コメからトウモロコシ生産へ

 トウモロコシというとゆでたスイートコーンを思い浮かべるかもしれませんが、世界で最もたくさん生産されている穀物は、乾燥した粒や粉として利用する子実トウモロコシです。日本は約半世紀にわたってこの重要な作物の供給を輸入に頼って来ました。

 戦後、政府は食糧安定供給のために水稲とサツマイモに政策を集中して来ましたが、高度成長によって急速に食肉の需要が高まり、家畜の飼料となるトウモロコシの供給が追いつきませんでした。ところがちょうどその頃、アメリカではトウモロコシの生産過剰が問題になっていたのです。以後、日米のトウモロコシを巡る蜜月が続いて来たわけです。

 現在、日本の子実トウモロコシ生産量は統計上ゼロ。100%輸入です。しかし、世界には安価なトウモロコシを必要とする国は他にたくさんあります。日本だけがいつまでもアメリカに頼っているわけにはいきません。

 そして今、日本の米は生産過剰で稲作経営は難しいものになって来ています。それでも水稲作による経営を極めようという人と、水田を世界に冠たる究極的に整備された圃場として活用し、新しい農業に挑戦しようという人と、両方が必要な時代になっているのです。そこで、もし水田をトウモロコシ畑として活用し、地域の畜産と手を結んだら……。

 この新しい農業の形を発案し、農業生産者に試験栽培を薦めて来た農業技術通信社(東京都新宿区、昆吉則社長)は、2014年5月22日(木)、岩手県花巻市の盛川農場で作業実演と検討会を開催します。

 水田転作の決め手を探している方と、国産飼料による牛・豚・鶏・鶏卵が高付加価値商品につながるとお見通しになる畜産関係者、小売業、外食業の方には、ぜひ、この歴史が変わる現場に立ち会っていただきたいと思います。

※このコラムはメールマガジンで公開したものです。

齋藤訓之
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Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。日本フードサービス学会会員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。東京栄養食糧専門学校非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →