米国は詐欺的体験談の監視強化

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国連邦取引委員会は宣伝に詐欺的な体験談を使用した場合に多額の制裁金が発生する可能性があると通知した。米国食品医薬品局はナトリウム摂取量を減らすための支援として事業者向けガイダンスを発表した。米国環境保護庁長官はPFAS(パー及びポリフルオロアルキル化合物)汚染に対する戦略的ロードマップを発表した。

注目記事

【FTC】FTCは数百の企業に向けて偽りのレビューやその他の誤解をまねく推薦について通知

 米国連邦取引委員会(FTC)は、消費者を欺くために宣伝に体験談を使用した場合には、あらゆる手段を用いて責任を追及する用意があるという明確なメッセージを産業界に通知する。FTCは700以上の企業に「違約金通知」(Notice of Penalty Offenses)を送付し、FTCが過去の訴訟で詐欺的であると判断した事例を紹介した。また、これらの事例に反して体験談を不正に使用した場合には、1回の違反につき最大43,792ドルの多額の民事制裁金が発生する可能性があることを通知した。

※ポイント:違約金通知を受け取った企業リストには有名な大手も含めて企業名がずらりと並んでいます。FTCは以前から「体験談」は宣伝の根拠にはならないと幾度も注意を喚起しており、問題があると判断された企業には警告通知を発出してきました。このリストからはFTCの今後の監視強化への強い意気込みが感じられます。

【FDA】FDAは減塩の最終ガイダンスを発表

 米国食品医薬品局(FDA)は、国民のナトリウム摂取量を減らすための支援として、加工済み、包装済み、調理済みの食品を含む広範な食品を対象に、自主的な短期的(2年半)ナトリウム低減目標を提示した事業者向け最終ガイダンスを発表した。FDAは、一日の平均ナトリウム摂取量の12%削減を目指している。

※ポイント:240もの市販食品(例:乳製品、ナッツ類、サラダ、パスタなどの加工食品)について、個々に、どの程度までナトリウム量を減らすとよいのか数値目標が提示されています。このような数値目標を政府機関が提示するというのはとても斬新なことです。今後、この数値目標を参考に食品事業者による自社製品の組成の見直しが行われるものと思いますが、このような政府の取組がどの程度の影響を及ぼすのかを知るためにも、2年半後に、米国の市販食品中のナトリウム量とナトリウム摂取量がどのように変化しているのか興味深いです。

【COT】マイコトキシンへの複合暴露のリスクの可能性についての声明(2021)

 英国食品・消費者製品・環境中の化学物質の毒性委員会(COT)は、乳幼児の食事に含まれるマイコトキシンの複合暴露によるリスクの可能性について検討した。しかし、入手可能な情報では複合暴露によるリスクを評価するのに十分ではなく、評価を完了することができなかった。COTは、マイコトキシンの複合汚染の実態データの不足や、規制に利用可能な検査法が統一されていないこと、またマイコトキシンのさまざまな組み合わせによる相互作用のメカニズムに関する知見不足などを指摘している。

【EPA】EPA Regan長官はPFAS汚染に立ち向かうための包括的国家戦略を発表

 米国環境保護庁(EPA)のMichael S. Regan長官が、米国全土のPFAS汚染に立ち向かうための包括的な戦略的ロードマップを発表した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.22(2021.10.27)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202122c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO の、COVID-19からの継続的回復を確実にするための10の気候行動呼びかけ
2. WHO 化学物質ロードマップのオンライン自主トレーニングコース
3. 国際鉛中毒予防週間2021-鉛塗料のない世界のために協力
4. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. 世界食料デー2021
2. Codex

【EC】
1. 農場から食卓まで2021会議:「ともに持続可能なフードシステムを構築する」
2. 査察報告
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 化学物質混合物と食品安全
2. 複数の化学物質への複合暴露のリスク評価に関する EFSA の国際ワークショップ、
2021年10月
3. 農薬関連
4. 食品酵素関連

