どうする複合暴露のリスク評価

食品安全情報(化学物質)No.07(2019.04.03)

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.07(2019.04.03)を発表した。

注目記事

【EFSA】EFSAは複数の化学物質のための混合物方法論を作成

 欧州食品安全機関(EFSA)は、食品と飼料に存在する化学物質混合物により起こりうる「複合影響」(combined effects)の評価において、科学パネルを縦断して使用できる統一した枠組みを示すガイダンス文書を作成した。ケーススタディとして食品中の肝毒性汚染物質への複合暴露のヒト健康リスク評価、肥育用鶏用の飼料添加物として使用されるエッセンシャルオイル中の植物混合物の動物リスク評価、なども添付されている。

※ポイント:EFSAでは、重要課題の一つとして、化学物質の複合暴露のリスク評価にはどのようなアプローチがよいのかずっと検討してきました。これまでは農薬や汚染物質、香料などと、分野別にアプローチが考えられていましたが、今回はパネル横断的にハーモナイズされた評価をできるようにしている点が一つのポイントでしょう。

【EFSA】EUの化学物質混合物の認知度、理解、リスク認識についての知見

 食品中の化学物質の複合暴露に関する消費者の理解や見解はこれまで議論されていない。これはEFSAと加盟国機関にとってコミュニケーションの重要な課題となっていることから、消費者の見解と認識についての調査が実施された。

 消費者は、人工の化学物質はよくわかっているが、天然に生じる化学物質についてはそうでもないことが示された。消費者は化学物質混合物やリスク評価プロセスについてもあまり理解していない。食品中の化学物質の複合影響への懸念のレベルは高い。リスク認識は、化学物質は人工的で、そのため他の天然と思われる物質や製品よりもヒトの健康に高いリスクを引き起こす、という一般認識に影響を受けていることが結果から示唆された。

 消費者の認識に影響を与える表現の選択方法には国により差があり、相手に合わせたコミュニケーションの参考になる。

【FDA】2020年以降に向けてFDA食品安全計画を強化するための新たな措置に関するFDA長官Scott Gottlieb氏と副長官Frank Yiannas氏の声明

 米国は、技術革新と食品安全近代化法(FSMA)により、これまで以上に公衆衛生を強化し食品を革新させる時機にある。そのため米国食品医薬品局(FDA)は2020年予算において、食品安全システムについて多面的に予算案を提示している。予算の増額や増員を提案しているのは、食品の微生物汚染検知への全ゲノムシークエンシング(WGS)の利用、新興追跡技術としてのブロックチェーン技術の利用、輸入食品に関する外国供給業者検証プログラムの履行と輸入警告プログラムの検証、ゲノム編集動物・植物や培養技術を用いた革新的食品の開発と安全性確保に関連する取り組みなどである。

※ポイント:FDAの食品部門の2020年予算に関する長官と副長官の声明です。声明では、「革新」(innovation)がキーワードになっている印象を受けます。とくに、食品汚染の検知や追跡に革新的な方法を利用できるようにすることと、ゲノム編集食品や培養肉などと呼ばれている革新的食品の開発を支援しつつ公衆衛生保護の任務を遂行できるようにすることを目的にした追加予算と増員が提案されています。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.07(2019.04.03)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201907c.pdf

今号の目次

【FAO】
1. コーデックス食品添加物部会開催

【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. グループ化とリードアクロス法促進のための農薬の遺伝毒性予測や遺伝毒性に関する相似解析への既存の(Q)SARモデルの適応性の評価
2. EFSAは複数の化学物質のための混合物方法論を作成する
3. EUの化学物質混合物の認知度、理解、リスク認識についての知見
4. 飼料添加物関連
5. 遺伝子組換え関連

【COC】
1. COC 2019年3月28日の会議の議題

【NHS】
1. Behind the Headlines

【BfR】
1. 植物保護製品の認可:予防が最前線

【RIVM】
1. Helmond の家庭菜園作物のGenX とPFOAのリスク評価

【EVIRA】
1. 養豚農家の行動が豚生産チェーンの抗生物質耐性に影響する

【FDA】
1. 中部及び南部平原の洪水地域の食品生産者向けリソース
2. FDAの第三者計画で認可された認証団体
3. FDAは食物繊維の市民請願を承諾
4. FDAはある品目に対する農産物安全性規則の執行の自由裁量方針を発表
5. FDAはダイエタリーサプリメントの責任ある革新について議論する公聴会を開催する
6. 2020年以降に向けてFDA食品安全計画を強化するための新たな措置に関するFDA長官Scott Gottlieb氏と副長官Frank Yiannas氏の声明
7. リコール情報
8. 警告文書

【USDA】
1. 豚肉は基本的に残留動物用医薬品を含まない

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. 弱い消費者を利用する広告をいかにとめるか

【NSW】
1. リコール:Chobani Flip Almond Coco Loco 140g

【MPI】
1. Pams、Fresh Harvest及びSproutman ブランドのスプラウト製品

【香港政府ニュース】
1. フォークランド諸島から輸入された冷凍toothfishに基準値超過の水銀を検出
2. マグロのサシミの3サンプルから基準値超過の水銀を検出
3. 生の牛肉サンプルが二酸化硫黄を含むことがわかった
4. 違反情報

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 貝類毒素発生及び検査の現状
3. 幻覚物質である亜酸化窒素の誤用防止のために関係省庁と共に総力対応
4. 生活の中の微細粉塵の対処法
5. 食品医薬品安全処、第3期食医薬ソーシャルコミュニケーター113名に委嘱
6. 健康機能食品のビタミン・ミネラル9種の再評価実施
7. 牛乳及び水産物の残留物質検査結果の発表
8. 市販流通加工食品、着色料使用安全なレベル
9. 残留農薬の基準を超える輸入ニンニクの芽の回収措置

【FSSAI】
1. ガイダンスノート:豆とベサン(ひよこ豆粉)の安全性確保
2. メディアコーナー

【その他】
・(ProMED-mail)抗生物質耐性-米国:柑橘の木にストレプトマイシン散布、EPA
・(ProMED-mail)ゼアラレノン インド:(ウッタラプラデシ)穀物
・(ProMED-mail)原因不明の中毒 マレーシア:(ジョホール)
・(ProMED-mail)ボツリヌス症 カナダ(第2報):煎れたコーヒー、リスク、リコール
・(ProMED-mail)テトロドトキシン中毒、フグ、フィリピン:(セブ)
・(EurekAlert)紅麹サプリメントは肝障害の「原因になる可能性がある」、医師が警告
・(EurekAlert)合法化後、コロラドの病院は大麻関連救急訪問が3倍に増えた
・(EurekAlert)少量の赤肉と加工肉を食べることが死亡リスク増やすかもしれない
・(EurekAlert)研究者らは農作物安全性規則の複雑な農業用水要件をわかりやすく説明しようとする
・(EurekAlert)消費者は栄養と健康強調表示を規制者と異なる見方で見ている