光とガスを遮断するアルミ蒸着フィルムはポテチにぴったり

スープの個包装
アルミ蒸着フィルムを使ったスープの個包装

クッキーの包装からアルミ蒸着フィルムについて話し始めた二人。その御利益とは。

光とガスを遮断

スープの個包装
アルミ蒸着フィルムを使ったスープの個包装

リョウ 「来たか。ごくろう」

タクヤ 「蒸着フィルムの何がいいのかというお話の続きです」

リョウ 「うむ。弁当といっしょに飲もうと思ってたスープの袋がそれっぽいので取っておいた」

タクヤ 「ああ、これアルミ蒸着フィルムですね。他にもポテトチップスとかチョコレート菓子とかビスケットとかチャーハンや唐揚げなどの冷凍食品とか、いろいろ使っているものがありますよ」

リョウ 「なぜアルミ蒸着フィルムなのか。ただのプラスチックの袋ではなぜだめなのか」

タクヤ 「まず遮光性ですよね。食品は光で劣化することが多いので、これはカットしたい」

リョウ 「ギンギラだもんな。光は反射するだろう」

タクヤ 「ものによってはちょっと通すものもありますけどね。用途とコストとの相談で」

リョウ 「蒸着フィルムがない時代はどうしてたんだ?」

タクヤ 「隊長、昔のお菓子とか思い出してくださいよ。たとえばお菓子がビニールの袋に入っていて、それがさらに紙の箱に入っているのとかあったでしょう」

リョウ 「ああ。今もそういうのあるな」

タクヤ 「紙箱、木箱、缶などで光を遮断してたんですね」

リョウ 「で、蒸着フィルムは光を通さないだけか?」

タクヤ 「ガスバリア性と言いまして、空気を通さない」

リョウ 「プラスチックは空気通さないだろ」

タクヤ 「あれ? 常温ミルクパックの話のときにも言いましたよ。プラスチックって、けっこう気体を通しちゃうんですよ」

リョウ 「そうか」

タクヤ 「PETボトルなんかも実は気体を通します。なので、あれも肉眼ではわからないような薄膜を作ってあったりするんです」

リョウ 「そう言えば、ビールをPETボトルで流通する技術はあると聞いたことがあるな」

タクヤ 「茶色に着色したPETボトルの表面に薄膜を形成してガスバリア性を高めたボトルが試験されていますね。ただ、PETボトルのリサイクル性確保のために着色することはやめましょうという業界ルールがあるので、実際には使われていません」

リョウ 「PETも燃やすことにすればいいじゃんか、と言うともめるのか」

タクヤ 「はい、そうです。蒸着フィルムの話に戻ります」

油脂の酸化を防ぐ

リョウ 「これまた、蒸着フィルムがない時代にはガスバリア性はどうやって確保してたんだ」

タクヤ 「デリケートなものは、やっぱり瓶詰めや缶詰にするしかなかったでしょうね。短期間に売り切ることができる流通を確保していた商品は普通のプラスチックの袋も使っていましたけど、アルミ蒸着フィルムを使うことでシェルフライフが伸びて、小売店が扱いやすくなったということがあると思います。スナック菓子とか」

リョウ 「スナック菓子って、空気の出入りあるとだめなの?」

タクヤ 「気体には水蒸気っていうのもありますからね。まず湿気る心配があります。しかも、スナック菓子って、だいたい油脂を使ってますよね」

リョウ 「ポテトチップスはもろ揚げ物だな。焼いて作るもので『揚げてません』て書いてあるものでも、表面に油を吹いてツヤを出してたりするな」

タクヤ 「この油脂というものがですね、酸化してまずくなりやすいんですよ。とくに、酸素と紫外線同時攻撃でどんどん状態悪化と」

リョウ 「ははあ。すると光も酸素も通さないアルミ蒸着フィルムっていうのは、スナック菓子にもってこいだったわけだ」

タクヤ 「冷凍チャーハンとか冷凍唐揚げとかにもぴったりと」

リョウ 「しかし、倉庫とか店の中って、別に日光が入ってくるわけじゃないから、光ってそんなに影響ないんじゃないか」

タクヤ 「まあ、倉庫はたいてい暗くしてますがね、お店の中は蛍光灯がずらーっと並んでいるでしょう。あれは日光ほどではなくても紫外線出してますからね」

窒素ガス充填でパワーアップ

リョウ 「ふーん。で、メリットはそのぐらいかな」

タクヤ 「まあそういうことですが、瓶、缶、紙箱などを使わざるを得なかったようなものが、それらに比べてはるかに軽量な材料でOKという点は見逃せないでしょう。しかも、使う前はペッタンコで場所を取らず、工場のスペースを圧迫しない」

