英もゲノム編集の研究を容易に

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。イギリス政府は遺伝子組換えの規制上の定義を見直し、ゲノム編集などの研究開発を容易にする。米国下院小委員会は市販のベビーフードから高濃度の重金属が検出されているとして、FDAと業界に向けてそれぞれ勧告を行った。9月29日の第2回国際食品ロス・廃棄啓発デーにあたり、FAOは6つのメッセージを発表した。

注目記事

【DEFRA】ゲノム編集のパワーを開放する計画発表

 EUからの離脱により、英国は食品についても独自のルールを設定できるようになった。その第一歩として、政府はゲノム編集など遺伝子の変化が自然によるまたは従来の品種改良によるものと同等なものを対象に遺伝子組換えの規制上の定義を見直し、関連の研究開発を容易にすると発表した。

※ポイント:食品分野における「遺伝子組換え」の定義からゲノム編集を除外する取組が各国で進んでいます。今回の英国政府の決定は、定義の変更と、ゲノム編集作物の野外試験の事前手続きの緩和についてのみで、販売に関する認可要件とゲノム編集家畜に関する見直しは今後の課題だそうです。オーストラリアでも同様の遺伝子組換えの定義の見直しが行われ、現在、意見募集が行われています。

【HCOR】新たな開示はさらに多くのベビーフードに危険な量の有害重金属が含まれることを示す

(米国下院監視・政府改革委員会の経済および消費者政策に関する小委員会スタッフ報告書)

 前回のスタッフ報告書ではベビーフードを販売する3社が自社製品中の有害重金属(無機ヒ素、鉛、カドミウム、水銀)に関する社内文書や検査結果の提供を拒否していたが、その後、協力が得られたので報告を更新する。また、アラスカ州当局が2021年3月末から4月末にかけてアンカレッジ近郊で購入し検査を行った2社(訳注:前回の報告書で情報提供に協力した企業)の製品の結果についても報告する。

 小委員会は、今回の調査結果でも市販のベビーフードから高濃度の重金属が検出されているとして、FDAに向けて、ベビーフードに含まれる有害重金属の最大基準値の策定作業の迅速化と最終製品検査の義務化を勧告し、業界に向けては、最終製品の自主検査の実施と有害重金属を高濃度に含む可能性のある原料(コメなど)の使用の段階的廃止を勧告した。

※ポイント:米国下院の小委員会が、ベビーフードの大規模製造業者7社からの提出資料をもとに、乳幼児に有害となる量の重金属を含むベビーフードが米国内で販売されていることを指摘する報告書を2021年2月に発表しました。そのことが米国内でメディアを含め大騒動となり、米国食品医薬品局(FDA)が、ベビーフード中の対象の重金属4種について段階的にアクションレベルを設定していくとの行動計画を4月に発表しています。今回の報告書のさらなる指摘と勧告を受けて、FDAによる対応への要求がより強くなるかもしれません。とくに無機ヒ素の含有が懸念されています。

【FAO/EU】国際食品ロス・廃棄啓発デー

 第2回国際食品ロス・廃棄啓発デー(9月29日)にあたり、国連食糧農業機関(FAO)が、重大な6つのメッセージを発表した。国際食品ロス・廃棄啓発デーは、公的機関(国や地方自治体)と民間部門(企業や個人)の双方に対し、食品ロスと廃棄を削減してよりよい、回復力のあるフードシステムを復元し再構築するために、優先順位をつけて行動し、革新を推し進めるよう呼びかける機会である。EUでは、この記念日に合わせて、欧州連合(EU)食品ロス・廃棄防止ハブを開設した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.21(2021.10.13)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202121c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. 国際食品ロス・廃棄啓発デー
2. FAO は加盟国に戦略枠組み2022-31履行について更新
3. 第1回世界食料フォーラムがローマの FAO から世界的バーチャルイベントとして開幕
4. Codex

【EC】
1. EU の食品ロスと廃棄についてのプラットフォーム
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. ウェビナー:新規食品申請
2. 農薬関連

【FSA】
1. 監査局の報告書の助言への FSA の対応:食品安全と基準の確保
2. 食品安全メッセージのコミュニケーションを探る FSA の消費者調査
3. FSA 消費者区分け
4. FSA は政府のゲノム編集計画に反応
5. 新アレルゲン表示法が施行され、数百万人の食物アレルギー患者が恩恵を受ける

【FSS】
1. 取り組み協力

【DEFRA】
1. ゲノム編集のパワーを開放する計画発表
2. Defra は養蜂家と一緒に健康的なミツバチ計画2030を実施し、ミツバチを強化

【COT】
1. 食品と飲料包装用の通常のプラスチックの代用品についてのポジションペーパー

【ASA】
1. ASA 裁定

【BfR】
1. 工業化合物 PFBA は肺と腎臓に過剰に蓄積しない

【ANSES】
1. ビタミン D:乳児に過剰投与しないよう医薬品を選ぶこと

【FSAI】
1. 組成変更の監視のために朝食用シリアルの栄養成分表示を利用できるか評価した報告書を発表
2. リコール情報

【HCOR】
1. 新たな開示はさらに多くのベビーフードに危険な量の有害重金属が含まれることを示す

【FDA】
1. 不正なコロナウイルスの検査、ワクチン及び治療薬に注意すること
2. レギュラトリーサイエンス研究に関するグローバルサミットでの Woodcock コミッショナー代理の発言
3. FDA はカリフォルニア州、フロリダ州、ユタ州、ウィスコンシン州との国内相互信頼協定の締結を発表する
4. 電子商取引に関するよりスマートな食品安全新時代サミット:オンラインで注文し消費者に直接届けられる食品の安全を確保するために
5. FDA は「よりゼロに近づける」行動計画の最初の公聴会を発表
6. 警告文書
7. リコール情報

【USDA】
1. リコール情報

【NIH】
1. In the News: COVID-19と「代替」治療法
2. NIH ODS の2021–2022セミナー

【CFIA】
1. 食用昆虫:虫をかじる前に知っておきたいこと

【FSANZ】
1. 食品基準ニュース
2. 食品基準通知

【NSW】
1. リコール情報

【NZMH】
1. ニュージーランドの乳幼児のための健康的食生活ガイドライン

【香港政府ニュース】
1. プレスリリース
2. 違反情報

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 「海外直輸入食品オール(ALL)すぐに」サイトをご存じですか?
3. 「食品添加物と容器・包装を正しく知るコンテンツ公募展」の結果発表
4. 健康機能食品と一般食品のコラボ製品の発売間近!
5. ベンゾピレンが超過検出されたエゴマ油の回収措置
6. 食用に使用できない朝鮮人参の花や蘆頭を使用した紅参製品製造業者を摘発
7. 海外製造業所など「非対面調査運営マニュアル」用意
8. 「トノサマバッタ(バッタ科)」10番目の食用昆虫として認定
9. 秋夕名節用贈り物の紅参についてお知らせします!
10. 「あまり甘くなく・あまり塩辛くなく」実践映像コンテンツ公募の結果発表
11. 食薬処、危害の懸念がある海外食品の輸入阻止を強化
12. 海外直輸入食品、有害成分を必ず確認してください
13. 食品に使用できない医薬品成分が検出された健康機能食品などを輸入・製造・販売した12業者を摘発・措置
14. ナトリウム・糖類低減製品活性化のための表示基準改編

【SFA】
1. リコール情報

【FSSAI】
1. あなたの食品は衛生格付けされた飲食店から?

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から9件
・ProMED-mail1件