食品安全情報(化学物質)No.05(2012.03.7)

国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、グルコサミンは抗血液凝固薬の効果を増強し、出血につながるリスクを指摘している。カナダ食品検査庁(CFIA)は、8月にスタートする新しい食物アレルゲン表示について事業者に注意を呼びかけている。

注目記事

【BfR】食品サプリメントのグルコサミン

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、クマリン抗凝固薬を使用している患者にとってグルコサミンの摂取はリスクとなることを指摘した。グルコサミンは、抗血液凝固薬の効果を増強し、出血につながる可能性があると指摘している。

※ポイント:前号では、米国国家毒性プログラム(NTP)によってイチョウによる発がん性が指摘されていることを紹介しましたが、今回はグルコサミンによる医薬品との相互作用リスクについてです。いずれも、よく知られている「いわゆる健康食品」です。

 いわゆる健康食品(サプリメント等)のリスクが高いと言われる理由はいくつかあります。たとえば、グルコサミンと同じように医薬品と相互作用する場合があるものもありますし、原料として抽出物や濃縮物を使用することが多いので気付かないうちに過剰摂取による肝臓や腎臓の機能障害を生じることもあります。他に、従来とは異なる方法(非加熱等)で摂取することが原因で健康影響が生じる場合もあります。また、重金属を含む製品や医薬品およびその類似化合物を含む製品もたくさん報告されています。

【CFIA】食物アレルゲンの表示規制強化

 カナダでは2012年8月4日より食物アレルゲンの新しい表示規制が発効することから、カナダ食品検査庁(CFIA)が事業者向けに注意を喚起した。新しい表示規制では、アレルゲンを原料の一般名(「乳」「小麦」「大豆」など)で表示する必要があるなど、消費者にとってよりわかりやすいものとなっている。

※ポイント:食品安全の視点で考えると、食物アレルゲンは最も重要な表示項目です。

 表示が必ず必要な食物アレルゲンの種類は国によって異なります。たとえば、カナダで表示義務のあるマスタード種子や亜硝酸塩は日本では表示が必須ではありません。一方、「そば」は日本特有の表示義務のある食品です。

 先日、輸入品の食物アレルゲン表示はどうなっているのかと聞かれました。輸入品だとしても日本で販売する場合には日本の規制を遵守しなければならないので、きちんと届出がされた製品であれば日本で表示義務のあるものについては表示されています。逆に言えば、日本語のラベルがない製品は正規ルートの輸入品ではなく表示されていない可能性があるので注意が必要です。

食品安全情報へのリンク

「食品安全情報」
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.05(2012.03.07)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201205c.pdf

今号の目次

【FAO】
1. 偽造動物用医薬品闇市場と戦う同盟

【EC】
1. 医療機器のビスフェノールAの安全性についての情報募集
2. 肥料中のカドミウムについてのSCHERの意見
3. 食品獣医局(FVO)視察報告書:5ヶ国及び視察の概括報告書
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSAは毒性学的懸念の閾値(TTC)についての作業を更新
2. 燻製香料一次製品AM 01の安全性についての科学的意見-2012年更新
3. 飼料及び食品中にホモプシンが存在することによる動物や公衆衛生リスクについての科学的意見
4. BASF Plant Science Company GmbH社からの遺伝子組換えジャガイモEH92-527-1の2010年の年次市販後環境モニタリング(PMEM)報告についての科学的意見

【FSA】
1. FSAが最新研究を発表
2. 新規食品加工諮問委員会(ACNFP)による意見募集:藻油、チーア種子
3. 多動と関連する色素を含まない製品の更新
4. それらの健康強調表示に真理の核心はあるか?

【MHRA】
1. MHRAは痩身用と性行為補助用に販売されている有害なハーブレメディに警告

【BfR】
1. 食品サプリメントのグルコサミン:クマリン抗凝固剤を使用している患者にとってもリスクとなる
2. 食品への植物ステロール及びスタノールの添加:オランダの新しい研究の評価
3. 食品中の塩を減らすことにより血圧を下げる

【FSAI】
1. FSAIの電話相談は2011年に食品関連の苦情が13%増加したことを報告

【FDA】
1. オレンジジュース製品とカルベンダジム:ジュース製品協会へのFDA文書の補遺
2. Healthy People 社は2012年2月2日開始の自主回収を2011年10月25日以前の製品にも拡大
3. Regeneca社は健康リスクの可能性があるため全てのロットのシングルカプセルRegenErectを全国で自主回収
4. 警告文書(2012年2月21、28日公表分)

【USDA】
1. USDAは除草剤耐性遺伝子組換えトウモロコシの意見募集期間を延長

【CFIA】
1. Harper政権は消費者、生産者及び全ての事業者へのサービス提供を改善
2. 食物アレルゲンの表示規制強化

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【香港政府ニュース】
1. 改正ミルク法発効
2. 水銀汚染魚切り身が検査に不合格
3. 日本からの輸入食品の安全性確認

【KFDA】
1. 説明資料(「発がん箸、食品医薬品安全庁は8ヶ月前にわかっていた」報道関連)
2. 食品中のカビ毒素の安全管理を強化
3. 輸入食品安全のための営業者教育を強化

登田美桜
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国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室主任研究官 とだ・みおう 農学博士。国立医薬品食品衛生研究所は、医薬品、食品、その他生活環境中に存在する物質について、品質、安全性、有効性を評価するための試験、研究、調査を行う機関。 安全情報部の「食品安全情報」は、食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報を伝える。