特別ではない特別なサンドイッチ「カリーナ」(東京・上井草)

「カリーナ」サンドイッチ
お店で作り立てのパン粉だからフライがおいしい。
  • 「カリーナ」外観
    「カリーナ」は上井草駅北口から徒歩1分。
  • 「カリーナ」ショーケース
    20を超える品ぞろえ。お値段は170~270円とリーズナブル。
  • 「カリーナ」店名
    店内には“いい音”に囲まれてしあわせなカウンター席。

気温の乱高下に加えて、花粉、煙霧、黄砂、PM2.5……例年以上にいろんなものがやって来る年度末。いかがお過ごしですか? 自分はと言えば、昨年から発症してしまった花粉症に振り回されています。目はかゆいわ、クシャミはひどいわ、ときに、喉の奥がむずがゆくなるわ……とほほほ。

早朝3時から仕込み開始

 東京都区内の西方面、その西武新宿線沿線と言えば、実は自分が独身時代に長く住んでいたところ。その元々の住まいからほど近い上井草で、ずっと営業されているのが「カリーナ」さん。開店以来、28年、ずっとご近所で愛されている人気のサンドイッチ店だ。

 こちらの朝は早い。

 6時にはもう開店している。

 そんな時間だと、出勤のお客もまだないだろうに……、と思うけれど、店主の種村輝雄さん(72)によると違うらしい。

「28年前からずっと6時前に開店というのはやってきましたが、結構お客さんはいるもんですよ。それこそ、お酒を飲んで夜明かしした後とか、夜勤明けの方とか、タクシーの運転手さんとか……。お客さんはいるもんですよ」

 それにしても、6時スタートだとどのくらい早くから仕事をするのだろう。なんと、仕込みのスタートは午前3時!!! なのだとか!

 こちらのサンドイッチ、パンは山崎製パンから送ってもらうものだという。ただし、出来立ての食パンが一斤ずつ、丸ごとのまま届く。それをスライサーで一枚ずつ、切っていくわけである。このスライサーの小気味いい音がいいのだ。

 そう。こちらのお店は、“いい音”に満ちている。

 うるさくない程度に流れているAMラジオの音、食パンを切るスライサーの音のほかに、店頭でお客さんとご主人が交わす会話、サイフォンのコーヒーが沸き立つ音……。

 買って行くお客さんに必ずスタッフみんなでやわらかく「ありがとうございました~」と言葉をかけるのも、なんともいい。

焼き立てパンに手作りの具

  • 「カリーナ」サンドイッチ
    テイクアウトならこんな風に。
  • 「カリーナ」サンドイッチ
    こんなにしっかりした「かつ」のお値段が270円。

 こちらのみなさんは、一目で働き者、と知れる動きをする。

 手を動かし、身体を動かし、丁寧に、確実に、サンドイッチを作っていく。

 ご主人の輝雄さんはもちろん、跡を継ぐ息子さんの耕一さん(42)も、ずっと手を止めず、サンドイッチを作り続けていく。

 仕込みのスタートから、7時までいるのだという奥さん。そして、アルバイトの方もこまめによく動き、働く。

「他とおんなじことやっちゃっちゃ、ダメだから。きちんと、おいしいサンドイッチを作り続けていくことが大事」なのだと言う。

 実際、こちらのサンドイッチは驚くほどおいしい。

「特別な材料を使っているわけではありません。でも、切りたてのパンを使うとか、その日に仕込んだものを使う。サンドイッチで切ってしまった端のミミの部分はパン粉にして、無駄がないように。そして作り立てのパン粉だから、揚げ物がおいしいんですよ」

 山崎製パンの実力もさることながら、そこに挟まれる具の種類、工夫が実にいいのだ。

 基本、全部、自家製。

 カツ類は自分のところで揚げ、ポテトサラダも丁寧に自家製。

 何より、看板のタマゴが素晴らしい。ゆで卵を細かく処理してサンドイッチに適した荒いペースト状にするのだけれど……その黄色く程よい状態にうっとりする。

 もう一つの看板のハムカツも丁寧に、しっかり揚げるから、食べたときに、さっくりした食感を産むのだ。

  • 「カリーナ」サンドイッチ
    お店で作り立てのパン粉だからフライがおいしい。
  • 「カリーナ」サンドイッチ
    自慢の2つの具がいっしょの「ハムカツタマゴサンド」を焼いていただく。

 その上、サンドイッチ一点一点の値段が、170~270円と実にリーズナブル!

 朝から店頭に、実にいろいろな種類のサンドイッチがきっちり並んでいる楽しさ。

 店内では、どんどん作りたてのサンドイッチが出来上がり、それがまた補充され、ファンがまた買って行く……。

 この幸せのスパイラルは、閉店の14時まで休むことなく続くのであった。

店内では焼きサンドも

  • 「カリーナ」サイフォン
    コーヒーはサイフォンで淹れてくれる。
  • 「カリーナ」コーヒー
    味わい深いコーヒー。
  • 「カリーナ」店頭
    「人が作るものですからね。毎日、きちんと」と種村輝雄さん

 そして、うれしいのは、喫茶コーナーもある店内に入ると、また違った楽しみがある。

 丁寧にサイフォンで淹れたコーヒー。実に味わい深く作ってくれる。

 それだけでもうれしいのに、店内限定、20円を出せばどんなサンドイッチも「焼きサンド」で出してくれるのだ。

 これがまた素晴らしく香ばしくて、食感がさくさくで……。口を入れた瞬間、声が出てしまうほどの楽しさと味なのだった。

 クリスピーな表面と内側のしっとりの具。

 またパンの表面の奥には、実に、しっとりとやわらかいパンが控えていて……。

 オススメは、ハムカツタマゴサンド。

 人気の2枚看板、ハムカツとタマゴがうっとりと、しっとりと相まって、立ち上がって声を上げたくなる楽しさだった。

 他にも、しっとりお肉のカツ、さっくさくの感触が楽しいフライサンドなど、男性からも諸手をあげて称賛されるサンドイッチがある一方で、イチゴなどのフルーツをサンドしたデザート系などが豪華! というのも喜ばしいことだ。

 いちばん混むのは、土日。

 家族で朝食を食べるときに、ちょっとしたご褒美感覚で気軽に変えるカリーナのサンドイッチ。

「我々は、真面目に、しっかり作っていくしかないんです。結局、人が作るものですからね。毎日、きちんと、作り続けることが大事」

 この場所が、しあわせの近道であることは間違いない。


●カリーナ

東京都杉並区井草5丁目19-6
Tel.03-3301-3488
営業時間:5:50~14:00
定休日:月曜、第3火曜
http://homepage3.nifty.com/kari-na/

About 上荻吾朗 40 Articles
編集者 かみおぎ・ごろう 1964年生まれ。北海道出身。週刊誌記者、漫画編集者を経て、WEB製作会社で勤務。震災後、通勤困難を経験して、メタボ対策のためにも、自転車通勤をするようになる。おいしいものを食べることが何より好きな健康チューネン。いかにも飲めそうなヒゲ面のくせに下戸。