食品の仕事が洪水にあったら

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.24(2019.11.27)を発表した。

注目記事

【FSAI】食品事業に洪水があったとき

食品事業者の施設に入った洪水の水は、下水、動物、下水管や周辺地域の他のゴミで汚染されている恐れがある。そのため、食品や設備は有害な細菌や化学物質による汚染のリスクがある。アイルランド食品安全局(FSAI)が、食品事業者が洪水にあった場合に食品安全の面でどうすべきなのかをQ&Aで説明する。

※ポイント:日本国内でも、たて続けに発生した大型台風によって多くの地域で農産物が洪水の被害にあいました。その際に被災地域の農産物をきれいに洗えば販売してよいのかが問題にされていました。そのような状況についてFSAIは、安全性を確保するために、洪水の水で覆われた農作物、とくに生で食する野菜や果物は処分するようにと指示しています。その他、被害にあった冷蔵/冷凍庫や調理施設への対処法などもまとめているので、事業者にとっても、一般の方にとっても参考になると思います。

※編集部註:Flooding of a Food Business (Food Safety Authority of Ireland)
https://www.fsai.ie/faq/flooding.html

【CFIA】新しいオンラインリソースにより科学の話を生き生きと

カナダ食品検査庁(CFIA)は本日すべてのカナダ市民が利用できるオンラインリソースを開始した。Chronicle 360(クロニクル360)は、カナダの若者、市民、産業界および学界が興味ありそうな科学の内容を特集する。クロニクル360はすべての角度からのCFIAの話を特集するオンラインのマルチメディアハブである。記事、映像、ビデオブログおよびポッドキャストでは専門家、科学者および検査官からのユニークで革新的な見解を提供する。

※ポイント:クロニクル360の専用サイトでは、食品安全だけでなく、動物衛生、植物衛生、科学と革新など、さまざまな分野について特集が組まれています。一般向けでもあるので、専門的なことや規制のことも比較的わかりやすく書いてあります。このような取り組みもリスクコミュニケーションの一つの方法でしょう。

※編集部註:Chronicle 360 (Canadian Food Inspection Agency)
https://inspection.gc.ca/about-the-cfia/chronicle-360/eng/1528770452012/1528770503117

【Ruokavirasto】食料生産動物への抗菌剤使用は減っているが、抗菌剤耐性をコントロールするには追加の投資が必要

フィンランド食品局(Ruokavirasto)、医薬品局およびヘルシンキ大学の共同報告書FINRES-Vet2018が公表された。報告書によると、ここ数年のフィンランドにおける食料生産動物に使用される抗菌剤の販売は減少している。動物のみ、あるいはヒトと動物両方の病原菌における抗菌剤耐性の状況は比較的よいままであるが、その一方で耐性が増しているという観察結果もある。フィンランドでの食料生産動物における抗菌剤の使用は常に適度なレベルであり、動物とヒトとの間で移行し得る細菌の耐性レベルは比較的低い。将来的に耐性の状況をよいまま保持するには継続的な措置が必要である。

※ポイント:2019年11月18〜22日が世界抗菌剤耐性啓発週間だったことから、各国で関連の報告書やイベントの報告が出ています。コーデックスでも12月初めに抗菌剤耐性に関する特別部会が開催され、食品に由来する抗菌剤耐性の管理に関する議題が討議される予定になっています。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.24(2019.11.27)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201924c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. 農薬:統一されたリスク指標はEUにおける植物保護製品使用に関連するリスクに励みになる傾向を示す
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. ミツバチの健康についての会議:研究はリスク評価にどのように貢献できるか
2.2017年のビスフェノールA(BPA)ハザード評価プロトコールによる研究評価方法のテスト
3. 危機の際の危機管理とコミュニケーションのための地域ネットワークを強化するEFSA/BfR2019合同シミュレーション演習/ワークショップ(ベルリン、2019年8月28‐30日)
4. 飼料及び食品、特にハウチワマメとハウチワマメ由来製品中のキノリジジンアルカロイドの存在に関連した動物とヒトの健康へのリスクについての科学的意見
5. スロベニアの食品摂取量調査
6. EFSA のFoodEx2解釈及びチェックツールユーザーガイド
7. 動物の食事暴露:EFSAで現在使用されているアプローチの概要
8. 欧州抗生物質啓発の日2019年
9. ミネラルオイル芳香族炭化水素類(MOAH)による乳児用粉ミルクとフォローアップミルクの汚染により公衆衛生に起こりうるリスクについての迅速リスク評価
10. 新規食品関連
11. 香料グループ評価
12. 健康強調表示関連
13. 食品酵素関連
14. 遺伝子組換え関連
15. 飼料添加物関連

【BfR】
1. 工業用化合物PFOSと PFOAの新しい健康影響に基づくガイダンス値

【FSAI】
1. 食品安全諮問委員会公開会合:食品とプラスチック-味の問題?
2. 再利用できる容器やカップ
3. 食品事業に洪水があったとき

【Ruokavirasto】
1. 食料生産動物への抗菌剤使用は減っているが、抗菌剤耐性をコントロールするには追加の投資が必要

【FDA】
1. 栄養評議会11/7/2019でのLowell Schiller, JDの発言
2. キハダマグロ(アヒ)に関連したスコンブロイド魚中毒の調査、2019年秋
3. FDAは植物製品安全性コンソーシアム(BSC)の開催を発表
4. FDAは2019自主的な全国小売食品規制計画基準を発行
5. FDAはよりスマートな食品安全新時代についての意見募集期間を延長
6. 公示
7. リコール情報

【NIH】
1. ODS はオンラインセミナーを行う

【CFIA】
1. 新しいオンラインリソースにより科学の話を生き生きと
2. 生鮮果実や野菜部門における事業者向けの新要件

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【APVMA】
1. APVMAはネオニコチノイド類の農薬レビューを発表する

【TGA】
1. 安全性警告

【香港政府ニュース】
1. 汚染物質と食品安全に関して市民への助言
2. 植物ベースの肉と培養肉-新たな食品の流行
3.日本の消費者庁より‐異物混入(金属片)の恐れがあるとして、「仙貝(18枚三幸のサラダせん(米菓))」の菓子を回収措置通知
4. 漬物のサンプルから基準値超過の保存料が検出された
5. 食品安全センターは包装ソウギョのサンプルに微量のマラカイトグリーンを検出する

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品医薬品安全処、インテリジェント輸入食品安全管理の議論の場用意
3. 健康機能食品の新しい機能性、事前に協議してください!
4. 食品衛生法故意・繰り返し違反業者19社摘発
5. 子供の好む食品の栄養成分などの表示事項指導・点検

【FSSAI】
1. 全国ミルク安全性と品質調査
2. メディアコーナー

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)電子タバコ関連疾患-欧州:(ベルギー)致死
・(EurekAlert)ヒトの母乳に光開始剤が検出された