食事からのダイオキシン暴露

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.23(2014.11.12)を発表した。

注目記事

【EFSA】管理者・作業者・居住者・近傍者のための農薬暴露評価に関するガイダンスのFAQ

 欧州食品安全機関(EFSA)は、2014年4月に「農薬リスク評価における管理者・作業者・居住者・近傍者のための農薬暴露評価に関するガイダンス案」を公表した。このガイダンスは、対象となるヒトでの食事以外からの農薬暴露を計算するための統一した方法論とツールに関するものである。10月には、フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)と共同でさまざまな国の科学者が集う共同会議を開催するとともに、このQ&Aを公表した。

※ポイント:これまで農薬暴露については食事による経口摂取を対象にリスクを評価してきましたが、他の経路による暴露も考慮して統一された方法で総合的に評価しようという新しい取り組みです。農薬が適正農業規範(GAP)に従って使用された状況を想定しています。ガイダンスではどこにデータギャップがあるかも指摘し、今後どのようなデータが必要なのかも示しています。

【RIVM】オランダにおけるダイオキシンへの食事暴露

 オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)が、食事由来のダイオキシン暴露に関する報告書を公表した。結論では、現在のオランダのダイオキシンの食事からの暴露はもはや公衆衛生上のリスクとはならない、主な摂取源は乳、肉(とくに牛肉)、植物油や脂肪であるとしている。2~69歳を対象にし、摂取量の推定結果は50パーセンタイル値が0.5~1.0 pg TEQ/kg bw/dayであった。

※ポイント:先日、日本人のダイオキシン類一日摂取量調査の結果も報告されました。それによると、日本の国民平均一日摂取量は0.58(範囲:0.18~0.97)pg TEQ/kg bw/dayと推定され、結果はオランダの調査と同程度となっています。ただし、暴露への寄与率が高い食品が日本は魚介類であることがオランダと違う点です。国によって食事事情は大きく異なります。これは海外での評価結果を参考にする場合に注意すべきことで、日本ではハザードをどの食品からどの程度を摂取しているかを検討しなければ、リスクを正しく評価することは出来ません。

※参考:

平成25年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062434.html

【NIH】専門家向けファクトシート 減量用ダイエタリーサプリメント

 米国国立衛生研究所(NIH)のダイエタリーサプリメント局が、減量用ダイエタリーサプリメントによく使われている成分の安全性と有効性に関してまとめたファクトシートを提供している。

※ポイント:すべて引用文献が付けられ、コンパクトにわかりやすくまとめられていて参考になります。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.23(2014.11.12)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201423c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO紀要

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:アルゼンチン、スウェーデン、スロバキア
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 管理者・作業者・居住者・近傍者のための農薬暴露評価に関するガイダンスのFAQ
2. EFSAは遺伝子組換え申請更新のガイダンス案に関するパブリックコメント募集を開始
3. 加盟国とのより強力な提携の構築
4. プラスチック以外の食品と接触する物質

【FSA】
1. 「含まれるかもしれない」表示についての調査
2. MorrisonsとSupervalu from BudgensのWhole British Milkをリコール

【NHS】
1. Behind the headlines:ミルクは骨折と早期死亡に関連するかもしれない

【BfR】
1. 紙ナプキンと食品包装用の印刷インクの一級芳香族アミンに関するFAQ
2. レギュラトリートキシコロジーにおけるオミクス法:専門家が採用可能性について議論

【RIVM】
1. オランダにおけるダイオキシンへの食事暴露

【ANSES】
1. 農薬散布機の個人用防護具:ANSESの知見と助言

【FSAI】
1. 保険大臣が新しい法によりルース食品に14のアレルゲンが表示されると発表
2. 食品会議は食品依存の根拠を吟味する

【FDA】
1. FDAはレッドブック更新についての公聴会を開催
2. FDA CFSANからPaul Stoller医師への市民請願拒否文書
3. リコール情報
4. 公示
5. 警告文書

【NTP】
1. NIEHSプレスリリース:多様非近交系マウスが化学物質暴露によるヒト反応の可能性をより良く予想する

【EPA】
1. EPAとUSDAは授粉媒介者戦略について公聴会を開催する/ 11月12、17日D.C. 市庁地域で

【USDA】
1. USDAはアクリルアミドができる量が少なく黒変が少ない遺伝子組換えジャガイモ品種の規制解除決定を発表
2. USDAはリグニン含量の少ない遺伝子組換えアルファルファ品種の規制解除決定を発表

【NIH】
1. 専門家向けファクトシート 減量用ダイエタリーサプリメント

【FTC】
1. FTCはGerberをGood Start Gentle乳児用ミルクが乳児をアレルギー発症から守ると虚偽の宣伝をしたことで訴える

【FSANZ】
1. 食品基準改定 No.150
2. 食品基準通知

【TGA】
1. 食品と医薬品の境界ガイドラインツール

【MPI】
1. ブラックマーケットの牡蠣はリスクが高い

【香港政府ニュース】
1. 痩身用製品警告を発表
2. 99.8%の検体が食品安全性検査に合格
3. 野菜から基準値を超える農薬を検出
4. 牛肉から二酸化硫黄が発見された
5. 地溝油関連記事

【HSA】
1. HSAは禁止薬物シブトラミンなど強力な非表示成分を含む2つの違法製品について警告

【その他】
・(EurekAlert)CVD予防のために政府は健康的な食環境を作ることを先導すべき