
国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。WHOは食品や飲料水を介した暴露によるPFASのリスクを評価するイニシアチブを開始した。米国FDAはクチナシ青色色素の食品への使用に関する請願を承認した。
注目記事
【RIVM】WHOのPFASリスク評価イニシアチブにおけるRIVMサブタスクの報告書
世界保健機関(WHO)は、2023年12月、食品や飲料水を介した暴露によるPFASのリスクを評価するイニシアチブを開始した。その第1フェーズ(2024-2025年)では、PFASによる健康影響と暴露に関するランドスケープレビュー(作業パッケージ1)とPFASの詳細なヒト健康リスク評価のための方法論の開発(作業パッケージ2)を実施し、その後に第2フェーズ(2025-2027年)として、PFASに関する健康影響に基づく指標値(HBGV)の導出を目指している。このWHOイニシアチブに関連してオランダ国立公衆衛生環研究所(RIVM)が、第1フェーズの作業パッケージ2に含まれる3件の報告書を発表した。
※ポイント:WHOが現在進めているPFASの包括的なリスク評価に関連した記事です。今回RIVMが発表した報告書では、PFASによるヒトへの健康影響に関する根拠の体系的な収集・評価のためのプロトコルの開発と、PFAS混合物の経口暴露に関するHBGVの導出とリスク評価のアプローチについて検討しています。RIVMは、PFASに含まれる複数の化合物を実態調査データと毒性データを用いて健康影響(一般的には標的臓器に基づく)の種類毎にグループ化すること、混合物全体を一括りにするのではなく成分(化合物)ベースのアプローチを用いること、用量加算に基づくリスク評価を行うことなどを推奨しています。これら報告書は、将来的にWHO(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議/JECFA、飲料水水質ガイドライン専門家グループ含む)が実施するリスク評価に向けたガイダンスという位置づけのようです。
【FDA】FDAはクチナシ(ゲニピン)青色色素を承認、同時にFD&C赤色3号の段階的廃止を促進する
米国食品医薬品局(FDA)は、利益団体Gardenia Blue Interest Group(GBIG)から提出された、GMP(適正製造規範)に適合した濃度でのクチナシ(ゲニピン)青色色素のさまざまな食品への使用に関する色素添加物請願を承認した。発効日は2025年8月29日。同時に、食品製造業者に対し、ダイエタリーサプリメントを含む食品へのFD&C赤色3号の使用の段階的廃止を2027年1月15日の期限よりも早めるよう促す書簡を発送した。
※ポイント:新政権が実施している天然由来色素についての承認の4例目です。赤色3号の段階的廃止を催促する事業者宛の書簡の発送も行っていますが、このような催促は製品リコールなどを除いて以前は行っていなかったように思います。そのため、これも新政権になってから始めた取組だと感じています。
【FAO】食物アレルゲンのリスク評価に関するFAO/WHO特別合同専門家会合-リスク評価のためのガイダンス要約と結論
食物アレルゲンのリスク評価のガイダンスに関する科学的助言を求めるコーデックスからの最近の要請に応え、FAOとWHOは、食物アレルゲンのリスク評価に関する勧告を提供するため、2025年6月16〜20日にローマで専門家会合を開催した。その会合の結論の要約を公表した。完全な報告書は「Food Safety and Quality Series」の一部として出版される予定である。
(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)
目次
【FAO】
1. 食物アレルゲンのリスク評価に関するFAO/WHO特別合同専門家会合-リスク評価のためのガイダンス要約と結論
2. 大阪万博2025で食品安全の未来を探る:FAOは細胞性食品の安全とイノベーションに関する対話に貢献
3. Codex
【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. オーガニックと認証されている食品及び飼料中の未承認物質の調査結果
2. 比較トキシコゲノミクスデータベースの処理済みOMICSデータからの化学物質分類の推定
