食品安全情報(化学物質)No.24(2011.11.30)

国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。トータルダイエットスタディの方法を統一するためのガイドラインが発表された。EUは食品添加物の規則を改定、甘味料としてステビオール配糖体の使用を認めた。

注目記事

【EFSA、FSANZ】トータルダイエットスタディについて

 EFSA(欧州食品安全機関)は、FAOおよびWHOと共同で統一したトータルダイエットスタディ(total diet study/TDS)アプローチを目指すためのガイドラインを発表した。また、FSANZ(オーストラリア・ニュージーランド食品基準局)は、第23回オーストラリアトータルダイエットスタディ(ATDS)の結果を発表した。

 TDSというのは、普段私たちが食べている食事から、ある化学物質(栄養素、汚染物質、残留農薬等)をどの程度摂取しているのかを知るための調査(摂取量調査)である。しかも、食品中の化学物質の濃度の測定は、原料そのものではなく、皮を剝いたり調理をしたりして、食べるときと同じ状態のものについて行っている。

 現在も各国で独自にTDSを実施しているが、国によって用いる方法が異なる場合もあり、データを直接比較することはできない。そのため、各国間でTDSのデータを比較できるよう、EFSA、WHOおよびFAOがTDSの方法を統一するためのガイドラインを発表した。

 TDSで重要なのは、ある化学物質をどの程度摂取しているかを確認するだけでなく、その摂取している量によるリスクがどのくらいなのかを知ることである。たとえば、FSANZのTDS報告では、得られた摂取量データをヒトへの健康影響の指標となる「許容量」や「耐容量」と比較したり、それらの指標がないものについてはある程度のリスクが考えられる量と摂取量との差を推定する暴露マージン(MOE)アプローチを利用してリスクを評価している。

【FSA】新しい食品添加物規制は消費者保護を強化

 EUでは食品添加物の規則が改定された。新たに、甘味料としてステビオール配糖体の使用が認められた。

【Evira】研究セミナー:ヒ素分析の新しい可能性

 Evira(フィンランド食品安全局)の化学および毒性研究部門の研究員が、ヒ素分析の新しい可能性について講義を行い、本講義の要旨を公開した。

 ポイントは、各ヒ素化合物を別々に測定(定量)しようとしていること。これまで、食品中のヒ素を測定する場合には、化合物の種類に関係なくヒ素の総量として測定されることが多かった。ヒ素の無機化合物は、有機化合物よりも毒性が高く、発がんリスクを高めると考えられている。つまり、食品に含まれるヒ素の総量が同じでも、無機化合物と有機化合物の割合の違いでリスクの大きさが変わるというわけである。

食品安全情報へのリンク

「食品安全情報」
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.24(2011.11.30)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2011/foodinfo201124c.pdf

今号の目次

【EC】
1. フードチェーンの毒性学的安全性に関する科学委員会の2011年9月9日の会合の議事概要
2. 抗生物質耐性に対抗する行動計画:欧州委員会は今後5か年の12の具体的計画を発表
3. FVO視察報告書
4. EUにおける健康強調表示の認可状況
5. 食品および飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 統一されたトータルダイエットスタディアプローチを目指して:ガイドライン
2. EFSAはアスパルテームについての企業研究原本を発表
3. 昆虫耐性遺伝子組換えトウモロコシ1507の栽培のための環境リスク評価とリスク管理への助言を更新する科学的意見
4. 動物栄養に用いられるBacillus種の毒素産生性評価についての技術的ガイダンス

【ECDC】
1. Eurosurveillance:オカダ酸およびディノフィシストキシン-3エステルに汚染されたイガイによる食中毒アウトブレイク、フランス、2009年6月

【FSA】
1. 海での油や化学物質の流出事故対策ガイドライン発表
2. 新しい食品添加物規制は消費者保護を強化
3. チェルノブイリ後の農場制限解除について意見が必要
4. Drop Vodkaを飲まないよう警告
5. マイコトキシンの調査発表

【DH】
1. 強化食品:食品にビタミンやミネラルやある種のその他物質を添加することに関するEuropean Regulation(EC)No.1925/2006のコンプライアンスガイド
2. 栄養と健康強調表示:食品の栄養と健康強調表示に関するRegulation(EC)1924/2006のコンプライアンスガイド

【MHRA】
1. 香港衛生署がハーブレメディCardiotiumに表示されていない医薬品成分を検出

【HPA】
1. 科学者が欧州の人々の有害化学物質レベルを評価

【BfR】
1. 農薬の有効成分:ADIと飲料水のガイドライン値
2. グリホサートの健康リスク評価についてのFAQ

【ANSES】
1. ANSESはホルムアルデヒドをEUレベルで発がん物質に分類することを提案

【FSAI】
1. 10人中5人が消費期限を無視している-FSAI

【EVIRA】
1. 研究セミナー:ヒ素分析の新しい可能性

【FDA】
1. 警告文書(2011年11月15日、22日公表分)

【EPA】
1. EPAはこれまで部外秘だった化学物質情報を公開

【CDC】
1. 麻痺性貝毒中毒(PSP) 東南アラスカ、2011年5~6月

【FSANZ】
1. ファクトシート:ボトル入り水のフッ素
2. 食品基準改定
3. 消費者レベルリコール
4. GMトウモロコシ系統の申請について意見募集
5. ファクトシート:全粒紛食品
6. 研究はオーストラリアの食品供給の安全性を確認

【APVMA】
1. 化学物質規制機関は水系を守るためジウロンを一時停止

【KFDA】
1. 日本原子力発電所関連食品医薬品安全庁対応および管理動向(18)
2. ジャガイモ、理解して摂取すればさらに良い!
3. 食品中異物発見時の消費者対応要領

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ILSI)ILSIヨーロッパGuIDEワークショップ-食事摂取暴露評価ガイダンス
・(ProMED-mail)麻痺性貝毒中毒 フィリピン:(バターン)

登田美桜
About 登田美桜 37 Articles
国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室主任研究官 とだ・みおう 農学博士。国立医薬品食品衛生研究所は、医薬品、食品、その他生活環境中に存在する物質について、品質、安全性、有効性を評価するための試験、研究、調査を行う機関。 安全情報部の「食品安全情報」は、食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報を伝える。