ハンバーガーは天地をひっくり返す

別に、ハンバーガーのおかげで世界がどうかしちゃうという話ではない。米国での経験が豊富な人から最近うかがった話。ハンバーガーは、天地をひっくり返してかぶりつくのが正しいらしい。正しいと言うと語弊があるか。その人たちが出会ったかなり多くの米国人が、“もちろん”という感じで語ったという。


正位置の「ワッパー」。
正位置の「ワッパー」。

 ハンバーガーのバンズの上の方(クラウン)が下、下の方(ヒール)が上になるようにして持って食べる。その方が、ソースや肉汁がこぼれずにバンズに浸みるので食べやすいのだとのこと。

 知らなかった。さっそく試してみる。……別にいつもと変わらないような、でも持ちやすいような、上あごの自由度がちょっと増したような。……やっぱり、よくわからない。

 いや、わかった! 正位置だと、うすっぺらなヒールが下にひらひらと頼りなくめくれがちだけれども、逆位置にすると、しっかりしたクラウンは折れないので、めくれて中身がこぼれる心配をしないで食べられるのだった! なるほど!

“逆ハン”でかぶりつかれた「ワッパー」。
“逆ハン”でかぶりつかれた「ワッパー」。

 だいぶ以前、米国の視察に行ったときは、タニザワフーズの谷澤憲良社長が、おのぼりさんの私にいろいろなことを教えてくださった。

 その中の一つが、また妙に印象に残っている。ファストフードとして提供されるハンバーガーは、7口で食べきれるように設計されているという。マジックナンバー7! 何か合理的な理由がありそうだけれど、そのときは確かめないでしまった。

 「マクドナルド/わが豊饒の人材」など読み返せば、ひょっとするとどこかに書いてあるのかもしれないけれど、これも確かめていない。

 しかし恐らく、7口で食べられるハンバーガーは、逆位置にしなくても中身がこぼれる心配はないと思う。

 なににせよ、面白いエピソードの多い食べ物には違いない。

※このコラムは個人ブログで公開していたものです。

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About 齋藤訓之 398 Articles
Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所特任研究員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。日本フードサービス学会、日本マーケティング学会会員。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →