欧州5カ国が全PFAS制限案

No.04(2023.02.15)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州5カ国はパーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)に分類されるすべての化合物の生産と使用を制限するという規制案を提出した。米国FDAは、カンナビジオール(CBD)製品をダイエタリーサプリメントとして販売できるようにする検討を求めた市民請願を退けた。米国FDAはまた、ヒト用食品プログラム(Human Foods Program)という新しいビジョンを発表した。

注目記事

【ECHA】ECHAがPFAS規制案を公表する

 欧州5カ国(デンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン)から、パーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)に分類されるすべての化合物の生産と使用を制限するという規制案が、欧州化学品庁(ECHA)へ提出された。今後、ECHAのリスク評価(RAC)および社会経済分析(SEAC)の科学委員会がREACH規則を踏まえて検討し、パブリックコメントを経た後に、立法案が欧州委員会(EC)へ提出される予定である。

※ポイント:この規制案の最大のポイントは、約1万種に及ぶすべてのPFASが対象になっている点でしょう。PFASは多種多様な用途に使用されているため、どこまで対象範囲とするかは検討されると思いますが、それでも他に例を見ないほど広範に大きな影響が生じることが予想されます。そのため今後の動向に注目しておく必要があるでしょう。現時点では、2025年に制定し、適用については用途に応じて最長12年間の移行期間を設けることが提案されています。

【FDA】FDAはCBDとダイエタリーサプリメントに関連する3件の市民請願への回答を発表

 米国食品医薬品局(FDA)は、業界団体から提出された、カンナビジオール(CBD)製品をダイエタリーサプリメントとして販売できるようにする規制の検討を求めた3件の市民請願を退ける決定をした。入手可能な科学的根拠をもとに慎重にレビューした結果、ダイエタリーサプリメントに関する現行規制がCBD製品に適していない上、適切な安全基準を満たすことを示す根拠はなく明白でないことを理由としている。ただしCBD製品を利用したいという消費者の要望があることを受け、CBD製品のための新たな規制の枠組みが必要であり、その検討のための協力は惜しまないとの声明も発表した。

※ポイント:米国FDAはこれまでもCBD製品の個々の製造・販売業者に対して警告文書を発送するなどの対応を行ってきましたが、今回の声明で、ダイエタリーサプリメントとしての販売を認めないという意思を明確にしたので、今後は大々的に監視されるのではないかと予想します。

【FDA】FDAは統一した予防および対応活動を強化するため、ヒト用食品プログラムの再構築を提案する

 米国FDAは、ヒト用食品プログラム(Human Foods Program)という新しいビジョンを発表した。この組織改革は、食品安全・応用栄養センター(CFSAN)、食品政策・対応局(OFPR)、および規制局(ORA)の一部の機能を統合し、FDA長官直属の一人のリーダーを配置して権限を持たせた上で、系統だった組織運営を目指している。また、栄養上級センター(Center for Excellence in Nutrition)、州や地方の規制当局と行う業務の調整を担当する統合食品安全システムパートナーシップオフィス(Office of Integrated Food Safety System Partnerships)などを新設する。動物用医薬品センター(CVM)は引き続き独立させ、ヒト用食品プログラムと並列組織とする計画である。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.04(2023.02.15)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202304c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 出版物

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. SCHEER(環境及び新興リスクに関する科学委員会)
2. SCCS(消費者安全に関する科学委員会)
3. 欧州のフードチェーンに関する主要な数値 –2022年版
4. 査察報告書
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EMA】
1. EU における動物用医薬品の残留物へのヒトの食事暴露の評価

【ECHA】
1. ECHA が PFAS 規制案を公表する

【EFSA】
1. 欧州市民の海藻類と塩生植物類の摂取による重金属への食事暴露とヨウ素の摂取量
2. 化学物質モニタリング報告ガイダンス:2023年データ収集
3. 馬と家禽用デオキシニバレノールの毒性に関する情報の評価
4. 鳥類と哺乳類のリスク評価
5. 食品添加物関連
6. 食品酵素関連
7. 食品接触物質関連
8. 農薬関連
9. 飼料添加物関連

【FSS】
1. カロリー超過に取り組むため製品を組成変更する企業を手助けする新たなパートナーシップについて

【COT】
1.2023年2月7日の会合

【UKHSA】
1. イングランドの子供たちの鉛暴露:年次報告書要約

【ASA】
1. ASA 裁定

【BfR】
1. スペルトでもアレルギーを誘発する可能性がある-スペルトが小麦の一種であることは一般にあまり知られていない
2. 二酸化硫黄と亜硫酸塩:EFSA の再評価により多量摂取で健康リスクが確認された;データ状況はまだ不完全

【RIVM】
1. スズ及び無機スズ化合物の生殖への有害影響に関する入手可能なデータの概要
2. 地表水中の18の農薬の新しいリスク限度
3. オランダ人はより健康的な食品を食べている:植物製品は多く、赤肉と加工肉は少なく

【VKM】
1. 養蜂に varroa ダニ対策として捕食性ダニ Stratiolaelaps scimitus-生物多様性へのリスク

【Tukes】
1. チアメトキサムあるいはクロチアニジンを含む植物保護製品には将来逸脱は認められない-2023年の栽培期は処理したテンサイ種子をまだ植えることができる

【FDA】
1. FDA は CBD とダイエタリーサプリメントに関連する3件の市民請願への回答を発表
2. FDA は統一した予防及び対応活動を強化するため、ヒト用食品プログラムの再構築を提案する
3. FDA は高フラバノールココアパウダーのココアフラバノールと循環器疾患のリスク削減との限定的健康強調表示を発表
4. ウェブキャスト:FDA グランドラウンド
5. FDA は乳児用調製乳のタンパク質品質試験に関するガイダンスを提供
6. COVID-19への政府の対応に関する証言
7. 公示
8. リコール情報
9. 警告文書

【NTP】
1. TOX-106の要約:SD ラットと B6C3F1/N マウスに飲水投与したメタバナジン酸ナトリウムと硫酸バナジルの毒性試験

【USDA】
1.2025食事ガイドライン更新委員会は多様で先住民の視点で強化される

【FTC】
1. FTC は ZyCal Bioceuticals に詐欺的健康マーケティングを止めるよう命令

【US 官報】
1. Magnuson-Stevens 水産保全管理法;シーフード輸入監視計画

【FSANZ】
1. 食品基準通知
2. 食品基準ニュース

【TGA】
1. プレスリリース

【MPI】
1. Kapara Harbour の貝類に関する公衆衛生警告

【香港政府ニュース】
1. プレスリリース
2. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.「不眠症」を改善する食品はありません!
3. 名節用食品の一斉点検の結果、違反業者87箇所を摘発・措置
4. 米、大根、白菜130件のミクロシスチン分析の結果、全て不検出
5. 安全な輸入食品の消費環境、食薬処が作っていきます
6. 食品用の透明廃ペットボトルをリサイクルした食品容器第1号誕生が間近
7. 旧正月用のプレゼント購入時、オンライン不当広告に騙されないで!
8. バナバ葉抽出物など機能性原料9種を再評価
9. カビ毒が超過検出された輸入「コーヒー豆」の回収措置
10. 食薬処、「食品公典:残留農薬の試験法の実務解説書」を発刊
11. 消費者の好みに合わせた多様な食品製造が可能になります
12. 食薬処、第1四半期、ラーメン、茶類、蜂蜜などの安全性検査を実施
13.2022年に多く輸入・消費された食品は何でしょうか?

【SFA】
1. シンガポールの食品検査能力を強化する

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail2件