コメは無機ヒ素を高濃度含む

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.13(2015.06.24)を発表した。

注目記事

【BfR】コメとコメ製品には高濃度の無機ヒ素

ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR:Bundesinstitut fur Risikobewertung)はコメ製品のヒ素量を最小化するための方法を探ることを薦めている。

連邦監視当局の分析で、コメとコメ製品には比較的高濃度の無機ヒ素が含まれることがわかった。この分析で、餅のような一部のコメ製品はコメ穀物よりも無機ヒ素量が多いことが確認された。BfRの長官は、「一部のコメ製品がコメ穀物よりも高濃度になる理由は明確にしなければならない。なぜなら、無機ヒ素はヒトに対して発がん性があると分類されている化合物で、食品に含まれる量は実行可能な限り少なくすべきだからである」と述べた。

BfRはドイツ人におけるコメとコメ製品からの、特に有害な無機ヒ素化合物の摂取量を計算した。これらの計算によると、食習慣により、これらの食品は、特に子どもで、EFSAにより設定された無機ヒ素の総摂取量に相当な寄与となる可能性がある。

ヒ素は地殻に天然に存在し自然やヒトの活動により放出され土壌や地下水や地表水に入り植物に吸収される。その独特の栽培方法と性質から、コメとコメ製品には他の穀物より高濃度の無機ヒ素を含む。従って、食習慣により、コメは無機ヒ素の総摂取量に相当な寄与をする。

無機ヒ素の発がん性についてはリスクの増加と関連しない安全な摂取量は設定できないので、食品中の無機ヒ素化合物の量はできうる限り最小にすべき(ALARA)と考える。

【EFSA】食品中のアクリルアミドにがんリスク高める可能性

欧州食品安全機関(EFSA:European Food Safety Authority)は包括的レビューを行い、食品中のアクリルアミドに関する科学的意見を発表した。EFSAのフードチェーンにおける汚染物質に関するパネル(CONTAM)の専門家は、食品中のアクリルアミドがすべての年齢集団の消費者のがんになるリスクを増す可能性があるとする以前の評価を再確認した。

動物実験の証拠は、アクリルアミドとその代謝物質グリシドアミドは遺伝毒性発がん性があることを示しているが、ヒトでの実験の証拠では、アクリルアミドの食事暴露ががんの原因となるという根拠は現在のところ限られており、結論は出ていない。

アクリルアミドは広範囲の毎日の食事に存在しているので、この健康懸念はすべての消費者に適用されるが、子供は体重あたりで最も暴露している年齢集団である。アクリルアミド暴露に寄与する最も重要な食品グループは、フライドポテト製品、コーヒー、ビスケット、クラッカー、クリスプブレッドおよびソフトブレッドである。

アクリルアミドは通常の高温調理(揚げる、焼く、オーブンで焼く、生産加工や+120℃で低水分)中にでんぷん質の食品に自然に形成される化学物質である(メイラード反応)。摂取後、アクリルアミドは消化管から吸収され、すべての組織に分布し、広く代謝される。

EFSAの科学的助言は、食品中のアクリルアミドの消費者暴露をさらに減らすために可能な方法を検討するEUと国家意思決定機関に情報を提供する。たとえば、食習慣と家庭での調理、市販食品に関する管理についての助言を含む。

【EC】欧州委員会の食品および飼料に関する緊急警告システムの情報

欧州委員会(EC:Food Safety: from the Farm to the Fork)の食品および飼料に関する緊急警告システム(RASFF)の情報。

●注意喚起情報

中国産冷凍メカジキの水銀、インドネシア産冷凍メカジキの水銀、エジプト産ブドウのエテホン、スペイン産チルドメカジキの水銀、クロアチア産チルドローズシュリンプの亜硫酸、モロッコ産チルド赤鯛の水銀、中国産原料リトアニア産ポーランド経由未精製麻の実油のベンゾ(a)ピレンおよび多環芳香族炭化水素、ウクライナ産原料リトアニア製造コールドプレス亜麻仁油のベンゾ(a)ピレンおよび多環芳香族炭化水素、ポーランド産カリフラワーのクロルピリホス、エクアドル産チルドマグロフィレの水銀、パキスタン産パンマサラの未承認色素ローダミンB、など。

●通関拒否通知

中国産マシュマロの色素タートラジン・アゾルビン・アルラレッドAC・ブリリアントブルーFCF、ボスニアヘルツェゴビナ産ポップコーンのデオキシニバレノール、トルコ産生鮮ペッパーのフェナミホス、ナイジェリア産乾燥豆のクロルピリホス、ジメトエート、プロフェノホス、ジクロルボス、米国産食品サプリメントの未承認新規食品成分羅漢果、セルビア産ポップコーンのデオキシニバレノール、中国産赤米抽出物の未承認照射、ドミニカ共和国産唐辛子のクロチアニジン、ドラゴンフルーツのカルベンダジム、ケニア産生鮮サヤエンドウのマンジプロパミド、ブラジル産パパイヤのクロルフェナピル、ナイジェリア産乾燥豆のジクロルボス、中国産紅茶のアントラキノン、中国産茶のアセタミプリドおよびジメトエート、ブラジル産マンゴーのオメトエート、トルコ産スイートペッパーのフェナミホス、など。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.13(2015.06.24)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2015/foodinfo201513c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 新しいダイオキシンリスク評価を計画中、とEFSAは述べる
2. 証拠の選択と使用:EFSAは厳格性と一貫性を高める
3. 食品中のアクリルアミドは公衆衛生の懸念
4. カフェインの安全性についてのFAQ

【HSE】
1. PRiF:学校果物野菜計画

【BfR】
1. コメとコメ製品には高濃度の無機ヒ素が含まれる
2. グリホサートはがんを誘発するか?専門家グループがWHO内部での評価の違いに対応する

【RIVM】
1. オランダ人のカドミウム暴露

【FDA】
1. FDAは加工食品の人工トランス脂肪を排除する対策をとる
2. リコール情報
3. 警告文書

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 異葉牛皮消混入が確認された偽の白首烏(ペクスオ)製品の全量回収
3. 釈明資料(世界日報「異葉牛皮消毒性試験、安全性の確認ではない」の記事に関連して)
4. 「梅酒」安全に作ってください

【HSA】
1. HSAは高濃度水銀が検出されたオンラインで販売されていた二つの化粧品について警告

【その他】
・(ProMED-mail)ドーモイ酸、軟体動物、魚 米国:(CA)警告
・(ProMED-mail)アルコール中毒 インド