【FSA】
1. 包装済み直接販売(PPDS)食品の表示ガイダンス(更新)
2. 食物過敏研究(生活の質)第1回報告書
3. 英国アナフィラキシー登録開始と英国の消費者にとってのその重要性
4. FSA blog:世界食品安全インシデントと緊急対応会議2021

【FSS】
1. ビタミン D キャンペーンツールキット

【COT】
1. マイコトキシンへの複合暴露のリスクの可能性についての声明(2021)

【COC】
1. COT 会合:2021年10月26日の会議

【ASA】
1. ASA 裁定

【BfR】
1. 集計:コロナウイルスパンデミックの文脈での動物実験
2. ナノ農薬のヒト健康リスク評価のための包括的枠組み
3. タトゥーインク:最小要件と試験法

【ANSES】
1. 汚染ピーク:人々をより良く守るために情報と警告閾値を更新
2. 食品中ナノ物質のための特定健康リスク評価ガイド

【FSAI】
1.11月18日イベント: 食品安全文化-食品事業者と消費者がどう恩恵をうけるか
2. FSAI はハロウィーンを前に、大麻を含むゼリー菓子の危険性への警戒を呼びかけ
3. リコール情報

【FDA】
1. FDA は染髪料への酢酸鉛使用の色素添加物認可を取り消す
2. FDA は減塩の最終ガイダンスを発表
3. FDA と Stop Foodborne Illness が食品安全文化に関するウェビナーを共同開催
4.2019会計年度残留農薬モニタリング報告書とデータ
5. 連邦判事はユタ州拠点のダイエタリーサプリメント製造業者との同意判決を承認
6. 業界向けガイダンス:食品接触物質通知の作成
7. 警告文書
8. リコール情報

【EPA】
1. EPA はエチレンオキシドの有害物質排出目録(TRI)報告要求を拡大するための次のステップを踏む
2. EPA Regan 長官は PFAS 汚染に立ち向かうための包括的国家戦略を発表
3. EPA は PFAS 全国一次飲料水規制案に意見募集

【USDA】
1. 米国のミツバチコロニーの数は増えコロニーあたりのハチミツの収量は低下
2. AMS 農薬データ計画が30周年を祝う

【FTC】
1. FTC は数百の企業に向けて偽りのレビューやその他の誤解をまねく推薦について通知

【CFIA】
1. 国家残留化学物質モニタリング計画と食品化学安全性監視計画年次報告書2017-2018
2. 乳児用シリアルの表示されていない大豆とグルテン-2018年4月1日から2019年3月31日

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【APVMA】
1. モリネートに提案された規制上の決定
2. 農業表示基準レビュー
3. 農業製品と有効成分の製造認可

【香港政府ニュース】
1. 培養肉
2. 食品の有害物質(修正)規則2021
3. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処、「正しいラインキャンペーン」開始……健全なオンライン消費文化拡散
3. 食薬処、輸入畜産物安全管理強化措置の行政予告
4. 第8回コーデックス薬剤耐性に関する特別部会を開催
5.「ダンキンドーナツ」4つの製造業者の点検結果
6. 大豆油混合偽オキアミ油を判別できるように基準改善
7. 食薬処、食品などオンライン主要取引の点検結果
8. 食薬処、「農産物直売場」流通農産物の回収・検査結果を発表

【SFA】
1. ボンクレキン酸:トウモロコシとココナッツの発酵製品の安全性
2. イノベーションと安全性の両立: 新規食品

【HSA】
1. HSA 警告
2. リコール情報

【FSSAI】
1. ブラックソルトの製造と販売における違法行為/異物混入をチェックする法の執行に関する10月13日付文書
2. ホチキス止めしたティーバッグの製造と販売のスケジュール延期に関する2021年10月22日の命令

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から8件
・ProMED-mail2件