リョウ 「軽いって、そんなに大事か?」

タクヤ 「食品は運んでなんぼの商売ですからね。重ければ輸送コストにダイレクトに影響出ます。容れ物だけ重くて中身はスカスカと思われるとお客さんの印象悪くするものもあるでしょうし」

リョウ 「缶入りの柿の種はセーフでも缶入りのポテトチップスはどうなのかとか、そういうことかな。高かったり高そうに見えると買う頻度にも影響あるだろうしな」

タクヤ 「お客さんも商品を運ぶわけですからね。重いと嫌われます。かさばるゴミが出るのも嫌なものだし」

リョウ 「しかしな、缶や箱はつぶれないけど、袋はつぶれるぞ。そこんところはどうなってるんだ」

タクヤ 「ポテトチップスのような軽くてもろいものだと、空気枕みたいにある程度膨らんだ状態で密封してますよね。その膨らみで中身を守ると」

リョウ 「あ! そう言えばこの間ワンゲル系の友達に無理やり山に連れて行かれたんだけど、持って行ったポテチの袋がパンパンに膨らんだんだった」

タクヤ 「あはは」

リョウ 「だけどな、それ矛盾する話じゃないか。空気遮断するために使うアルミ蒸着フィルムの中に空気を入れてどうするんだ」

タクヤ 「そこはもう、窒素ガス充填ですよ。不活性ガスならいくら入ってても問題ないので」

リョウ 「へぇ。わざわざ窒素ガス入れるの?」

タクヤ 「シールする直前に窒素ガスをブローするとか、丁寧なやり方だと窒素置換と言って、中身の空気を完全に近い形で窒素ガスに入れ換えちゃうことがあります」

リョウ 「そういうことを」

タクヤ 「缶入りのお茶とかコーヒーとかでも、空間部分は普通の空気じゃなくて窒素置換していることがありますよ。これでずいぶん品質がよくなったようです」

透明パウチが拓く新境地

リョウ 「ポテチなんかだと、袋はふわっとしてるから陳列のときに立てることができるけど、中身が重いと寝かすしかないな。これは袋ものの弱点だろ」

タクヤ 「あれ? 最近はスタンディングパウチ大人気ですよ。ご存知ない?」

リョウ 「スタンディングパウチ?」

タクヤ 「袋の下の部分にマチを作ってあるパウチ袋です。自立型ポリ袋とも言います」

リョウ 「ほう。そう言えばパスタソースなんかそういう袋に入ってたな」

タクヤ 「これの登場で、小売店では陳列がしやすくなりました」

リョウ 「ほかになんか弱点ないのか弱点」

タクヤ 「アルミ蒸着フィルムだと、金属探知機が使えませんね。なにしろそのものに金属を含んでますから」

リョウ 「最近の工場は、製品をパッケージした後、最終的に検針器通して針とかの異物がないかチェックするもんな」

タクヤ 「でも、いいのが出てるんですよ。透明蒸着フィルムという」

リョウ 「透明?」

タクヤ 「アルミニウムではなく、酸化アルミナとか二酸化ケイ素とかというものを蒸着したものです」

リョウ 「よくわからん物質の名前が出てきた」

タクヤ 「二酸化ケイ素って、よくシリカなんて呼ばれているものですね」

リョウ 「そういうのだと透明に仕上がって、金属探知機も使えるのか?」

タクヤ 「そうです。しかも、長時間の加熱に強いフィルムなんですよ。だから、レトルト食品とかから普及してきていますね。隊長がさっき言ってたパスタソースなんかも、たぶんこのタイプだと思いますよ」

リョウ 「ウチ帰ったら調べてみよ」

タクヤ 「あと、電子レンジに入れてもスパークしないので、電子レンジ調理用の食品なんかに応用する例も増えてくるでしょうね」

リョウ 「ただの袋だと思ってたけど、なかなか奥が深そうだな」

タクヤ 「袋は底が浅いとだめです」

北遥
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もの書き稼業 きた・はるか 理科好きの理科オンチ。