食品安全情報(化学物質)No.10(2012.05.16)

国立医薬品食品衛生研究所は、2012年5月18日食品安全情報(化学物質) No.10(2012.05.16)を発表した。英国食品基準庁(FSA)はアクリルアミドなどに関する研究の要約を発表した。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、食品に使用するとリスクがある植物などがわかるパンフレットをまとめた。また同研究所は、過剰なニコチン酸摂取が健康に悪影響を与える可能性を指摘した。

注目記事

【FSA】FSA 最新研究

 英国食品基準庁(FSA)は、2012年4月に公表したFSA研究の要約を作成した。研究テーマは、照射食品の検出法、フモニシンへの加工の影響、アクリルアミド/フラン、多環芳香族炭化水素(PAH)、動物肉のヒ素などの調査である。

※ポイント:FSAが英国の食品安全のために行っている研究の最新報告です。その中の1つに、PAHの測定結果が報告されています。PAHは日本では規制されていませんが、EUではベンゾ(a)ピレンとして一部の食品に基準値が設定されているので、モニタリングや摂取量評価が行われているのです。

 PAHは加熱した食品(とくに焦げた部分)や燻蒸処理した食品ではよく検出される物質です。PAHの中には発がん性を持つものがありますが、今回のBfRの報告書からもわかるように、通常の食事であれば暴露マージン(MOE)は大きいため健康へのリスクは小さいと考えられます(注:EFSAはMOEが10,000以上なら一般の人々の健康についての懸念が低いと結論しています)。

【BfR】「ナチュラル」は必ずしも「安全」を意味しない

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、食品サプリメントへの植物の使用が増加していることを懸念し、一部の植物の安全性についてパンフレットにまとめた。とくに食品に使用するとリスクがある植物を取り上げている。

※ポイント:BfRが今回のパンフレットに取り上げた植物の中には、日本でもなじみ深い植物があります。例えば、トリカブト、ジギタリス、チョウセンアサガオなどです。本文はドイツ語ですが、パンフレットの目次を見るとドイツではどのような植物に注意しているかがわかります。

【BfR】過剰量のニコチン酸摂取は健康への悪影響の可能性がある

 ニコチン酸(ピリジン3-カルボン酸)及びニコチンアミド、またはニコチン酸アミド(ピリジン3-カルボン酸アミド)は、ビタミンB複合体に属するものと分類される。ヨーロッパではナイアシンという言葉はどちらの物質も含むが、米国ではナイアシンは主にニコチン酸のことを意味する。

 ドイツの典型的な食生活ではナイアシンの摂取量は十分であることから、BfRは食品サプリメント等を介した過剰摂取による健康影響を懸念している。

※ポイント:日本食品標準成分表2010によると、日本ではナイアシンはニコチン酸及びニコチン酸アミド等の総称とされています。さらに、生体内でトリプトファンから生合成されるので、摂取量を推定する場合には食品由来のナイアシンに加えて1/60トリプトファンを考慮する必要があります。日本でも、「ナイアシン」という名称の食品サプリメントが多数販売されているので、過剰摂取には注意が必要です。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.10(2012.05.16)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201210c.pdf

今号の目次

【EC】
1. (意見募集)EUにおける食品生産用動物のクローニング規則
2. 食品獣医局(FVO)視察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 新規食品成分としての「共役リノール酸(CLA)の多い油」Clarinol®及びTonalin®TG80の安全性についての声明
2. EFSAの2011食品と飼料の安全性危機準備および対応年次報告書
3. ショ糖脂肪酸エステル(E473)の食品添加物としての使用による暴露評価についての科学的意見
4. 健康強調表示に関する科学的意見
5. 飼料添加物に関する科学的意見

【FSA】
1. 新規食品成分の申請に関する意見募集
2. Dalgety湾産水産物の制限
3. FSA最新研究

【DH】
1. 食品表示に意見募集を開始

【BfR】
1. 「ナチュラル」は必ずしも「安全」を意味しない
2. 過剰量のニコチン酸摂取は健康への悪影響の可能性がある

【RIVM】
1. 土壌の鉛汚染と野菜による取り込み:土壌の鉛汚染リスク
2. 若齢での化学物質暴露による有害影響を評価するための実験モデル開発

【EVIRA】
1. 食品サプリメントに未承認ミネラル
2. シャグマアミガサタケは適切に取り扱うべきである

【FDA】
1. 警告文書(2012年5月1日、8日公表分)

【EPA】
1. EPAは飲料水システムと協力して規制されていない汚染物質を監視

【USDA】
1. USDAは「カレンに聞こう」モバイル版1周年を祝う

【CFIA】
1. Okanagan Specialty Fruits社による褐色変化しない遺伝子組換えリンゴの新規食品、家畜飼料、環境放出の認可申請通知

【FSANZ】
1. 未包装肉の原産国表示について決定
2. 一部の未殺菌乳製品を認めるよう基準を変更する予定
3. 食品基準通知

【香港政府ニュース】
1. 漢方薬リコール
2. さらに漢方薬リコール
3. 水銀汚染漢方薬リコール
4. 漢方薬中毒調査
5. 農薬規制について官報掲載

【KFDA】
1. 健康機能食品は前年対比27.4%成長
2. 海外インターネットサイト販売商品の購入注意!
3. 韓国白菜、Kimchi Cabbageで国際的に認められる!
4. 日本原子力発電所関連の食品医薬品安全庁対応と管理動向

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(デンマーク食品研究所)ラムソンは有毒植物と紛らわしい