米国産ロメインでのO157

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.26(2018.12.19)を発表した。

注目記事

【米国/カナダ】ロメインレタス関連のO157

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局、カナダ当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、カリフォルニア州北部・中部のCentral Coastal栽培地域由来のロメインレタスに関連して複数州にわたり発生している志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O157:H7感染アウトブレイクを調査している。

 患者の発症日は2018年10月5日~11月16日。情報が得られた患者50人のうち23人(46%)が入院し、このうち2人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した。死亡者は報告されていない。

 FDAは、CDCおよび複数州の当局と共に、追跡調査で特定されたカリフォルニア州の農場および冷却施設を調査している。追跡調査により農場8カ所が特定され、CDCは、そのうちの1カ所であるAdam Bros. Farming社の農場(カリフォルニア州Santa Barbara郡)の水検体および堆積物検体の検査を行った。この農場にある農業用水の水源の堆積物検体から大腸菌O157:H7アウトブレイク株が検出された。FDAは、大腸菌の当該株が農業用水の水源に混入した経緯、および当該農場のロメインレタスの汚染経路について調査を継続している。

 Adam Bros. Farming社の農場で収穫されたロメインレタスはもはや市場に流通していない。

 FDAの追跡調査によると、他の農場から出荷されたロメインレタスも本アウトブレイクに関連していると考えられる。FDAは調査を継続している。

 2018年11月27日現在、カナダ食品検査庁(CFIA)は、当該製品がカナダ市場に流通しないように、また、米国の上記栽培地域由来のロメインレタスがカナダに輸入されないように、新しい措置を講じている。CFIAは、流通業者・輸入業者・レストラン・小売業者・公共施設に対し、2018年の栽培期に当該栽培地域で収穫されたロメインレタスおよびこれを含む製品の配送・輸入・販売・提供・使用を行わないよう注意喚起を行った。

 カナダ市場ではこのような措置が講じられているが、カナダ公衆衛生局(PHAC: Public Health Agency of Canada)は、オンタリオ、ケベックおよびニューブランズウィック各州の消費者に対し、購入するロメインレタスがUS FDAのWebサイトに掲載されている当該栽培地域由来ではないことが確認されない限り、ロメインレタスおよびロメインレタス入りサラダミックスの喫食を避けるよう引き続き注意喚起している。

 小売業者および関連業界は、本アウトブレイクに関連のない栽培地域からのロメインレタスをカナダ市場に流通させ、カナダ市場に流通するロメインレタスの栽培地域を消費者が容易に確認できるよう協力している。

【米国】ゴマペースト製品関連のサルモネラ

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、Achdut社(イスラエルAri’el)が製造したタヒニ(ゴマペースト製品)に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Concord)感染アウトブレイクを調査している。

 患者の発症日は2018年6月16日~10月18日である。情報が得られた患者5人については、入院も死亡も報告されていない。

 疫学調査および検査機関での検査により得られたエビデンスは、Achdut社製のタヒニ製品が本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示している。患者5人に聞き取りが行われ、全員がタヒニまたはタヒニ入りのフムス(ヒヨコマメのペースト)の喫食を報告した。このうち3人は、ハワイ州およびニューヨーク州でタヒニまたはタヒニ入りフムスを喫食していた。残りの2人は国外渡航中にタヒニまたはタヒニ入りフムスを喫食していた。

 FDAは、米国への輸入時に採取されたタヒニ検体からS. Concordを検出した。当該タヒニはAchdut社が製造したBaron’sブランドの製品であった。2018年11月27日、Achdut社は、サルモネラ汚染の可能性があるとしてタヒニ製品の回収を開始した。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.26(2018.12.19)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201826m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. Achdut社製のタヒニに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Concord)感染アウトブレイク(初発情報)
2. ロメインレタスの喫食に関連して発生している志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O157:H7感染アウトブレイク(2018年12月13日、6日付更新情報)
3. 牛ひき肉に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ感染アウトブレイク(2018年12月12日付更新情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:ロメインレタスに関連して発生している大腸菌感染アウトブレイク(2018年12月13日、6日付更新情報)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 家禽生肉および生卵を介した低病原性鳥インフルエンザウイルスの伝播についての定性的評価

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 市販丸鶏のカンピロバクター汚染レベルに変化は見られず:主要小売業者が英国産生鮮丸鶏のカンピロバクター汚染検査(2018年7~9月)の結果を公表

【ProMed mail】
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