大西洋の貝による腸炎ビブリオが増加

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.09(2014.04.30)を発表した。

注目記事

【US CDC】大西洋岸の貝類による腸炎ビブリオが増加

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)によると、2012年5~7月、ニューヨーク州Oyster Bay Harbor産の貝類に関連するPNW株の腸炎ビブリオ(Vp:Vibrio parahaemolyticus)により、9州で28人が発症するアウトブレイクが発生した。また同じ頃、スペインの大西洋岸に入港したクルーズ船でPNW株のVpによりアウトブレイクが発生した。米国およびスペインのアウトブレイクの患者由来のVp分離株はいずれもPFGEパターンが同一であった。

 患者は、現地の未処理の海水から作られた氷で冷却された加熱済み水産食品の喫食に関連していた。

 Vpの血清型O4:K12およびO4:K不明は、北西太平洋岸(PNW)株からなっており、米国では、2011年まで、北西太平洋岸の採捕水域に由来する貝類以外では検出されなかった。

【CFIA】2009~2010年に行われた生鮮葉物野菜の病原菌および大腸菌群汚染の検査結果

 カナダ食品検査庁(CFIA)の報告。カナダでは安全とは言えない食品から国民を保護するため、同国の食品安全システムを近代化し強化する目的で食品安全行動計画(FSAP)を策定している。

 中でも葉物野菜は生鮮果物・野菜のうちでも優先度の高いFSAPの強化サーベイランスの対象品目グループの一つに選ばれている。

 というのも、葉物野菜は多くの食品由来疾患アウトブレイクの原因食品として世界中で報告されてきた。国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)は、微生物学的ハザードの観点から、生鮮果物・野菜のうちで葉物野菜を最も優先順位の高い品目グループとしている。

 葉物野菜は収穫後に最小限の処理(トリミング、カット、消毒、洗浄、包装)しかなされず、しかも生で喫食されることが多い。したがって、生産段階のいずれかで混入した病原体は、生残するだけでなく増殖する可能性がある。

 また、細菌性の病原体であるサルモネラおよび大腸菌O157:H7は、世界中で葉物野菜によって発生する食品由来疾患アウトブレイクの大部分に関連してきた。また、リステリア(Listeria monocytogenes)は環境中に広く存在し、冷蔵温度でも増殖可能であることから、そのまま喫食可能な(RTE)カット済み生鮮葉物野菜などのRTE食品で最も懸念すべき病原菌として指摘されている。

 FSAPの5回にわたる年ごとの微生物学的調査(2008/09年~2012/13年)で、10,000を超える数の葉物野菜検体が小売店から採取され、懸念すべき複数の病原菌の検査が行われた。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.09(2014.04.30)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201409m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. Roos Foods社の乳製品に関連して複数州にわたり発生したリステリア症アウトブレイク(最終更新)
2. 大西洋岸の貝類の喫食に関連した腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)感染患者の増加(米国、2013年)

【カナダ食品検査庁(CFIA)】
1. 2009~2010年に行われた生鮮葉物野菜の病原菌および大腸菌群汚染の検査結果

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州連合/欧州経済領域加盟国内で発生しているA型肝炎アウトブレイク(第2回更新情報)
2. 欧州食品安全機関(EFSA)の年次報告書(2013年)

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1. デンマークにおけるサルモネラ症(2013年)

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報