読み書きバイオ

言葉のイメージに負けないために、遺伝子組換え作物をバイオテク作物と呼ぼう

2009年4月、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)会長のClive James博士にお目にかかったとき、日本の関係者が、「遺伝子組換え作物・食品(GMO)」という言葉を使うたびに、「『バイオテク作物・食品』と呼ぶように」と正されていたことが印象深く残っている。私にとって「目からウロコ」ともいうべき出来事だったが、それは、「バイオテク作物という呼び方は、作物が様々な育種の手法を経て生まれており、組 […]
北海道よもやま話

世界の先端バイオ技術を無視し、発言しない日本の生産者の責任

日本国内で販売される農薬には登録制度があり、すべての生産者は、その制度に従った適切な使用が求められる。今はそんなことはないだろうが、かつては現場で農薬使用の解釈に悩むこともあったようだ。ダイズ栽培では、雑草管理次第で収量が決まることは前回述べたが、どんな除草剤を使えば、生産者に最大の効果をもたらすかは、最終的に生産者自らの農薬選択による。
読み書きバイオ

遺伝子組換えの理解に関する研究が進んでいます

スーパーなどの店頭で「無添加、無農薬、非組換え」をセールスポイントにしている食品が並んでいます。これらを見るにつけ、食品添加物のお陰で腐敗から、農薬のお陰で寄生虫から、私達は解放されたのに……と思います。遺伝子組換え技術のお陰で、人口増加、耕作地減少、食料自給率39%(2006年)でも食料不足にならないで済んでいるのにと思います。食品添加物、農薬、遺伝子組換え技術の誕生の背景と現状(安全性評価など […]
うねやま研究室

新型インフルエンザの安心宣言から「安全・安心」を考える

日本国内では峠を越えた感のある新型インフルエンザ「騒動」ですが、オーストラリアなどでは感染は拡大中で、世界レベルではまだまだ終息したとは言えない状況です。このインフルエンザ騒動の中で、神戸市や兵庫県が「安心宣言」をしたと報じられました(「神戸 ひとまず安心宣言」「新型インフルエンザひょうご安心宣言」)。
北海道よもやま話

有機栽培農家の敵「農薬」、その価格と流通

北海道のダイズ、ムギ農家が農薬を使用する金額はどれくらいだと思われるだろうか? 現場では除草剤、殺菌剤、殺虫剤の3タイプを主に使っている。金額、量は少ないが、成長促進剤、発芽抑制剤なども使用して、しっかりと農薬取締法に書かれている“国民の生活環境の保全に寄与”しているはずだ。ただ残念なことに、そのような話を生産者仲間が集まってしたことはないのだ。
北海道よもやま話

マイノリティの行動から次世代農業のヒントが見えてくる

湊須磨子(みなとすまこ、旧姓:浅田)さん。愛称スー。子供達はグラマスーと呼ぶ御年92歳の日系女性が米国ロサンゼルス近郊に住んでいる。昨年90歳で亡くなったご主人ヘリーとともに、20年来の知り合いになる。スーは1935年2月、秩父丸で米国メジャーリーグとの対戦のため巨人軍の沢村栄治投手らが乗船してホノルル経由でサンフランシスコ、ロサンゼルスに向かう同じ船上にいた。彼女は米国生まれであったが父の仕事の […]
Maryanskiのバイテクと食品安全考

未認可遺伝子組換え作物の微量混入――高くつく貿易問題に頭を抱える各国規制当局/Low Level Presence of Unauthorized Biotech Material in Bulk Shipments ? A Regulatory Headache and Expensive Trade Issue

米国から輸入されてくるトウモロコシの貨物に、日本ではまだ認可されていないバイテク(遺伝子組換え)トウモロコシの品種が時折、ごく微量混入していることが報告される。日本ではまだ未認可なので、その貨物は違法となる。あるケースにおいては(例えばB.t.10)、その問題となる品種は認可もされてなければ、市場導入も目的とされていないものだったりする。それ以外のケースは、規制上の要件を米国においてはすべて満たし […]
うねやま研究室

食の安全に関する世論調査、海外と日本で結果が違うのはなぜ?

