欧州委員会がビスフェノールAについてパブリックコメントを募集

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.03(2014.02.05)を発表した。

注目記事

【EC】医療機器へのビスフェノールA使用の安全性についての予備的意見についてパブリックコメント募集

 医療機器に使用されるビスフェノールA(BPA)によるヒト健康へのリスクについて、SCENIHR(新興及び新規健康リスクに関する科学委員会)が評価を行った。

 SCENIHRは、このリスク評価に欧州食品安全機関(EFSA)が経口暴露について設定した暫定耐容一日摂取量(TDI)5μg/kg体重/日を利用できると判断した。医療機器由来のBPAの最大推定暴露量は、乳児で685ng/kg b.w./day、ICUに入っている未熟児で3000ng/kg b.w./dayと推定された。医療機器は皮下や静脈内でも使用され経口摂取よりもBPAの生物学的利用度が高いと考えられる。SCENIHRは、医療機器を介した全身暴露を考慮するとICUでの新生児暴露にはいくぶんかの懸念は残るとしている。

 しかしながら、医療機器由来のBPAの影響については、現在米国で実施されている研究等のさらなるデータを得た上で見直すのがよいこと、またBPAの代替品を使用することにより健康への影響や治療効果の変化が生じないか検討が必要だとしている。

 本意見に対し、2014年3月26日まで意見を募集している。

※ポイント:この記事は医療機器に関してですが、前号で紹介したEFSAによるBPAの評価案を受けての対応なので取り上げました。どちらも現時点で得られたデータに基づき評価を実施しましたが、将来的には現在米国で実施されている研究結果が出たら再度検討を行う可能性を残しています。SCENIHRは、欧州委員会の政策部門の1つである保健・消費者保護総局において食品以外の問題を扱っている科学委員会の1つです。他に、SCHER(健康及び環境リスクに関する科学委員会)、SCCS(消費者の安全性に関する科学委員会)があります。同局には2002年まで食品安全の科学的助言を行う委員会もありましたが、BSE/TSEを担当する科学運営委員会とともにEFSAへ移管されました。

【FDA】回収情報:YoungYou InternationalはDMAAを含むためメガスリムハーブ食欲管理錠剤を自主回収

 製品「メガスリムハーブ」にDMAAの含有が確認された。DMAAは、1,3-ジメチルアミルアミン、メチルヘキサナミンおよびゼラニウム抽出物としても知られている。米国食品医薬品局(FDA)は、DMAAには血圧、息切れや心臓発作等の心血管系へ影響を及ぼす危険があると警告するとともに、サプリメントへの使用は認められていないと警告している。

※ポイント:DMAA含有製品は、2011年に米国で当該製品に関連する死亡が確認されて以降、FDAが販売業者に対してDMAA含有製品の流通中止を警告するなど市場からなくすための取り組みを行ってきたものです。健康被害が非常に重篤なため、米国以外の複数国(日本含む)でも注意が喚起されています。「食品安全情報」でも関連記事を幾度も紹介してきました。

 それにもかかわらず、2年が経過した現在でも市場にDMAA含有製品が存在し、回収が行われていることには驚かされます。同様に、シブトラミン(痩身用製品)、シルデナフィル及びその類似化合物(性機能増強用製品)の含有製品も後を絶ちません。このように、健康被害が多数報告されたものでも市場からなくすことはできないということが、いわゆる健康食品が抱えている大きな問題の1つでしょう。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.03(2014.02.05)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201403c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC):教育訓練プログラム、IARC隔年報告書

【EC】
1. 医療機器へのビスフェノールA使用の安全性についての予備的意見についてパブリックコメント募集
2. 食品獣医局(FVO)査察:スペイン
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品と飼料の残留農薬の管理に関するデータ報告のためのEFSAの標準サンプル表記(SSD)の使用(2013データ収集編)
2. β-apo-8′-カロテナール(E 160e)のADIと詳細暴露評価再検討の要請
3. FSAは企業の牛肉製品検査の結果を発表

【BfR】
1. グリホサート:ある種の補助剤については注意が必要だがこれまで考えられていたほど有毒ではない
2. コーヒーとエスプレッソマシンからの鉛の溶出についてのよくある質問

【FDA】
1. 公示
2. 警告文書(2014年1月21日、28日公表分)
3. 回収情報
4. FDAは食品への意図的異物混入対策のための食品安全近代化法による規則についての追加の公聴会を開催する
5. FDAは食用動物の予防的コントロールに関する規則案とリスク評価案についての意見募集期間を延長
6. FDAは輸送時の食品安全性リスクを予防するための規則を提案

【CDC】
1. レストラン食品の減塩は選択の機会

【FSANZ】
1. 日本産食品の安全性

【香港政府ニュース】
1. 8食品検体が安全性検査に不合格
2. 新年用食品に警告

【MFDS】
1. 参考資料 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 栄養表示の確認は健康的な食生活の第一歩!
3. 2014年食品中の非意図的生成有害化学物質の低減化計画を発表
4. 特定の日を前に、チョコレート類、キャンディ類の製造業者の点検実施

【その他】
・(ProMED-mail)テトロドトキシン中毒、フグ 米国:韓国由来
・(World J Gastroenterol)慢性肝疾患のある患者でのグルコサミンとコンドロイチン硫酸に関連する肝障害
・(Arch Turk Soc Cardiol)Clavis Panax等の使用による健康影響
・(Berkeleywellness)サプリメント関連記事