小麦粉の大腸菌汚染と予防策

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.19(2020.09.16)を発表した。

注目記事

【ドイツ】小麦粉の大腸菌汚染——その汚染源、リスクおよび予防策

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)の報告。

 食品由来感染症から自身や家族を守りたいと考えている消費者向けの食品関連感染症予防策として、台所での一般的な衛生規則に加え、小麦粉を取り扱う際の推奨事項を以下に紹介する。

  • 食品の調理前および小麦粉に触った後は、石鹸と水で手指を十分に洗浄し、入念に乾燥させる。
  • 可能な限り小麦粉とそのまま喫食する食品との接触は避け、それぞれに別のまな板、皿、ボウル、撹拌機などを使用するか、これらの調理器具に小麦粉が接触した場合は洗浄することが望ましい。
  • 調理台表面や調理器具などに小麦粉が接触した場合は、洗剤と温水を使用して十分に洗浄し乾燥させる。
  • 焼く前の生のケーキ生地やクッキー生地は喫食しない。

 志賀毒素産生性大腸菌(STEC、EHEC)は、加熱、ロースト、煮込みなどの調理により死滅する。煮る・揚げる・炒めるなどにより家庭で食品を調理する際は、一般的には食品の中心温度が70℃以上に保たれた状態で2分間以上の加熱が行われれば十分である。

 ただし、この基準は水を使用しない乾式加熱調理の場合は適用できず、生地を加熱する場合にも不十分である。水分含量が約13%の乾燥小麦粉製品では、STECは70℃では死滅しない。STECは、酸、低温および乾燥に対しても比較的低感受性であるため、冷凍庫内でも確実に死滅するとは限らない。

 生地を作るため小麦粉に卵、牛乳または水を混ぜ合わせた場合は、中心温度を70℃に保ちつつ2分間以上加熱することでSTECを死滅させることができる。中心温度がより高い状態で加熱する場合は必要な加熱時間を短縮できる。

【ICMSF】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と食品安全

 国際食品微生物規格委員会(ICMSF: International Commission on Microbiological Specifications for Foods)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)およびその食品安全との関連性について見解を発表した。

 本来の食品安全ハザードは、食品と共に消化管を介して体内に侵入することにより人体のいずれかの器官・組織に感染し得るものを意味するため、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は食品安全ハザードと考えるべきではない。

 また、食品ハザードと食品安全リスクは区別して考えることが重要である。つまり、食品中に感染性病原体が存在しているだけでは、必ずしもヒトへの感染が成立するとは限らない。

 COVID-19がパンデミックの状態になった初期から、何十億食もの食事が喫食され、食品包装が取り扱われてきたにもかかわらず、食品・食品包装・食品取り扱いなどがSARS-CoV-2の感染源または重要な伝播経路となりCOVID-19の罹患につながったことを示すエビデンスは現時点では存在しない。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.19(2020.09.16)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202019m.pdf

今号の目次

【国際食品微生物規格委員会(ICMSF)】
1. 国際食品微生物規格委員会(ICMSF)が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)およびその食品安全との関連性に関する見解を発表

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 桃に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイク(2020年8月27日付更新情報)
2. タマネギに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Newport)感染アウトブレイク(2020年9月1日付更新情報)
3. 固ゆで卵に関連して発生したリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(最終更新)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:米国から輸入された桃に関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイク(2020年9月2日付更新情報)
2. 公衆衛生通知:米国から輸入されたレッドオニオンに関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Newport)感染アウトブレイク(2020年8月31日付更新情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 志賀毒素/ベロ毒素産生性大腸菌(STEC/VTEC)感染症―2018年次疫学報告書

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 小麦粉の大腸菌汚染 ― その汚染源、リスクおよび予防策

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報2020(07)