中国で偽ワインが問題化。中・小型直行コンテナ船へのシフトを勧めるもう一つの理由

昨今、中国でのワイン需要が高まるにつれて偽ワイン流通も横行するようになっている。輸入するワインをそうした地域にあるハブ港を経由させるにはリスクがあると考えざるを得ない。その点からも、中・小型直行コンテナ船採用を推奨する。

中国のワイン商談会で偽装用ラベルが売られる

 中型・小型の直行コンテナ船を推奨する理由をもう一つ取り上げておきたい。

 先日、NHKのテレビ報道で、中国のワイン商談会の会場で、ワインの偽装キットが公然と売られている様子が伝えられた。ポーイヤックのトップ・シャトーのセカンド・ワインの、ラベルとキャップ・シールとコルク(生産者マークと年号刻印はないようだった)の袋入りセットが映し出されたのだ。

 他方、十数年ほど前であっただろうか、欧州の総合酒類メーカーやフランス大手ネゴシアンなど数社の、日中韓を含む東アジア市場向け商材の物流について聞いた話が思い出される。すなわち、最大マーケットへの成長が確実視できる中国の上海港や杭州洋山深水港の保税物流区倉庫へ品物を陸揚げし、一元管理するというのだ。

 テレビの映像を見ながら、その話を思い出した。それというのも、あくまで直観でしかないのだが、その偽装キットのラベルとキャップ・シールは“本物”のようにも思えたからだ。本連載の第30回第31回で、正規の修復用予備ラベルと同キャップ・シールがあることと、それらの管理にリスクがあることを紹介した。私はテレビの映像を見ながら、どうも東シナ海の向こう側で、その危惧が現実となった可能性がきわめて高いと感じた。

 残念ながら、中国の経済活動の現状を鑑みるに、ワインについても何が起きても不思議ではないと考えている(これに関する報道はほかにもある)。まして、反日的世論が高まる中では、日本向け商材に好ましくないことが発生する事態を想定することは、リスク管理として妥当なことだ。中国のハブ港で水揚げし管理された他国産の食品や酒類が何者かによって何らかの手が加えられるかもしれないという懸念は、容易に払拭できない。

中・小型直行コンテナ船採用を急ぐべき

 この点からも、中・小型直行コンテナ船採用へ舵を切るべきである。そして、決定は早い方がよい。この切り替えは一朝一夕に完了することではないからだ。リーファー・コンテナの20ftタイプへの切り替えにもさまざまな障害があったが、それと同様に苦労があることを想定しておいた方がいい。

 中・小型コンテナ船の多くは老朽化しているであろうし、リーファー・コンテナ積載用の電源装備ポイントも少ないはずである。電源装備ポイントを増設するためには、もちろん船内発電装置の増設が必要だが、それだけではない。中・小型コンテナ船を受け入れる埠頭のマーシャリング・ヤード内の電源装備ポイントの増設まで必要だということを忘れてはならない。

 もちろん、このような需要をターゲットとした中・小型コンテナ船の新造に漕ぎ着いてくれればうれしいのだが。

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酒類品質管理アドバイザー おおくぼ・よりあき 1949年生まれ。22歳で家業の菊屋大久保酒店(東京都小金井市)を継ぎ、ワインに特化した経営に舵を切る。「酒販ニュース」(醸造産業新聞社)に寄稿した「酒屋生かさぬように殺さぬように」で注目を浴びる。また、ワインの品質劣化の多くが物流段階で発生していることに気付き、その改善の第一歩として同紙上でワインのリーファー輸送の提案を行った。その後も、輸送、保管、テイスティングなどについても革新的な提案を続けている。