卵の安全な取扱い方法

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.18(2014.09.03)を発表した。

注目記事

【US FDA/US CDC/カナダ政府】ナッツバターのサルモネラ汚染

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)によると、nSpired Natural Foods社は、サルモネラ汚染の可能性により、ガラス瓶またはプラスチック瓶入りのArrowhead Millsブランドのピーナッツバター、MaraNathaブランドのアーモンドバターとピーナッツパター、および一部のプライベートブランドのナッツバターの自主回収を行っている。

 サルモネラ汚染の可能性は、米国食品医薬品局(US FDA)が行った通常検査によって明らかになった。同社には、上記の製品に関連している可能性がある4人の患者の発生が報告されている。

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、複数州の公衆衛生当局および米国食品医薬品局(US FDA)と協力し、複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Braenderup)感染アウトブレイクを調査している。調査は継続中であるが、nSpired Natural Foods社が製造したアーモンドバターおよびピーナッツバターが感染源である可能性が高いことが示されている。

 カナダ政府(Government of Canada)は、サルモネラ汚染の可能性によりMaraNathaブランドおよびTrader Joe’sブランドのアーモンドバターおよびピーナッツバターが回収されている。カナダでは、現時点では当該製品の喫食に関連する患者は報告されていない。

 当該製品が他国で回収されたことから、カナダでも回収が開始された。

【ECDC】ドイツ産卵のサルモネラ汚染

 欧州疾病予防管理センター(ECDC:European Centre for Disease Prevention and Control)によると、サルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染の散発性またはアウトブレイクの患者が、オーストリア、フランス、ドイツ、英国およびルクセンブルク(フランス在住の1人)から報告されており、発症日および分離株の微生物学的性状から相互に関連していると考えられている。

 オーストリア、フランスおよびドイツの患者は、ドイツ南部の卵包装施設1カ所との疫学的関連を共有している。

 ドイツの当該卵包装施設由来の卵からフランスで分離されたS. Enteritidis分離株は、分子生物学的性状が患者由来株と同じであった。また、ドイツでイチゴケーキの検体から本アウトブレイクとは無関係の調査により分離されたS. Enteritidis株も、本件の患者由来の株と類似した分子生物学的性状を有していた。

【UK FSA】卵の安全な取扱い方法の再確認を

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)は、卵の安全な取扱いに関して食品提供業者に対し以下の助言の再確認を促している。

・割卵前および割卵後の卵は他の食品から遠ざけて保管する
・損傷や汚れのある卵は使用しない
・他の食品、調理台表面および食器に生の卵が飛び散らないよう注意する
・卵を割り置き(プール)する場合は液卵を冷蔵庫で保存し、必要に応じて少量ずつ取り出す
・プールした液卵は同日中にすべて使い切り、これに新たな液卵を加えない
・卵および卵含有食品は十分に加熱する
・生および軽く加熱するだけの食品には低温殺菌卵を使用する
・卵の取扱い後は必ず手指の十分な洗浄および乾燥を行う
・卵の取扱い後は食品の取扱い区域、食器および調理器具を温かい石けん水でその都度十分に洗浄する
・卵料理はできたてを供するか、すぐに冷却し冷蔵保存する

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.18(2014.09.03)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201418m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. サルモネラ汚染の可能性によりnSpired Natural Foods社が一部のロットのピーナツバターおよびアーモンドバターを自主回収

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. ナッツバターに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Braenderup)感染アウトブレイク(初発情報)
2. 米国で複数州にわたり発生しているサイクロスポラ症アウトブレイク(2014年)
3. 同一の家禽肉生産業者に関連して米国13州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイク(2012~2013年)

【カナダ政府(Government of Canada)】
1. サルモネラ汚染の可能性によりMaraNathaブランドおよびTrader Joe’sブランドのアーモンドバターおよびピーナツバターを回収

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. ドイツ産の卵の喫食に関連して複数国にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)アウトブレイクに関するECDC/EFSA合同迅速調査

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【イングランド公衆衛生局(UK PHE)】
1. サルモネラアウトブレイクの調査(2014年8月22日付更新情報)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国食品基準庁(UK FSA)が卵の安全な取扱い方法について食品提供業者に助言
2. 小売り生鮮鶏肉のカンピロバクター汚染調査の中間結果を発表
3. 食品に関する年2回の消費者意識調査の結果

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