英国食品基準庁(FSA)は2009年2月19日、消費者の食品への考え方についての追跡調査の最新結果「Quarterly public tracker -December 2008」(08年12月調査)を発表しました。この調査は、FSAが01年から年に4回以上の頻度で定期的に行っているもので、今回の調査結果とこれまでの推移が分かりやすいグラフでまとめて公表されました。
原子力ではなく内燃機関で発電した電気で走り、核装備もない日本の潜水艦。それでやってこれたのには、理由がある
食の損得感情

遺伝子組換え技術と核兵器技術

考えれば考えるほど似ている。遺伝子組換え(GM)技術と核兵器だ。こんなことを言い出すと、「お前さん、いよいよでたらめを言い始めた」と言われてしまいそうだが、まあ待って欲しい。以前、松永和紀さんが、ある研究者が受け取ったとんでもないはがきのことに触れていたけれど、そのひどいはがきの趣旨とは全く次元の異なる話だ。
うねやま研究室

パブリックコメントは何のためにあるのか

2009年1月15日、米国食品医薬品局(FDA)が遺伝子組換え動物の規制に関する最終ガイドラインを発表(プレスリリース、詳細情報)しました。これは遺伝子組換え動物に由来する医薬品や食品の認可手続きに関するガイドラインで、これに従って企業は認可申請を行い、FDAが安全性などを評価して認可するという手続きを行うことになります。その評価結果は国民に公示され、国民もこれに対して意見(パブリックコメント)を […]
技術士からの提言(Y)

リスコミの切り札「食品安全カウンセラー」制度の創設を

2004年から続いてきたFoodScienceの「松永和紀のアグリ話」が9月24日の記事を持って終了となった。「お疲れさまでした。永い間ご指導いただきありがとうございました」とご苦労を労うと共にお礼を申し上げたい。また、一連の松永さんの連載を読んで密かに温めていた、食のリスクコミュニケーション(リスコミ)の切り札としての「食品安全カウンセラー」制度の創設を、この機会に披露したい。
Maryanskiのバイテクと食品安全考

医薬用バイテク作物――前途有望な技術かそれとも食糧供給の脅威となるのか/Pharma Plants: A Promising Technology for Drugs or a Threat to the Food Supply?

日本の科学者は、花粉症に悩む多くの人々を救うため、その症状を緩和するコメの品種を開発中である。これはしかし、遺伝子組換え植物を使って重要な医薬品を作る(「医薬用」作物と称される)という現代バイオテクノロジーの利用の一例にすぎない。しかしながら、この技術が受け入れられるには、技術的および社会的な双方のハードルを超えなければならない。初の医薬用作物の多くは、トウモロコシ、イモ、コメといった一般的な食用 […]
北海道よもやま話

サブプライムでもへこたれない米国農業から学ぶもの

今年の1月、マイナス35℃の米国ノースダコタ州の知り合いで、父親と共同経営する26歳の生産者、Bobのところに行く機会があった。私が「どうだ 景気は?」と聞くと、彼は「いいね?」の挨拶で会話が始まった。彼は地域農家では珍しい民主党支持者だ。世界中の皆が「あの大統領は……」と言うくらい人気がないのは米国国内でも基本的に同じなのだが、トウモロコシ、ダイズの生産者である彼にとって政治思想に相反するはずの […]
コロのGM早分かり

除草剤グリホサートに耐性のある植物の自然への影響は?

こんにちは、コロです。前回は除草剤グリホサート耐性の遺伝子組換え作物はどのようなものなのかをお話しました。そして、その除草剤グリホサートはどんな植物でも枯らせてしまうとても恐い除草剤に思えますが、実はそうではないということも説明しました。今回は、除草剤グリホサートに耐性のある植物がほかの植物と交雑した場合自然への影響はあるのか、また、グリホサートに抵抗性のある雑草についてお話しましょう。