冷凍ベリーは1分以上煮沸を

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.17(2018.08.15)を発表した。

注目記事

【アイルランド】ベロ毒素産生性大腸菌と夏の食品の安全

 アイルランドは6月に熱波に見舞われ、また、ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)感染患者数が増加した。このため、アイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC Ireland: Health Protection Surveillance Centre, Ireland)は、食品安全に一層注意するよう消費者に呼び掛けている。

 2018年第26週(疫学週)にはVTEC感染患者が47人報告された。直近の3年間の同じ週の患者数は9~27人であった。第26週に報告されたVTEC感染患者47人のうち少なくとも27人が入院した。

 夏季には、バーベキューやピクニックに関する以下のような食品安全上の助言を覚えておく。

  • 食品の取り扱いの前後には手を洗う。
  • 冷凍食品は、冷凍状態からそのまま加熱する食品ではない限り、加熱前に必ず解凍する。
  • 生肉と加熱済み肉には、別々の調理用具や皿を使用する。
  • ハンバーガーやソーセージなどのひき肉製品は、以下のことをチェックして完全に加熱されたことを確認する。
    • 肉全体が熱々に加熱されている。
    • 中心部を切ったときにピンク色の部分がない。
    • 肉汁が透明である。
  • 果物や野菜は飲用水で十分に洗い、とくに加熱しないで喫食する場合は念入りに洗う。

【アイルランド】輸入冷凍ベリーは煮沸せよ

 アイルランド食品安全局(FSAI)は、すべての輸入冷凍ベリーについて、喫食前に1分以上の煮沸を行うよう消費者に再度の助言を行った。

 冷凍ベリーの国際的な供給チェーンにはリスクが依然として存在しており、2018年も冷凍ベリー中のウイルスに関して数件の食品警報が欧州全域で発せられている。

 輸入冷凍ベリーは、喫食前に少なくとも1分間煮沸すべきである。この予防的措置はいかなるウイルスの生残も妨げ、小児、入院患者、介護施設入所者などの被害を受けやすい人々にこれらの食品が提供される際に特に重要な意味を持つ。食品由来ウイルスは、とくに被害を受けやすい人々に重篤な疾患を引き起こすことがある。

 輸入冷凍ベリーはアイルランドの食品業界で広く利用されており、調理済み食品やそのまま喫食可能な(ready-to-eat)食品に使用するため食品提供分野に流通している。したがって、輸入冷凍ベリーを使用・販売する食品事業者は、扱うベリーが、効果的な食品安全管理システムおよび包括的なトレーサビリティシステムを運用している信頼できる供給元に由来するとの確証を得ていなければならない。

 フードチェーンは極めて複雑である可能性があるため、フードチェーンの各段階の食品事業者は、運用している食品安全管理システムの有効性について供給業者に保証を求める必要がある。輸入冷凍ベリーを使用する食品事業者は、自社の事業におけるリスクを評価し、煮沸を自社の食品安全管理システムに導入する必要性を検討すべきである。

【米国】生きた家禽類はサルモネラを保菌している可能性がある

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)および複数州の公衆衛生当局は、小規模飼育の生きた家禽類との接触に関連して複数州にわたり発生している数件のサルモネラ感染アウトブレイクを調査している。

 2018年6月8日付の初発情報以降、新たに88人の患者が報告され、7月13日までにサルモネラアウトブレイク株感染患者が44州から計212人報告されている。直近の患者の発症日は2018年6月21日である。本アウトブレイクでは複数の血清型(Senftenberg、Montevideo、Infantis、Enteritidis、Indiana、Litchfield)のサルモネラにより患者が発生している。

 生きた家禽類やその飼育環境との接触は、サルモネラ感染症の原因となる可能性がある。家禽類は、健康で清潔に見え、疾患の兆候を示していなくても、サルモネラを保菌している可能性がある。

 患者の発症日は2018年2月15日~6月21日である。患者34人が入院したが死亡者は報告されていない。患者の26%が5歳未満の小児である。

 患者への聞き取り調査において、情報が得られた138人中100人(72%)が発症前1週間にヒヨコやアヒルのヒナと接触したことを報告した。患者は、ヒヨコやアヒルのヒナの入手先として、飼料販売店、インターネットサイト、孵化場、親戚などを挙げた。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.17(2018.08.15)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201817m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】

1. マクドナルドの店舗で販売されたサラダ製品Fresh Express Salad Mixの喫食に関連して米国の複数州にわたり発生している2018年のサイクロスポラ症アウトブレイク(2018年8月9日、2日、1日付更新情報)

2. 食料品チェーンHy-Veeの店舗で販売されたパスタサラダ(Spring Pasta Salad)に関連して発生しているサルモネラ感染アウトブレイク(2018年8月1日付更新情報)

3. 小規模飼育の生きた家禽類との接触に関連して複数州にわたり発生している2018年のサルモネラ感染アウトブレイク(2018年7月23日付更新情報)

【欧州食品安全機関(EFSA)】

1. 冷凍野菜製造工場でのリステリア(Listeria monocytogenes)検出を目的とした検体採取および検査に関する緊急提言への科学的・技術的支援

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】

1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【アイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC Ireland)】

1. 熱波に注意:ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)および夏季の食品安全

【アイルランド食品安全局(FSAI)】

1. アイルランド食品安全局(FSAI)が輸入冷凍ベリーを煮沸するよう再度助言

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】

1. ヤギおよびヒツジの酪農場における人獣共通感染症細菌

【ProMed mail】

1. コレラ、下痢、赤痢最新情報