粉ミルクで乳児ボツリヌス症

No.25(2025.12.10)

粉ミルク(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国で乳幼児用粉ミルクに関連した乳児ボツリヌス症アウトブレイクが発生し、CDC、FDA、各州当局などが調査を続けている。感染源として特定ブランドの製品が浮上している。

注目記事

【米国】粉ミルクに関連の乳児ボツリヌス症アウトブレイク

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局、カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)の乳児ボツリヌス症治療・予防プログラム(IBTPP)、および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生している乳児ボツリヌス症アウトブレイクを調査するためさまざまなデータを収集している。

 疫学データおよび検査機関での検査データは、ByHeartブランドの乳幼児用調製粉乳「Whole Nutrition infant formula」がボツリヌス菌(Clostridium botulinum)に汚染されている可能性があり、本アウトブレイクの感染源となっていることを示している。

 2025年12月3日時点で、乳児ボツリヌス症の疑い・確定患者計39人が18州から報告されている。一部の患者については検査機関で確定検査が進められている。患者の発症日は2025年8月9日〜11月19日。本アウトブレイクの患者は39人全員が入院し、BabyBIGⓇ(抗ボツリヌスヒト免疫グロブリン製剤)による治療を受けた。

 死亡者は報告されていない。

 2025年11月19日にByHeart社は、ByHeartブランドの未開封の乳幼児用調製粉乳製品に対して第三者検査機関で実施された検査の結果、当該製品からボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が検出されたと報告した。

 カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)は、本アウトブレイク患者が喫飲したByHeartブランドの開封済み乳幼児用調製粉乳の培養検査で、A型ボツリヌス菌(C. botulinum type A)を検出した。

 現在複数の機関において、ByHeartブランドの乳幼児用調製粉乳に対する追加検査が進められている。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】

1. 乳幼児用調製粉乳に関連して複数州にわたり発生している乳児ボツリヌス症アウトブレイク(2025年12月3日、11月26日、20日付更新情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】

1. 公衆衛生通知:様々なブランドのピスタチオおよびピスタチオ入り食品に関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Agona、S. Anatum、S. Bareilly、S. Branderup、S. Corvallis、S. Havana、S. Kottbus、S. Mbandaka、S. Meleagridis、S. Ohio、S. SenftenbergおよびS. Tennessee)感染アウトブレイク(2025年12月2日付更新情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】

1. 欧州疾病予防管理センター(ECDC)の設立20周年記念式典:変化し続ける状況下で成し遂げた主要な成果および将来への展望

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】

1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【Eurosurveillance】

1. デリミートの喫食に関連して病院で発生したリステリア症アウトブレイク(ドイツ、2023年2〜3月)

【英国保健安全保障局(UK HSA)】

1. 志賀毒素産生性大腸菌(STEC)に関するデータ(イングランド、2023年)

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.25(2025.12.10)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202525m.pdf