米国マクドナルド社の声明

ニューヨークの「マクドナルド」(マックカフェ)
ニューヨークの「マクドナルド」(マックカフェ)

ニューヨークの「マクドナルド」(マックカフェ)
ニューヨークの「マクドナルド」(マックカフェ)
マクドナルドが保存料などの食品添加物を使っていないという証拠が必要だというリョウ。タクヤはそれに対して“被告の証言”を持ち出すのだが、リョウは信じるか。

マクドナルドは「防腐剤も増量剤もなし」と声明

リョウ 「来たか。ごくろう」

タクヤ 「例の『マクドナルド』ハッピーセット(Happy Meal)が腐らないのは気味が悪いぞということについて話しているうちに3週間も経っちゃいましたが、もうこの辺でやめたいですね」

リョウ 「前回までで、合成保存料を使っていなくてもハンバーガーとフライドポテトが腐りもカビもしないことがあり得るという説明はしてもらった。で、だ。もっと踏み込んで、マクドナルドが保存料などの食品添加物を使っていないと言えるかどうか、だな」

タクヤ 「それ簡単です。米国マクドナルド社がそう言ってますから。これ読んでください」

※Response to Happy Meal Food “Experiment”
http://news.mcdonalds.com/US/Media-Statements/Response-to-Happy-Meal-Food–Experiment-

リョウ 「なんだ、英文かよ。どれどれ。――どんな条件で保存されてたかわからんので詳しく説明するのは無理です。とは言うものの、結論への飛躍を強く警告します――かな」

タクヤ 「まあ、そんなところでしょう」

リョウ 「それでと。――アメリカの『マクドナルド』のパティは、100%牛肉で、USDAが検査したものです。塩とコショー以外何も使ってません。防腐剤も増量剤もなしです。バンズは北アメリカ産の小麦粉から出来ています。フライドポテトはジャガイモから作られ、キャノーラ油ブレンドで揚げています。パン、肉、ジャガイモ、これらは、消費者がお近くの食料品店で毎日買っているものと同じ食品です――と続けているな。以下、前回までお前が説明してたように細菌やカビが発生する条件について指摘していて、わが社の安全と品質の基準は業界で最高のものですと結んでる」

タクヤ 「ちなみに防腐剤(preservatives)は、日本の食品に関する用語では保存料です。しかし隊長、よく読めましたね」

リョウ 「うるさい。間違ってたら、親切な読者が『バカモン!』とメールをくれるだろう」

タクヤ 「そうでありますように。まあ、マクドナルドが保存料などを使っていない根拠としてこの声明を採用するというのは、本人にかかっている“疑い”に対して本人が釈明したことを額面通り受け取るのかっていう問題ではあるわけですが」

リョウ 「うん。OK。オレは信じるよ」

タクヤ 「え? 疑り屋の隊長が」

真実を語るリスクとウソをつくリスク

リョウ 「だってさ。仮に、マクドナルドが実際に保存料を使っていたとしたとするよ。その場合、こんな声明を出すよりも、『実は使っています。理由はしかじか』と説明したほうが、会社にとっては得になるね」

タクヤ 「そうですか」

リョウ 「もし、事実に反してこんな声明を出したとなると、マクドナルドはウソをついたということになる。その場合、正直に事情を説明した場合とは比べものにならないほどに信用を失うだろうな」

タクヤ 「なるほど。確かにマクドナルドは昔から食材についてのあらぬ風評に悩まされてきた会社です。パティの肉についても、『ネコの肉だ』『ミミズから作ってる』なんていう噂が立って都市伝説化して、それを打ち消すのに随分苦労しています。それで、食材の信用度を上げるために、国や認証機関の基準に従って検査も受けているだけでなく、自社でも厳しい基準を作ったりとか、一般の人に店舗のバックヤードを見せたりということもやっています」

リョウ 「わかった。他の人はどう思うか知らんけど、オレはこの声明の内容を信じるよ」

タクヤ 「めでたし、めでたし」

リョウ 「しかし、それでいいのか? オレは信じても、世の中に『そんなの信じられない』っていうやつはゴマンといるぞ。オレの両親とか妹とか、あいつらは絶対信じるって言わないな」

タクヤ 「そうすか。つまり、隊長がご両親や妹御を論破できるような話を私に考えろ、と」

リョウ 「そうは言っとらん。いや、そういうことだけどさ」

タクヤ 「微妙ですね」

リョウ 「何が?」

タクヤ 「それを説明するのは、また少々長くなりますよ。来週までかかったら、もうこんな話のために我々1カ月も時間を使っているという……。現代素材の探検からもなんだか遠ざかってるし」

リョウ 「まあ、いいじゃないか。増粘多糖類のまた別な使い途もわかったし、食品添加物とはなんぞやという話の一つでもあるしさ」

タクヤ 「そこですね、大事なところは。食品添加物は何のために使うのか。とくに、今回の件で言えば、保存料は何のために使うのか。ここ大事です」

リョウ 「というところで、また来週、か。やれやれ」

●このシリーズの第1話
「マクドナルド」ハッピーセットが腐らない話について

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About 北遥 41 Articles
もの書き稼業 きた・はるか 理科好きの理科オンチ。