こうするとノロウイルス拡散

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.22(2017.10.25)を発表した。

注目記事

【英国食品基準庁】ノロウイルスの拡散を防ぐための新たな研究

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)は、Ipsos MORI社により実施された研究「食品取扱者とノロウイルスの伝播:社会科学的分析(Food handlers and Norovirus transmission: Social science insights)」の研究報告書を発表した。

 予備調査段階で、文献調査および5人の専門家へのインタビューで得られた情報にもとづき、5つの制御戦略分野(個人衛生、食品の取扱い、食品の洗浄と加熱、調理台表面および制服の洗浄、仕事に適した健康状態)が特定された。これらは、ノロウイルスの伝播を低減または緩和する可能性のあるいくつかの「慣習と行動」から成っている。

 そして、32カ所の食品関連施設への視察が実施された。それぞれの視察では、食品取扱者および食品取扱者の管理者への詳細な聞き取り調査、職場環境および行動についての体系的な観察、および少数の食品取扱者(聞き取り調査を行った食品取扱者は含まれない)の調査が行われた。

 この結果、調査参加者は多くの場合、ノロウイルスという用語を認識していたが、ノロウイルスに関する知識のレベルは一般に非常に低かった。ノロウイルスがどのようなもので、どのように感染し伝播するかに関して、知識の欠如や混乱がしばしばみられた。調査参加者はノロウイルス感染症の症状、およびノロウイルスの伝播をどのように防止するかについて多少の認識を有している程度で、ノロウイルスが特に顕著な関心事であるというエビデンスはほとんど得られなかった。

 以下に示す7つの「慣習と行動」がノロウイルス伝播リスクをもたらすことが明らかであった。

  • 「個人衛生」分野の「不十分な手洗い・乾燥」および「手を洗わずに手袋をすること」。
  • 「食品の取扱い」分野の「食品を素手で調理すること」および「手袋の定期的な交換を行わないこと」。
  • 「嘔吐があった場所を訓練された人ではなく食品取扱者が清掃すること」。
  • 「調理台表面および制服の洗浄」分野の「制服を洗浄しない、もしくは適切な洗浄を行わないこと」。
  • 「仕事に適した健康状態」分野の「仕事への早過ぎる復帰」。

【欧州疾病予防管理センター他】欧州におけるE型肝炎

 欧州疾病予防管理センター(ECDC: European Centre for Disease Prevention and Control)の「欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)におけるE型肝炎(2005~2015年)」報告書によると、E型肝炎ウイルス(HEV)は世界各地において急性ウイルス性肝炎の主要な原因の1つである。高所得国では遺伝子型3型(GT3)の感染が多く見られる。通常、伝播は人獣共通感染によって起こり、汚染された豚肉や貝類の喫食に関連付けられてきた。感染は無症候性である場合や、自己限定的な急性肝炎を引き起こす場合があるが、稀に、免疫能が抑制状態の患者もしくは基礎疾患として肝疾患を有する患者においては慢性化することがある。症候性感染または合併症のリスク因子には、男性であること、高齢であること、および基礎疾患として肝疾患を有することが含まれる。

 大多数の欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)加盟国において、HEVに対する認識、検査法、サーベイランスシステムが異なり、また公表された関連情報が少ないことから、欧州でのHEV患者数は現段階ではよくわかっていない。しかしながら、高所得国ではHEVは過小評価された病原体で、HEV感染患者数は過去10年間で着実に増加しているというエビデンスが明らかになりつつある。

 Eurosurveillanceの「欧州でのE型肝炎ウイルス感染:確定患者のサーベイランスおよび記述疫学(2005~2015年)」報告書も、高所得国においてE型肝炎ウイルス(HEV)は、急性肝炎の原因として過小評価されているとしている。

 EU/EEA加盟各国は、サーベイランス、検査プログラム、およびHEVヒト感染患者発生への対応方針において足並みを揃えていない。現時点のデータから、欧州全域で患者数が増加していることが明らかである。症例定義および検査指針の標準化により、肝臓関連疾患の新興病原体としてのHEVについて、その疫学をより深く理解することが可能になると考えられる。

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所】消費者の健康リスクに対する認識と関心

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)の「キッチンの病原菌:カンピロバクターよりサルモネラの方がよく知られている(健康リスクの認識に関する第5回BfR消費者調査の結果)」より。

 この調査は、消費者健康保護についてのドイツ国民の認識を反映する一方、一般国民における誤った推定を早い段階で知るための必須の指標となっている。

 今回の調査では前回までと同様、消費者はリスク評価の観点から健康に重要であると分類される「家庭での食品衛生」などのリスクを過小評価しがちであることが示された。

 ドイツにおいては現在、腸管感染症の病原菌としてカンピロバクターが最も一般的であるが、今回の調査で、サルモネラは大多数の人に知られているのに対し、カンピロバクターは少数の人にしか知られていないことが分かった。ドイツでは依然として、喫煙、気候・環境汚染、有害なまたは誤ったダイエット、および飲酒が最大の健康リスクとして捉えられている一方で、ドイツの食品は安全であるという消費者の意見はほとんど変わっていない。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.22(2017.10.25)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201722m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. サイクロスポラ症アウトブレイクの調査(米国、2017年)
2. ペットフードの安全性

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)におけるE型肝炎(2005~2015年)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 飼料全面規制施行後に生まれたウシにおける牛海綿状脳症(BSE)症例

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【Eurosurveillance】
1. 欧州でのE型肝炎ウイルス感染:確定患者のサーベイランスおよび記述疫学(2005~
2015年)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. ノロウイルスの拡散を防ぐための新たな研究

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. キッチンの病原菌:カンピロバクターよりサルモネラの方がよく知られている(健康リ
スクの認識に関する第5 回BfR 消費者調査の結果)

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報