3. 農薬の環境リスク評価の改善:EU規制の枠組みにおける高度な散布ドリフトモデルの必要性
4. preDQの更新&アップグレードHLA‐DQ2及びHLA‐DQ8に対するペプチド結合を予測するためのpreDQソフトウェアツールの更新とメンテナンス
5. 新興リスク分析プラットフォーム(ERAP)
6. 食品添加物関連
7. 食品酵素関連
8. 新規食品関連
9. 遺伝子組換え関連
10. 農薬関連
【FSA】
1. FSAは、CBD事業者が安全上の理由からパブリックリストにある製品の組成を変更することを認めるガイダンスを更新した
2. 夏のスラッシュ警告:スラッシュアイスドリンクに含まれるグリセロールは7歳未満の子供には安全ではないため、7歳から10歳の子供には制限する必要がある
3. FSAが機械的分離肉に関する事業者向けガイダンスを公表する
4. FSAの年次報告書によると、食品価格と超加工食品が依然として消費者の最大の懸念事項である
5. 都市部で栽培された食品に対する消費者と関係者の認識6. 英国の食品貿易に対する貿易ショックの影響の分析
【FSS】
1. テイクアウト食品の分析で警告的な結果が明らかになったため、政府に公衆衛生を優先するよう求める
2. FSSはスコットランドの食生活と健康の改善に向けた、緊急かつ大胆な行動を求める
3. FSS及びスコットランド政府からの声明:スコットランド産サケのウミジラミに関連する公衆衛生リスク
【DWI】
1. 研究報告書「有機リン系難燃剤-イングランドとウェールズの飲料水のリスク-フェーズ2」発表
【RIVM】
1. WHOのPFASリスク評価イニシアチブにおけるRIVMサブタスクの報告書
【ANSES】
1. 食品の安全性:科学はどのようにして消費者の健康を守るのか
2. PNR EST:ANSESは資金提供するプロジェクトのデータへのオープンアクセスを引き続き促進する
【FDA】
1. FDAはクチナシ(ゲニピン)青色色素を承認、同時にFD&C赤色3号の段階的廃止を促進する
2. FD&C赤色3号の段階的廃止に関する食品製造業者への書簡
3. FDAのMarty Makary長官の声明:ゴールドスタンダードの科学、透明性、そして常識を体現した100日間
4. 魚介類に関連する毒素及びスコンブロトキシンによる魚中毒の報告方法
5. FDAは乳児及び子供向け食品の安全性確保のため、業界リーダーに対し、製品リコールに関するコミュニケーションの合理化と強化を促す
6. 動物用食品及び飼料
7. GRAS申請通知
8. 植物新品種協議
9. 公示
10. 警告文書
11. リコール情報
【NIH】
1. ファクトシート更新
【FTC】
1. FTCは、減量サプリメント販売業者の欺瞞的な強調表示とレビュープラクティスによって被害を受けた消費者に返金を送付
【CFIA】
1. 選択した食品中のダイオキシン類及びダイオキシン様化合物–2014年4月1日〜2019年3月31日
2. リコール情報
【FSANZ】
1. 加工助剤としてのアミノペプチダーゼYに関する意見募集2. 食品基準通知
【APVMA】
1. 査察のレビューの期間延長とサービス改善の取り組み
2. 「よく似た」第6項及び第7項の申請のための申請要件に関する更新
【TGA】
1. リコール情報
【香港政府ニュース】
1. 食品混入不純物(金属汚染物質)改正規則2025が官報に公表される
2. プレスリリース
3. 違反情報
【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 2024年食品輸入量1,938万トン、前年比5. 4%増加
3. 食薬処、国民のナトリウム・糖類摂取実態分析結果を発表
4. チョングッジャン(韓国味噌)、ヒマワリ油など消費期限の参考値を追加公開
5. 食薬処、畜産物の自己品質検査ガイドブック発刊
6. 食薬処、「食品表示情報手話映像制作マニュアル」を発刊
7. 回収措置
【SFA】
1. Forum Replies:SFAは食料のレジリエンスに引き続き注力する
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.15(2025.07.23)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202515c.pdf