アクリルアミドはがん発症リスクを増加させる可能性あり

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.14(2014.07.09)を発表した。

注目記事

【EFSA】食品中のアクリルアミドは公衆衛生上の懸念となる、とEFSAの案は述べる

 EFSAは、動物実験に基づき、食品中のアクリルアミドはすべての年齢の消費者にがんを発症するリスクを増加させる可能性があるという先の評価を確認した。欧州では、コーヒー、フライドポテト、ビスケット、クラッカー、パン、ある種のベビーフードが重要なアクリルアミド摂取源である。体重当たりでは子どもたちが最も暴露量が多い。EFSAは、科学的意見についてのパブリックコメント募集を開始した。9月15日まで意見を受け付ける。

※ポイント:食品中のアクリルアミドの濃度は、発見当初と比較すればある程度低減できているようですが、最近のデータでは大きな変化は見られていません。これまで、低減化のための対応は主に食品事業者が行ってきました。

 しかし、アクリルアミドは食品の加工中に生成する汚染物質なので、事業者が食品を加工する時だけでなく家庭での調理でも生じます。家庭では揚げすぎたり、焼きすぎたりすることも少なくないことから、家庭の調理由来の暴露も重要で、人が実際にどの程度のアクリルアミドを摂取しているのかを知るためにはそのデータが必要となります。

 そのため、EFSAは、データ収集の方法を改善し、家庭での調理や摂取に関するデータをより蓄積することを推奨しています。もし家庭調理に関連する暴露量が非常に多いということになれば、管理ポイントを特定できることになるので、さらなる低減化につなげられるでしょう。

【EC】食品獣医局(FVO)査察報告書

 英国及びベトナムでの農薬管理、モーリシャス、ロシア連邦、シンガポール及びパナマでの水産物管理、並びにタイでの遺伝子組換え作物管理に関する食品獣医局(FVO)査察報告書を報告した。

※ポイント:これまでにも様々なFVO査察報告書を紹介してきました。FVOには、EU諸国が食品安全、品質、動植物に関する規制を遵守しているか、また第三国からEUへ輸出されるものがEUの規制に準じているかを監視する役目があります。そのため、定期的にEU諸国や第三国へ査察団を派遣し、改善すべき点などをまとめた報告書を発表しています。さらに、数年ごとにフォローアップ査察も実施しています。毎年、査察計画書が公表されているので、FVOがいつ何に着目して監視しているか参考になります。

※査察計画:Food and Veterinary Office – Audit Programmes
http://ec.europa.eu/food/fvo/inspectprog/index_en.htm

【MPI】健康スターランキング 新しい食品表示システム

 ニュージーランド政府は、オーストラリアの(自主的)包装表面表示システムに参加することを発表した。この星印による健康ランキングシステムは、消費者が健康的な選択を、より早く簡単にできるようにする。

※ポイント:欧米諸国で消費者に分かり易い表示の開発が進められているという記事をこれまで紹介してきましたが、今回はオーストラリアやニュージーランドでの取り組みです。全体的な栄養価を星印の数で表現しようというものです。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.14(2014.07.09)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201414c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:英国、ベトナム、モーリシャス、ロシア連邦、タイ、シンガポール、パナマ
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品中のアクリルアミドは公衆衛生上の懸念となる、とEFSAの案は述べる
2. 照射酸化鉄について提供された情報の妥当性と頑強性に関する声明
3. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSA年次事件報告発表

【HSE】
1. 最新モニタリング結果

【PHE】
1. 新着情報(Publications about Public health):ガイダンス

【NHS】
1. Behind the headlines:農薬と自閉症の関連の可能性

【BfR】
1. アイスランドが食品安全対策を改善する
2. 2014年6月2~3日の第5回BfR関係者会議「食品の安全性とグローバル化-挑戦と機会」の概要
3. 肉及び乳中のホルモンに関するQ&A

【ANSES】
1. ANSESは動物衛生分野での抗生物質の使用パターンに関する抗菌剤耐性出現のリスク評価を発表

【EVIRA】
1. 野生ベリーの産地表示

【FDA】
1. FDAは中小企業がグルテンフリー表示の必要条件を守るのに役立つガイドを発表
2. FDAはナノテク製品の責任ある開発を支援するガイダンスを発表
3. 異物混入ダイエタリーサプリメントの製造業者に連邦裁判所で判決
4. 回収情報
5. 警告文書(2014年6月5~17日公表分)
6. FDAは抗菌剤耐性戦略に企業の完全参加を確保する
7. 連邦判事はニューヨークのダイエタリーサプリメントメーカーとの同意判決を承認

【EPA】
1. EPAはトリクロロエチレン(TCE)についての最終リスク評価を発表 / EPAはヒト健康リスクの可能性について対策を開始

【CDC】
1. 労働年齢の死亡の10人中1人は過剰飲酒による

【CFIA】
1. Harper政権はカナダ産メープルシロップに新しい基準案を発表
2. 企業向け通知-2014年7月1日からブタの同定を義務化
3. キャンディ、チョコレート、ココアパウダー中の鉛の検査では健康上の懸念はない

【FSANZ】
1. 回収情報

【TGA】
1. 登録およびリスト掲載医薬品
3
2. 治療用製品を規制するためのベネフィットとリスクアプローチ
3. 警告

【MPI】
1. 健康スターランキング 新しい食品表示システム

【香港政府ニュース】
1. 2検体が食品安全検査に不合格

【MFDS】
1. 参考資料(日本産輸入食品の放射能検査の結果)
2. 柴胡など食用不可の原料を使用した健康機能食品メーカーの摘発
3. 酵素などの特定の原料使用の食品企画の監視結果

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)ピーナッツはミルクや卵ほど保護者を慌てさせない
・(EurekAlert)セントジョーンズワートは多くのよく使用される医薬品と危険な相互作用をする
・(EurekAlert)食品成分への恐怖
・(EurekAlert)海の細菌が難燃剤の天然の発生源である
・文献書誌事項