通販番組の構成手法(1)こまめにクライマックス!

今回は同じテレビ番組でも、違うことがイッパイの「普通の番組」と「通販番組」の違いについてお話しましょー。実はこの違いのため、私が普通の番組でご一緒したディレクターさんが、通販をやったら戸惑いの連続……という姿を幾度となく見てきました。テレビ業界の中でも多くの人があまり認識していないと思われる、その手法の違いについてのヒミツをご披露しましょ。

「視聴率を考えた構成は通用しないんですよ」

 なぜ、「普通の番組」と「通販番組」で構成に違いが出るかというと、そもそもの目的が違うから。普通の番組の目的は「視聴率をとる=最初から最後まで、なるべく多くの人に見させる」です。一方、通販番組の目的は「多くの人に買ってもらう!=別に最後まで見てくれなくても買ってくれればよい」。

 これでもまだピンと来ないかもしれませんが、この目的の違いが特徴的に現れる1つが“時間の割り方”です。

 30分番組を例に挙げます。普通の30分番組、たとえば情報バラエティとしましょう。その番組の使命は「30分間見させ続ける」ですから、最初に見始めた人が30分間他にチャンネルを替えたくならないように、“知りたいこと”を、最後の最後までもったいぶって出しません!

 代表的なのは“ランキング”です。「1万人調査・人気ラーメン店ランキング!」が30位から始まっていったら、やっぱり1位を見たくなりますよね? その1位が出るのはいちばん最後――しかも途中で「もうすぐ1位が出るぞ……」とちょこちょこ触れて、「最後だけ見ればいいや」と視聴者に思わせない手法がとられますよね。その涙ぐましい努力の結果、「あぁ、30分間視聴率が下がらなくてよかった~」ということになるわけです。

 しかーし! 通販ではコレ、通用しないのです。

「6~7分ごとにクライマックスがコツなんです」

 上記の構成の仕方は“クライマックスが最後の1回”ということになるわけです。それにならい、通販でクライマックスを最後の1分に集約しようとひっぱり続けてしまうとどうなるか? 予想される結果は「30分も番組やって注文電話が鳴るのは最後の1分だけ」。こりゃあスポンサーは怒ります。

「30分もあるのに最後の1分しか注文電話が鳴らないってどういうこと? 途中にチャンネル替えた人いっぱいいるんじゃないの?」とクレームが来ることマチガイナシ! もし自分がスポンサーだったら「1分間分の電波料しか払いたくないワ!」と言いたくなるでしょう。

 そこで通販の30分番組で編み出されたワザが、「クライマックスを4回ほど作る」という構成なのです!

 通販の30分番組は、正確に言うと29分のものが多いです。この29分の中で4回前後、電話注文したくなるクライマックスを作る構成を組むのです。その結果どうなるかというと「6~7分で完結するブロック×4回」となります。

 たとえば「健康維持と美容に役立つ」というサプリで具体例を考えてみましょー。

【第1ブロック】
 健康がよくなった愛飲者の事例→それはこのサプリのおかげ→商品紹介→電話番号&お値段
【第2ブロック】
 このサプリのパワーの源は貴重な原料に!→原料の説明→商品紹介→電話番号&お値段
【第3ブロック】
 肌の調子がよい愛飲者もいますョ→実は美肌成分も含まれている→商品紹介→電話番号&お値段
【第4ブロック】
 画期的なサプリの開発者を訪ねるとスゴイ事実が!→商品紹介→電話番号&お値段

 この4つのブロックそれぞれにある「商品紹介」という部分では、商品の大体の特徴が網羅されます。そこで4回とも同じフレーズを使い回すこともあります。大事なことは、「どれか1つのブロックを見れば、ほぼその商品の特徴がわかる、納得できる」こと。

 その構成作りに成功すると、1ブロック終了ごとに注文電話殺到!→スポンサーさんニコニコ~、なんですね。

「ザッピングしてたまたま見ちゃった人もいらっしゃいませ~」

 上記のような構成は普通の番組でもあるような……と思った方もいるかもしれませんが、決定的な違いは、

・普通の番組は知りたいことを最後までひっぱる
・通販はスグすべてをばらす

 ということです。

 通販の場合、すべてバラさないと視聴者は商品に納得できないし、納得しないと注文の電話もしません。一方普通の番組は、途中ですべてをバラすことは他のチャンネルに替えられるタイミングを作ることになるので、こうした手はとりません。

「通販の番組って同じ事何回も繰り返すよね?」と多くの人が思っているでしょう。ハイ、その通り! さっきの6分を見てなかった人がチャンネルをたまたまあわせているかもしれないので、その人のためにもう一度言っています。こうしてザッピングでたまたまチャンネルを合わせちゃった人を逃さないようにもしているんですね。

 つ・ま・り……多くの30分の通販番組は6~8分も見ればすべてがわかる! ということです。

About 森畑たけし 65 Articles
通販番組制作担当者 もりはた・たけし 1975年生まれ。通常のテレビ番組と通販番組を手がけて12年。ひと昔前、一段下に見られていた感のある通販番組とその市場の成長に驚くばかり。同時に「やっててよかった~」とありがたい食い扶持があることにホッ……。しかし、膨大なグルメ情報、健康情報、お得情報などを発信し続けていながら、本人は全く活用できていない。自分が通販アイテムを買って続けるなら髪関係だろうかと、毛根と〆切が気になる人。