取り組み進む細胞ベースの食品

No.14(2025.07.09)

ウズラ(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。英国当局は細胞培養食品の認可支援サービスを開始。豪州当局は培養ウズラを新規食品として認可。また、遺伝子組換え食品の定義を更新。フランスではCBD製品による中毒が増加。

注目記事

【FSA】革新的な食品企業に英国市場認可プロセスを手引きする新しい支援サービス

 英国食品基準庁(FSA)は、スコットランド食品基準局(FSS)と連携し、英国市場向けに細胞培養食品(cell-cultivated food)を開発し、認可申請を希望する企業を支援するための新しいパイロット事業支援サービスを開始した。本サービスは、適用される規制要件に関する情報及びガイダンスの提供、認可の手続きに関する助言、既存ガイダンスに含まれる関連情報の特定を行うことで、企業を支援するものである。

【FSANZ】食品基準通知(改訂)新規食品としての培養ウズラ

 オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、Vow社から申請された培養ウズラが新規食品として認可されたことを官報に発表した。本件に伴いAustralia New Zealand Food Standards Code(Code)において「細胞培養食品」(cell-cultured food)を定義するとともに、新たに2つの基準(Standard1.5.4及び3.4.1)を策定して販売や表示の要件、生産・加工に関する食品安全要件を定め、認可された細胞培養食品のリスト(Schedule25A)も追加した。微生物学的な基準値も新たに適用されている。

※ポイント:細胞性食品の開発や規制に関する取組が各国で加速しています。新規食品制度のある国では、その制度の下で認可制が導入されています。今回のFSANZの取組で画期的だと感じたのは、法的に細胞培養製品を定義づけ、特別な規制を正式に定めた点です。細胞性食品については世界で使用される用語もさまざまで、cell-based foodのほか、上述の英国ではcell-cultivated foodを使用し、オーストラリアではcell-cultured foodを法的に定義した上で表示ではcell-culturedとcell-cultivatedの両方の使用を認めています。

【ANSES】他の物質を含むCBD製品による中毒事例の増加

 フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)が、カンナビジオール(CBD)製品の摂取による中毒事例が2024年以降に著しく増加しているとして注意を喚起した。その多くは、消費者が知ることなく製品に含まれていた禁止物質(合成カンナビノイド)又は麻薬に指定される0.3%以上の濃度のテトラヒドロカンナビノールが原因だとしている。

※ポイント:CBD製品については、英国では他国に先駆けて新規食品としてのリスク評価が進められていますが、その一方で他国では摂取による健康被害への注意喚起に関する記事もよく目にします。ANSESは、2024年初めからCBD製品に関連した中毒事例が数百件確認されていると報告しています。

【FSANZ】FSANZが遺伝子組換え食品の定義更新を承認

 FSANZが、Codeについて、製造工程で使用される技術を判断基準にしていた従来の「遺伝子技術」(gene technology)と「遺伝子技術を用いて生産された食品」(food produced using gene technology)の定義に代わるものとして、新たに技術の利用で結果的にできたものを判断基準とする「遺伝子組換え食品」(genetically modified food)と「新規DNA」(novel DNA)の定義を承認した。この更新により、新規DNAが導入された食品はGM食品として分類されるが、ゲノム編集などの新しい育種技術により生産され新規DNAが導入されていない食品はGM食品とは分類されないことが明確になった。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【WHO】

1. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】

1. JECFA、第100回会合を終了

2. FAO世界農業食品バイオテクノロジー会議2025:安全で責任あるイノベーションの推進

3. Codex

【EC】

1. 出版物

2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】

1. 6月のRACおよびSEAC会合のハイライト

【EFSA】

1. EFSAの次期長官にNikolaus Kriz博士を指名

2. 陸域生物の特定保護目標の定義を裏付ける根拠の分析-パート1:戦略案

3. 食品添加物関連

4. 食品酵素関連

5. 遺伝子組換え関連

6. 食品接触物質関連

7. 農薬関連

【FSA】

1. FSAはスラッシュアイスドリンクに含まれるグリセロールの子供へのリスクに関する助言を更新する

2. 英国食品基準庁とスコットランド食品基準局の年次報告書は、現在進行中の食品安全と基準の課題を浮き彫りにしている

3. FSAは最新の小売サーベイランス調査の結果と改訂されたカフェインサプリメントに関する事業者向けガイダンスを公表した

4. 革新的な食品企業に英国市場認可プロセスを手引きする新しい支援サービス

5. 食品基準庁と農業・食品・農村企業大学がパンケーキの組成変更に関する技術ガイダンスを発表する

6. 規制製品安全性評価

【FSAI】

1. リコール情報

【BfR】

1. データを集め、命を救う:ドイツ中毒登録に関する情報交換ドイツ連邦政府と連邦州はデータベース計画に関してベルリンで会合

2. ビーガン、ベジタリアン及びそれを超えて:人気はあるが研究は不十分植物ベースの食事に関する新しいポッドキャストエピソード

3. 危険な化学やけどから子供を守るBfRはボタン型電池についてのマンガ教材を発表

4. 知識を用いて健康上のリスクと闘う第13回BfRサマーアカデミー:更なる食品安全のための国際研修

【RIVM】

1. 血液中のPFASに関する初の全国的研究

【ANSES】

1. 他の物質を含むCBD製品による中毒事例の増加

2. ガラス瓶のふたは飲料をマイクロプラスチックで汚染している

3. 高血圧のリスクを避けるため、大量の甘草(リコリス)を摂取する前によく考えよう

【FDA】

1. FDAは一般食品表示要件コンプライアンスプログラムを更新する

2. 遠隔規制評価の実施に関するQ&A-事業者向けガイダンス

3. FDAは2025年版ヒト用食品プログラムガイダンスアジェンダを公表する

4. 公示

5. 警告文書

【USDA】

1. XMAP食物アレルゲン検出アッセイによるアレルゲンのスクリーニングと確認

【CPSC】

1. iHerb社は、子供の中毒による重篤な障害または死亡の危険性により、California Gold Nutrition鉄サプリメントのボトルおよびブリスターパックを回収する;チャイルドレジスタンス包装に関する連邦規格違反

【FSANZ】

1. FSANZが遺伝子組換え食品の定義更新を承認したことに関するメディア声明

2. 食品基準通知

3. リコール情報

【TGA】

1. Nourishmeorganics社に医療用品の違法販売の疑いで違反通知が発行された

2. 安全性助言

【香港政府ニュース】

1. プレスリリース

2. 違反情報

3. リコール情報

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 食薬処、食品添加物の暫定基準・規格認定要件を合理的に改善推進

3. 輸入エビ及びエビ含有水産物加工品の検査命令を施行

4. 二日酔い解消の表示・広告、39社80品目の実証完了

5. ライブコマースを利用した不当広告の摘発・措置

6. 食薬処-自治体、オンライン不当広告236件を摘発

7. 相手先商標製品製造(OEM)輸入食品など現地衛生評価ガイドブックを改訂

8. 食薬処、WHOとアジア・太平洋地域トータルダイエットスタディ(TDS)ワークショップ開催

9. 回収情報

【SFA】

1. Forum Replies:テイクアウト食品用のプラスチック製容器は、意図された用途で使用すれば安全である

別添

【FDA】医薬品健康詐欺

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.14(2025.07.09)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202514c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.14(2025.07.09)別添
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202514ca.pdf