プラセンタって豚の胎盤ですよと言っちゃダメ

ネタがつきないこの連載。それだけ通販で扱われる健康食品・美容食品が多いというわけですよね。今回は、な、なんと!「胎児のアレを……!」というホラー(!?)なお話。

「ホラー映画の話かと思っちゃいますよね?」

 胎児のアレを飲むって?――これはある美容飲料……。美のために、胎児のエキスをいただこうというシロモノなのです! 一体何かというとプラセンタ・ドリンク。年々耳にすることが多くなってきましたね~。女子にはすっかりおなじみかもしれません。

 プラセンタというのは英語で「placenta」。日本語に訳すと、ズバリ「胎盤」です。「永遠の若さのために、妊婦の腹をかっさばいて胎児のエキスを……」なんて、どこかの国の昔話にあってもおかしくないような話ですが、事実はそんなおとぎ話やホラーも顔負けだったりするんです! いやぁ美への執着はスゴイ……。しかしもちろん、人間の胎盤を原料にするわけではございませんよ!!

「牛?鳥?ブブブ~!!」

 じゃあプラセンタのドリンクや錠剤は何の動物の胎盤なのか? フィッシュコラーゲンがあるように魚?(「魚は胎盤ないだろ!」とツッコミますよ!)牛? 鳥? ブブブ~!!――って、これは不正解のブザーでなくて、その動物の鳴き声。そう、代表的なものが豚です。豚の胎盤が原料に多いことは、プラセンタの知名度に比べるとそこまで広まってないのではないでしょうか。なぜかと言うと、ちゃあんと理由があるんです。

「豚じゃウケないんですよ」

 なぜプラセンタの代表的な原料が豚の胎盤だと広まっていないか? 理由はカンタン、豚が原料であると極力触れないようにしてるから!「豚の胎盤を使っているんです! さあ! 美容エキスの固まりですよ!」と言われたとしても、イメージ的になーんとなく「カクッ」ときますよね。ブーちゃんは近くで見ると「かわいなぁ~」なんて思ったりしますが、残念ながら世の中では「豚!」って悪い言葉として使われることが多いわけで。

 でも、みんな知ってか知らずか豚の胎盤エキスをごくごく飲んで「コレが美の秘訣!」なぁんて言っているわけです。

 このようにPRをするのに「原料をはっきり言いません」的な点では、プラセンタはかなり特殊な商材ですね。

「そもそもプラセンタとは……と説明し出して、か~ら~の~」

 健康食品(美容のためのものも)は、見た目は何の変哲もない粒だったりビン入り液体だったりするわけです。これに“御利益”を感じてもらうには、いろんな説明をして付加価値を付けてあげなくちゃあいけません。で、その説明として、原料が高価なものであること、その製品にギュウ~っと濃縮されて成分が豊富に含まれていること、などを訴えることは一種の定番です。

 そこで、プラセンタがまだ今ほど出回ってはいない頃、筆者はこうした他の健康食品で定番のパターンに当てはめて、番組の筋書きを作りました。つまり、「そもそもプラセンタとは……」というブロックを作って、原料が豚の胎盤であることにも触れる構成を組んだんですね。

 結果は……惨敗。非常~に売れ行きが悪かったです。

「これじゃあいかん」と「プラセンタとは何か」ブロックを作り直しました。どう直したかというと……「プラセンタとは何か?」とさも詳しく解説するように言葉をつなぎながらも……「とにかく美にオススメなんです! 日本はもとより海外でも、そしてセレブな方々には昔から……」と、“美のために人気がある”ということをひたすら連呼。連呼しながら詳しく説明しない! さあ、そうやって作り直した通販番組の売れ行きの結果は?

「映像作る人としては原料言いたいんですよ、ホントは」

 もうおわかりですね。「豚がの胎盤が原料であることを説明しないほど売上げアップ!」でした。これは大変勉強になりましたね~。視聴者=消費者にとって必要な情報は「美にプラセンタはいい!」、それにつきるわけで、何が原料であろうとどうでもよろしかったわけです。だから、イメージにマイナスになることなら言わないがハナ。

 テレビでも雑誌でも「○○○とは何か?」を説明しようとすると、どうしてもそれの原料やメカニズムなど、客観的な情報を説明に入れたくなります。だけどそれは、メディアの表現者の癖で、ときには邪魔な癖ということになります。プラセンタはその一例です。

 読者は原料やメカニズムなどよりも、「ホントにきくの?」ということを知りたい。その答えとなるものが、実際に使っている人のコメントや映像であるわけです。そこへいつもの癖で原料の話を入れて「カクッ」と来てもらうのでは意味がない。

 というわけで、最近ではプラセンタの原料、その動物に触れている通販番組や広告は少ないのではないでしょうか。

 しかーし!

 プラセンタ界では近年、豚と違って(ブーちゃんゴメン)、堂々と伝えることができる動物が登場してまいりました! そのお話は、次回!

About 森畑たけし 65 Articles
通販番組制作担当者 もりはた・たけし 1975年生まれ。通常のテレビ番組と通販番組を手がけて12年。ひと昔前、一段下に見られていた感のある通販番組とその市場の成長に驚くばかり。同時に「やっててよかった~」とありがたい食い扶持があることにホッ……。しかし、膨大なグルメ情報、健康情報、お得情報などを発信し続けていながら、本人は全く活用できていない。自分が通販アイテムを買って続けるなら髪関係だろうかと、毛根と〆切が気になる人。