消費増税1カ月で楽観は危険

 2014年4月度「外食産業市場動向調査」(日本フードサービス協会)の結果は、消費増税後最初の動向を考える手がかりとなります。

https://www.foodwatch.jp/tertiary_inds/49625

 この4月に客数が対前年同月をクリアした業態は、ファストフードの「麺類」「その他」(アイスクリームチェーン等)、ファミリーレストランの「洋風」「和風」「中華」「焼き肉」そして「パブ・ビアホール」でした。とくにファミリーレストランの全業態が前年クリアとなっている点が注目されます。

 一方前年同月を割った業態は、ファストフードの「洋風」「和風」「持ち帰り米飯/回転寿司」、そして「居酒屋」「ディナーレストラン」「喫茶」でした。ただし、下げ幅はファストフード「洋風」の▲4.8%が最大で、他は▲1%台が多く、減収の程度は大きくはありません。

 全体では▲0.7%の客数減。

 これだけで断定するのは危険ですが、日常に溶け込んでいるファストフード「麺類」と独立した集客力で運営する傾向の強いファミリーレストランは来店数を維持し、ショッピングセンターなどの商業施設の集客に左右されやすいファストフードではやや客足が遠のいたといった様子がうかがえます。

 3月中の“駆け込み”で4月は買い物での外出は減ったものの、外食そのものを控える動きは主流ではなかったと見ることができるかもしれません。

 とは言え、外食店の業態設計上の来店頻度は1カ月に1回程度に設定されているケースは多いものです。「この間行ったら高かった」といったイメージから次の1カ月に利用を控えるということがないとは言えません。また、ベアはあったものの8%の消費税が実際に家計に響くと感じられているようであれば、今後じわじわと外食支出に影響が出て来ることも考えられます。

 4月の結果は今後を楽観していい理由にはなりません。各種の行事が一段落し、祝日もない6月は店の実力が数字に表れやすい月。正念場は今月だと言えるでしょう。

※このコラムはメールマガジンで公開したものです。

齋藤訓之
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Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。日本フードサービス学会会員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。東京栄養食糧専門学校非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →