医療施設の食品由来疾患の研究

No.19(2022.09.14)

絵・いらすとや

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国FDAは、産卵鶏が自由に出入り可能な鶏舎による生産者向けガイダンスを発表した。Eurosurveillanceで発表の論文「高所得国における医療施設関連の食品由来アウトブレイク」では、病院・食品安全当局・公衆衛生当局の間での分野を越えた緊密な協力と情報交換が必要としている。

注目記事

【米国】産卵鶏が自由に出入り可能な鶏舎による生産者向けガイダンス

 米国には、殻付き卵に関する規則「殻付き卵の生産・保管・輸送時におけるサルモネラ
(Salmonella Enteritidis)汚染の防止」(Prevention of Salmonella Enteritidis in Shell Eggs During Production, Storage, and Transportation)があり、そのうちの一部の要件をどのようにして遵守するかについて、米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)が殻付き卵の生産業者向けに最終ガイダンスを発行した。

 このガイダンスは、鶏卵業者の当該規則の遵守を支援するためにFDAが発行した4つ目のガイダンスである。当該規則には養鶏場での殻付き卵のS. Enteritidis(SE)汚染を防ぐための要件が定められており、本ガイダンスは、鶏が鶏舎の外に出られる飼育方法を採用している鶏卵業者向けにこの要件を守るための推奨事項を提供している。2013年7月に発行されたガイダンス案からの大きな変更点は、ポーチが鶏舎の一部ではなく鶏舎の外の部分として指定されたことである。この変更は、草案に対して寄せられた意見も考慮に入れてFDAが行ったものである。

 産卵鶏がポーチや放し飼い区域などの鶏舎の外に出られる飼育方法でも当該規則を遵守することは可能であるとFDAは考えている。規則を遵守するためには、鶏舎の中や周辺にSEが侵入・伝播しないようにしなければならない。これは、鶏舎の外のエリアでSEを管理し、鶏舎内へのSEの持ち込みを確実に阻止する対策を実践することによって可能である。

 本ガイダンスは、産卵鶏が鶏舎の外に出られる飼育で最も広く行われている卵の生産方法を紹介し、鶏舎の外でのげっ歯類やハエの監視などの SE 汚染予防策を鶏卵業者がどのように実施できるかを説明している。

【欧州】医療施設関連の食品由来アウトブレイク

Eurosurveillance発。高所得国における医療施設関連の食品由来アウトブレイク:経済協力開発機構(OECD)加盟16カ国を対象とした文献レビューおよびサーベイランスデータ解析(2001〜2019年)。

 医療施設関連の食品由来アウトブレイク(Healthcare-Associated(HA)-FBO)は、特に健康被害を受けやすい人々に深刻な結果をもたらす可能性がある。本研究の目的は、HA-FBOの現状を把握し、予防のための公衆衛生上の推奨事項を提示することである。

 PubMedおよびアウトブレイクデータベースの検索の結果、OECD加盟16カ国ではHAFBOが57件発生しており、件数が多かった国は米国(11件)、ドイツ(11件)および英国(9件)であった。また、ドイツのサーベイランスシステムには28件のHA-FBOが記録されていた。計85件のHA-FBOを病原体別にみると、上位3種類はサルモネラ(24件)、ノロウイルス(22件)およびリステリア(Listeria monocytogenes)(19件)であった。死亡者数は、L. monocytogenes感染によるHA-FBOが最も多かった。

 HA-FBOを予防するには、健康被害を受けやすい人々への高リスク食品の提供を避けるべきである。適切に行われるアウトブレイクサーベイランスはアウトブレイクの早期探知に役立ち、その有効性を維持するには病院・食品安全当局・公衆衛生当局の間での分野を越えた緊密な協力と情報交換が必要である。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.19(2022.09.14)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202219m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 産卵鶏が自由に出入り可能な鶏舎での飼育を行っている殻付き卵生産業者向けの最終ガイダンス

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 米国の複数州にわたり発生している原因食品不明の大腸菌 O157:H7感染アウトブレイク(2022年9月1日付更新情報)
2. 小型のカメに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Stanley)感染アウトブレイク(2022年8月31日付更新情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 国外旅行に関連していないサイクロスポラ感染を調査中(2022年9月9日付更新情報)
2. 公衆衛生通知:スポットエビ(spot prawn)に関連して複数州にわたり発生したノロウイルス感染と胃腸疾患のアウトブレイク(2022年6月23日付最終更新)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. リスク評価方法に関する研修コース:不確実性解析、エビデンス評価における重み付け、および生物学的関連性の評価

【Eurosurveillance】
1. 高所得国における医療施設関連の食品由来アウトブレイク:経済協力開発機構(OECD)加盟16カ国を対象とした文献レビューおよびサーベイランスデータ解析(2001〜2019年)

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)の科学雑誌「BfR2GO」第10号:BfR 設立20周年を特集