5円玉のダウジング。「どれどれ、この本にはいいことが書いてあるかな?……読めばわかるか」
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「波動」の正体(2)

《6月25日の続き》私が「は?」という顔をしているのを見て、彼はいみじくも言った。「電気的な意味は全くないそうです」。言われてみて納得。「そういうことか!」と二人で合点した。それが“科学的な何か”である必要はなかったのだ。もちろん、構成作家のその人もそのことを見抜いているのだ。
包装に「ありがとう」をたくさん書いたお茶。おいしいと感じたのは、たぶん「ありがとう」のせいではないと思うのだが
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「波動」の正体(1)

農家を訪ねたり、食に関係するいろいろな人に会っていると、「波動」なるものを語る人によく出くわす。水を入れた容器に、2種類の文字を書いたラベルを貼る。一方には「ありがとう」と書き、もう一方には「ばかやろう」と書く。何日か後に調べると、それぞれの容器内の水の「波動値」に差を生じているとかなんとかという、あれだ。
スパゲティ(「カ・アンジェリ」にて)。もちろん、レストランで食べるできたての料理はうまい。しかしそれに甘えれば、新しいビジネスに足をすくわれることもある
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ヒットを生むわがままな心(2)

《5月28日の続き》どんなに優れたコンセプトでも、周りに似たようなコンセプトばかり現れれば、一般の消費者からは企業間の区別はつきにくくなる。いずれも同質、同じ商品と見られてしまえば、お客は価格で選ぶしかなくなる。そのとき問題になるのは、「胸いっぱい」は維持されるのか、つまり感動はあるかということだ。圧倒的な価格差は感動につながるが、似たような価格の中でわずかな差を見るようになってしまえば、感動は薄 […]
ハーレーダビッドソンの1台。ショップにあったあるステッカーにはこう書いてあった。“If I have to explain, you wouldn't understand.”(説明しろって言うんじゃあ、君にはわかんないね)
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ヒットを生むわがままな心(1)

テレビの話から。5月21日のNHK「クローズアップ現代」のテーマは「節約志向の客をつかめ/外食“激安”バトル」。これに西武文理大学教授の松坂健さんが出演された。松坂さんは元「ホテル旅館」(柴田書店)編集長で、私にとっては「月刊食堂」(同)編集部の大先輩だ。知っている人がテレビに出るのはわくわくするもの。楽しみに拝見した。
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理論と感覚の両方がそろって見識が育つ

以前「日経レストラン」に、パソコンを販促に生かす話題として、RFM分析を紹介したことがある。コンサルタントに書いてもらった記事だが、R(recency、最後の利用は何日前か)、F(frequency、ある期間内の利用回数は何回か)、M(monetary、ある期間内に利用した金額は合計いくらか)の3つのデータをもとに、お客一人ひとりに点数を付けるという話だ。
収穫したダイコン。これを洗うことが商品作りと考えるか、土を落とさないことを商品作りと考えるか
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「裸の王様」は不幸だったのか?

アンデルセンの「裸の王様」は、王様が「愚か者には見えない布地で服を作る」という2人の男に新しい服を発注する話だ。王様にも家来にもその服は見えなかったが、「愚か者」と思われるのはまずいので、見えることにして出来映えを褒め、高額な報酬も与えた。それが実際には存在しないこと、つまり「王様は裸」であることを声高に指摘したのは子供だった。
「BRUTUS」2/15の特集「みんなで農業」。農水省の「食料自給率戦略広報推進事業委託事業」の随意契約で、契約金額は3045万2940円也
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「食料自給率」は21世紀の新概念

書くことについて、3人の師匠を私は拝している。その一人の農業技術通信社の昆吉則社長が、「自給率問題で農業を考えるな」と、これは十数年前から口を酸っぱくして言い続けている。ところが、“自給率問題”というのは話として単純で分かりやすく、“安全”や“正義”なども味方に付けているため、このストーリーにからめとられる人が多い。
原子力ではなく内燃機関で発電した電気で走り、核装備もない日本の潜水艦。それでやってこれたのには、理由がある
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遺伝子組換え技術と核兵器技術

考えれば考えるほど似ている。遺伝子組換え(GM)技術と核兵器だ。こんなことを言い出すと、「お前さん、いよいよでたらめを言い始めた」と言われてしまいそうだが、まあ待って欲しい。以前、松永和紀さんが、ある研究者が受け取ったとんでもないはがきのことに触れていたけれど、そのひどいはがきの趣旨とは全く次元の異なる話だ。
千切り大根の乾燥。生のダイコンが、自然環境、農家の勘、出荷担当者の舵取りの3つで価値を増す
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農業への参入だけが農業への貢献ではない

日本経済新聞の土曜朝刊に別刷で付く「日経 PLUS1」の1月10日の号、「楽食探訪」という欄に宮崎県の千切り大根(東日本で言う切干大根を、西日本では千切り大根と呼ぶ。以下千切り大根)の記事を書かせていただいた。まだ古紙回収に回っていなかったら、ぜひご覧いただきたい。そのこぼれ話から。
おせち料理。見た目はおいしそうなのだが
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おせち料理の技術革新は進んでいるのか

遅ればせとなるが、正月の話題から。おせち料理のことだ。ひとと話していると、どうもおせち料理のウケが悪い。テレビで、「どうしたらあれをおいしく食べられるか」「余ったおせちをどうするか」という話題を扱っているのも観たことがある。“ごちそう”のはずが、ずいぶんな話だ。
ジャガイモ栽培は簡単だと思われがちだが、ハイレベルな収量を得るには相当な技術を要する
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「国際ポテト年」の2008年が暮れる

メリー・クリスマス。この原稿が、私の今年の分の最後の担当となる。今年は、もう書くのも読むのもこりごりだが、前年からの食品関連の不祥事の話題を引きずったまま中国産ギョーザ事件で幕を開け、穀物価格の高騰に翻弄され、ついにコメの偽装までと、食品に関する嫌な話題が絶えることがなかった。日本で流通する食品は、量の確保も、質の確保も、完全に保証されたものとは言えないのだと思い知らされる1年だったと言える。
ベビーリーフ。生鮮野菜の人気商品の1つだ
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内食が“究極のレストラン”になった今日に対応できているか

私の家では、冷凍食品をよく使う。共働きの上、子供の学校は弁当が必要だ。それで毎朝、私が全員の弁当を作るのだが、自分で作っておいた煮物などに加えて、1品か2品、冷凍食品を入れる。弁当にちょうどよいポーションで、しかも電子レンジで用意できる商品が今は何種類も出ている。とても重宝している。
サンドイッチを店で作って家で食べれば「中食」、家で作って店で食べれば……「持ち込み」
食の損得感情

「中食」が増えているのではなく「外食」が減っているのではないか

新規就農希望者に向けて、「農業成功マニュアル」(翔泳社)という本を書かせていただいた。編集者からのリクエストは「全く予備知識のない人に向けて」というものだったので、農業、農家、農村の基本的な説明に少々多めにスペースを割いている。そのため、農家になろうと考えていない方でも、例えばコメや野菜の仕入れなどのために初めて農村を訪ねる、農家と会って話をするという場合にお役に立てる記述があると思う。12月3日 […]