欧州委員会から目が離せない

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.12(2018.06.06)を発表した。また、欧州委員会(EC)の査察報告書に関する記事のまとめを食品安全情報(化学物質)No.12(2018.06.06)別添として発表した。

注目記事

【FSSAI】プレスリリース:2022年までにトランス脂肪から自由に

インド食品安全基準局(FSSAI)は、バナスパチ(バター代用品の植物油)/ベーカリーショートニング/マーガリン中のトランス脂肪酸含量を段階的に2%以下にする基本原則を決定した。近日中に規則案を作成し、3~4カ月のうちに最終規則とする予定である。

※ポイント:前号でご紹介したように、WHOが工業的に生産されるトランス脂肪酸を世界のフードサプライから段階的に排除することを呼びかけたことを受けての決定で、方向性としてはトランス脂肪酸を含む部分水素添加油を除くというものです。2%以下という基準はデンマークなど複数国でも提案されている割合です。

【EC】EU官報

2018年5年29日、欧州委員会がイミダクロピリド、クロチアニジン、チアメトキサムに関する規則を各々採択した。グリーンハウス内でのみ使用・栽培される植物の種子を除き、これらの農薬で処理した種子の販売・使用をしないことを定めている。2018年12月19日から適用される。

※ポイント:EUでは、農薬ネオニコチノイド3種について屋外の使用禁止に関する規則が採択されました。ミツバチの減少と関連している可能性への懸念を受けての措置ですが、世界的に見ると、そのような懸念への判断はさまざまです。たとえば、今号で紹介しているオーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)の記事を見ると、オーストラリアでは飼育ミツバチでも野生ミツバチでも減少は観察されておらず、オーストラリアで使用されているネオニコチノイドについて現時点では見直す予定がないと報告しています。

【EC】欧州委員会、食品の主原材料の原産地表示に関する新しい規則を採択

食品の主原材料の原産国・原産地が、その食品の産地と異なる場合、消費者が誤解しないよう表示が必要となる規則が採択された。本規則は2020年4月1日から適用される。

※ポイント:表示が必要となる主原材料とは、重量で50%を占める原材料か、一般的にその食品の名前に関連づけられる原材料と定義されています。他にEUでは、豚、羊、山羊、家禽の生・チルド・冷凍肉の飼育国/地域に関する表示の規則が2015年に発効しています(Commission Regulation(EU)No 1337/2013)。

【EFSA】グリホサート:残留濃度の安全性のレビュー

欧州食品安全機関(EFSA)は、農薬の有効成分グリホサートに関する食品の最大残留基準(MRLs)を見直すためのレビューを完了した。レビューは、EU加盟国から提出された残留データに基づいている。提出されたデータには不足があり、EFSAが提案したいくつかのMRLsについてはリスク管理者によるさらなる検討を要すると考えられる。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.12(2018.06.06)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201812c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.12(2018.06.06)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201812ca.pdf

今号の目次

【FAO】
1. コーデックス:食品輸入専門家ワーキンググループが基準案で前進

【EC】
1. 欧州委員会、食品の主原材料の原産地表示に関する新しい規則を採択
2. EU官報 L132
3. 欧州委員会はApulia での有害生物「Xylella fastidiosa」の拡散を適切に予防するのに失敗したことでイタリアを裁判所に訴える
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. グリホサート:残留濃度の安全性のレビュー
2. ケシの実に含まれるアヘンアルカロイド類:評価更新
3. EUミツバチパートナーシップのための委託事項
4. ビューベリシンとエンニアチンのin vivo毒性および遺伝毒性:複合アプローチ
5. 飼料中のフモニシン類、それらのmodified型およびhidden型の存在が関連する動物の健康におけるリスク
6. 健康強調表示関連
7. 新規食品関連
8. 飼料添加物関連
9. 遺伝子組換え関連
10. ジクワットへの非食事性暴露についての言及
11. ヨーロッパブドウの茎のタンニンをブドウの木の防カビ剤として植物保護の目的に使用するための基本物質申請に関する加盟国とEFSAの協議結果

【FSA】
1. True Value Candys社は窒息リスクのためSuper Jelly ConeとSuper Pudding Coneをリコール

【PHE】
1. 企業の砂糖削減の進行状況の最初の指標発表

【NHS】
1. Behind the Headlines

【BfR】
1. 植物保護製品中の有効成分の承認に係るEUの手続きを担当する特別委員会: BfRのプレゼンをウェブ上で公開

【ANSES】
1. スライム:リスクが無いわけではない大人気のパテ状玩具
2. ANSESの研究およびリファレンス室総局長Gilles Salvat氏への3つの質問

【FDA】
1. FDA、未承認のクラトム製品をオピオイド中止、鎮痛および他の医療用として違法に販売していた会社に警告
2. 消費者を日光の有害な暴露から安全に守り日焼け止めの長期安全性と利益を確保するためのFDAの新しい対応についてのScott Gottlieb長官の声明
3. 小規模食品施設をFDAに登録する際に役立つ新しいガイド
4. VQIP申請期間が終了、FDAは輸入業者に来年早期の申請期間に向けての準備を促す
5. GE植物品種由来食品についてのバイオテクノロジー相談
6. FDAは食品安全性近代化法のプログラムに基づきACFSを認定機関として承認

【USDA】
1. USDAは提案されている全国遺伝子組換え食品(Bioengineered Food)開示基準についてのウェビナーを発表

【NIH】
1. カリウム

【APVMA】
1. ネオニコチノイド類に対するEUの懸念表明を受けて

【TGA】
1. 安全性助言

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品医薬品安全庁、輸入食品の現地生産段階での安全管理強化
3. 韓国とベトナムは食品・医薬品の安全に関する了解覚書を締結
4. 産卵鶏農家の卵検査結果、不適合卵の回収・廃棄
5. 回収措置

【FSSAI】
1. プレスリリース:2022年までにトランス脂肪から自由に

【その他】
・(ProMED-mail)キノコ中毒 イラン
・(ProMED-mail)スコンブロイド中毒 ヨーロッパ(第3報):スリランカとオランダ経由ルクセンブルグ
・(EurekAlert)最も人気のあるビタミンやミネラルサプリメントは健康上の利益はない、研究が発見

別添
【EC】査察報告書