エナジードリンクのリスクは

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.12(2012.06.13)を発表した。フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)はエナジードリンクのリスクについて厳密な調査を行っている。欧州食品安全機関(EFSA)は、食品中のパーフルオロアルキル化合物について評価を行い、食事からの暴露が低いことを報告している。カナダHarper政権は、食品安全への政府機能を強化する法案を提出した。

注目記事

【ANSES】エネルギードリンク:有害事象を報告するよう要請

 フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)は、エネルギードリンクによるリスク、とくにアルコールとの同時摂取および運動との関連性についてより厳密に調査を行うため、消費者に対し、エネルギードリンクの摂取により有害事象を経験した場合は報告するよう呼びかけている。

※ポイント:エネルギードリンク(日本ではエナジードリンクとも呼ばれています)およびその主要な活性成分であるカフェインについては、欧米を中心にかなり話題になっています。

 とくに、エネルギードリンクとアルコールを同時摂取すると、カフェインの覚醒作用によって酔いを感じにくくなり、アルコールの過剰摂取につながるのではないか、さらには飲み過ぎによる暴力的な行動へとつながるのではないかとの疑いがかけられています。

 カフェインの摂取については、英国および韓国などでは1日の上限量を示して過剰摂取をしないよう注意が喚起されています。

【EFSA】食品中のパーフルオロアルキル化合物:存在と食事暴露

 欧州食品安全機関(EFSA)のCOMTAMパネル(フードチェーンにおける汚染物質に関する科学パネル)は、食品中のパーフルオロアルキル化合物(※1)について、食品中の濃度および食事を介した暴露量に関する評価を行った。

※ポイント:EFSAはパーフルオロアルキル化合物について2008年に評価を行っていますが、その時には食品や生体中の分析データが十分ではなく、暴露量の推定にはさらなるデータが必要であると述べていました。

 今回は、2006年から2012年に集めたデータをもとに暴露量を評価し、食事からの暴露が健康に基づくガイドライン値を超過する可能性が低いことを確認しています。食品中のパーフルオロアルキル化合物について、やっと結着がついたということでしょう。

【CFIA】Harper政権はSafe Food for Canadians Actを発表

 Harper政権は“カナダ国民のための食品安全法(Safe Food for Canadians Act)”を発表した。本法は、カナダ人家族を安全でない可能性のある食品から保護するために政府の機能を強化し、安全な食品を継続的に提供できるよう食品安全システムを近代化させることを目標としている。

※ポイント:カナダでは、食品関連の規制担当部門を統合して新しい法のもとで食品安全への政府機能を強化しようとしており、その法案が上院で議論されています。

 この食品に関する法律は、食品の検査、安全性、表示および広告、輸入、輸出、州間の取引、基準設定、関連従事人の登録又はライセンス供与、関連施設の登録などを対象にしています。

※1 パーフルオロアルキル化合物(ペルフルオロアルキル化合物):フッ素系界面活性剤の一種。高耐光性、高耐熱性、難生分解性。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.12(2012.06.13)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201212c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO紀要

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)視察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. リスク評価用語についての科学的意見
2. EFSAはある種の農薬とミツバチの健康についての研究をレビュー
3. ミネラルオイル炭化水素:EFSAはこれらの複雑な化合物について意見を発表
4. 食品中のパーフルオロアルキル化合物:存在と食事暴露
5. 食用油脂の許容される前荷の再評価-Part IIIのうちのPart II
6. 食品または食品サプリメントに使用された場合にヒトの健康上の懸念となり得る天然物質を含むことが報告されている植物の概要
7. 香料グループ評価
8. 健康強調表示関連
9. 食品と接触する物質関連
10. 飼料添加物関連
11. ヒトや動物にとって重要な抗菌剤への細菌の感受性評価ガイダンス

【FSA】
1. EFSAの意見への反応
2. FSAが発表した最新研究
3. FSAe-Newsオンライン発行
4. 予算がぎりぎりになると食品安全がリスクに曝されることを研究は明らかにする

【COT】
1. FSAの植物エストロゲン研究計画についてのCOTの声明

【BfR】
1. 食品中ピロリジジンアルカロイドについてのFAQ
2. 鶏卵の高濃度ダイオキシン様PCB(DL-PCB)のリスク評価
3. 化学処理や照射による安全な肉?

【ANSES】
1. エネルギードリンク:有害事象を報告するよう要請

【EVIRA】
1. 有機生産は増加し管理は有効である

【FDA】
1. FDAはReumofan Plus に警告
2. 警告文書(2012年5月29日、6月5日掲載分)

【EPA】
1. EPAのアンモニア評価書案にパブリックコメント募集/評価案はNASの助言へのEPAの対応を継続

【USDA】
1. USDAは処理マニュアルに綿実の臭化メチル燻蒸スケジュールを追加することについて意見募集
2. USDAは遺伝子組換え甜菜の最終環境影響声明と植物疫病リスク評価を発表
3. APHISは遺伝子組換えユーカリ野外放出案について最終環境評価(EA)と有意な影響はないという知見(FONSI)を発表
4. USDAの科学者と共同研究者はこれまでで最も包括的なトウモロコシの遺伝子解析を完了

【CFIA】3
1. Harper政権はSafe Food for Canadians Actを発表

【FSANZ】
1. ファクトシート:植物ベースのミルク代用品
2. 食品へのビタミンやミネラルの添加
3. 食品基準通知

【NZFSA】
1. 成長促進用ホルモンの規制変更

【香港政府ニュース】
1. 刺身と寿司は安全性検査に合格
2. 医薬品カプセルのサーベイランス強化
3. 健康に関する宣伝規制開始
4. ちまきは安全性検査に合格

【KFDA】
1. 日本原発関連食品医薬品安全庁の対応と管理動向
2. 食品医薬品安全庁、欧州での食品安全管理に乗り出す!
3. マグロのようなバラムツ、6月から食品の原料として使用禁止!

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)食中毒、コゴミカナダ:警告
・(ProMED-mail)原因不明の疾患ベトナム(第6報):毒素疑い
・(ProMED-mail)シガテラ中毒スペイン(CN)