2013年食の10大ニュース[3]

2013年食の10大ニュース

【1】「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された
【2】ホテル、デパート、飲食店のメニューにあいついで虚偽表示が発覚
【3】日本マクドナルドの社長兼CEOにサラ・カサノバ氏が就任
【4】セブン-イレブンのコーヒー「セブンカフェ」が大ヒット
【5】スーパーマーケットの再編が進む
【6】居酒屋の低迷続く
【7】飲食店やコンビニ等で働く者の行きすぎた悪ふざけで企業に損害
【8】ヤマト運輸の「クール宅急便」の不適切なハンドリングが発覚
【9】カッパ・クリエイトHDと元気寿司が経営統合に向けて業務提携
【10】近大マグロの専門店が東京・銀座にオープン

2013年食の10大ニュース

 12月初旬、食品サンプルのイワサキビー・アイ社長岩崎毅さん、元日経レストラン編集長加藤秀雄さん、コンサルタントでプロジェクト・ドゥ ホスピタリティマネージメント研究所代表の清水均さん、FoodWatchJapan編集長の齋藤訓之さんと、2013年食の10大ニュースについて話し合った。例年、加藤さんが取りまとめられたが、今年は私の役割となった。

【1】「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された

 日本文化を支え育むものとしての評価で、食の世界にとって朗報と言える。しかし、日常の食生活における和食の存在感は薄れつつある。日本のこれからを担う小・中学生の嫌いな料理の上位10に和食メニューが各6個挙げられている(※)。食文化は日常の家庭食によってこそ支えられるもの。和食のあり方が再考される契機と言える。

※「平成22年度 児童生徒の食生活実態調査【食生活実態調査編】」(日本スポーツ振興センター)
きらいな料理
http://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/kenko/siryou/chosa/syoku_life_h22/H22syokuseikatsu_4.pdf

【2】ホテル、デパート、飲食店のメニューにあいついで虚偽表示が発覚

 5月のディズニーランド内の飲食施設での食材虚偽表示に端を発し、その後有名ホテル、百貨店、飲食店に広がった食材虚偽表示。底流にあるのは、業界・業界人に根強く残る“粉飾体質”だろう。この意識が払拭されない限り、食産業に対する消費者の不信感はぬぐいされない。

【3】日本マクドナルドの社長兼CEOにサラ・カサノバ氏が就任

 V字回復を成し遂げた敏腕経営者が業績悪化の下で交代したことは、最近のファストフード(FFS)業界の不振を象徴する出来事。FFSが登場したころの“かっこいい”“ファッショナブル”というイメージはもうない。FFSへの期待は簡便食の提供になりつつある。食の簡便化志向は弱まっていないが、コンビニエンスストア(CVS)等の勢力に取り込まれている。

【4】セブン-イレブンのコーヒー「セブンカフェ」が大ヒット

 大手CVSの淹れたてコーヒーは、確実にサラリーマン、OLのモーニング帯のニーズを掴まえた。さらにプライベート・ブランド(PB)の高級シリーズが注目集める。CVSは着実に都市生活者にとっての不可欠な食品小売業という位置を確立しつつある。スーパーマーケットニーズを蚕食したCVSは今、外食ニーズをも奪い始めている。

【5】スーパーマーケットの再編が進む

 2011年、2012年に北海道のアークス、青森のユニバース、岩手のジョイスの大型統合以来、今年に入って東北地域のチェーン同士の統合や、新潟の有力チェーンと群馬のチェーンの統合など、共同仕入れ機構CGCグループ加盟企業の間での経営統合が進んでいる。いずれも“勝ち組”と言われる企業同士の連携だ。また、イオンによるダイエーの子会社化や有力リージョナルチェーンの吸収も相次いでいる。そして、この12月にはこの統合劇にセブン&アイも参入してきた。この間の動きを見ると、救済型統合は影を潜め、勝ち組同士の統合が目立つ。CVSに押されるスーパーマーケット業界は生き残りをかけての再編がまだ続きそうだ。

【6】居酒屋の低迷続く

 20カ月の前年同月比割れが続く居酒屋業界。1980年代に一大発展を遂げ、外食業界の大きな潮流となった業界だが、2000年代に入って不振をかこっている。とりわけリーマンショック以降の落ち込みが大きい。最近の若者の酒離れが最も大きな要因と言われる。当節の若者は、かつて若さの象徴だった自動車にも興味を示さない層が増えているという。若年世代の生活意識が大きく変わってきている。若者の変化に業界がついていけてないということか。

【7】飲食店やコンビニ等で働く者の行きすぎた悪ふざけで企業に損害

 当節若者気質を如実に示す出来事だろう。生まれたときからデジタル社会にある若者たちに共通するのは、想像力の弱さなのではないか。その行動が自らの将来を閉ざしてしまうことを認識できない。即物的にすぐ答えが示されるデジタルに慣れると、一歩引いて物事のありようを考えることができなくなるのかもしれない。今後も繰り返される可能性は高い。

【8】ヤマト運輸の「クール宅急便」の不適切なハンドリングが発覚

 宅配大手の不適切なハンドリングの告発はその後、JRの貨物輸送でも同様のことが発覚した。通信販売が、物流インフラや決済手法の整備等によって、ここ数年大きく伸び、食品業界にとっても大きなチャネルになっている。その物流インフラに対する不信感が強まった。今後の影響は無視できない。

【9】カッパ・クリエイトHDと元気寿司が経営統合に向けて業務提携

 大手3社による業界牽引で、外食業界の数少ない活性分野にも再編の動きが出始めた。すぐれて装置型合理化が進んだ業界が、今後どんな動きを見せるのか。

【10】近大マグロの専門店が東京・銀座にオープン

 世界の水産資源減少が進むなか、養殖の可能性と課題の検討は、水産業界の大きなテーマ。完全養殖のクロマグロを使った専門店の登場は、極めて今日的な事象と言える。水産業界の今後にどんな道筋を示すのか、注目されるところだ。


《特別企画》2013年食の10大ニュース[一覧]

●これまでの「10大ニュース」
《特別企画》2012年食の10大ニュース[一覧]
《特別企画》2011年食の10大ニュース[一覧]
《特別企画》2010年食の10大ニュース[一覧]

石川秀憲
About 石川秀憲 6 Articles
フードジャーナリスト いしかわ・ひでのり 大学卒業後、流通専門の出版社「商業界」に入社。「飲食店経営」をはじめ数誌の編集長、新規事業部長、出版部長等を歴任の後、2005年退社。その後、食に関わる講演・執筆活動を続ける。現在、名古屋文理大学フードビジネス学科(教授2007~2016年)、戸板女子短期大学(非常勤講師2006~2016年)、金城学院大学(2008~2013年非常勤講師)等の教育機関で、食品経済関係、食品流通関係の講座を担当してきた。ほかに、水産庁の「おさかな語り部」を務める。