。こよなく愛する酒は「Moskovskaya」。