ムシモール入りグミで中毒事例

No.17(2025.08.20)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。EFSAの科学委員会はリードアクロスの段階的なアプローチを開発した。ドイツでムシモール含有製品による中毒事例が数件報告されており、当局が注意喚起を行っている。

注目記事

【EFSA】食品および飼料における化学物質の安全性評価のためのリードアクロスの使用に関するガイダンス

 ECからの依頼を受けEFSAの科学委員会は、食品および飼料のリスク評価において、リスク評価者と申請者がリードアクロス(read-across)を使用するための段階的なアプローチを開発し、そのガイダンスを発表した。

 リードアクロスは、「類似した化学物質は類似の特性を持つ傾向がある」という考え方に基づき、データが不足しているまたは欠如している評価の対象物質について、構造的・メカニズム的に類似しておりデータが豊富にあるソース物質(source substances)のデータを用いて毒性学的な特性を予測するという構造活性相関の概念を取り入れた方法である。EFSAは、リードアクロスは単独でリスク評価の代替として利用できるものではないが、リスク評価にとって不可欠な要素であるハザード評価に必要となる有用な根拠を提供できる(データギャップを補完できる)手段であることに留意すべきであるとしている。

 このアプローチは欧州化学品庁(ECHA)や経済協力開発機構(OECD)のガイダンスをベースにしており、本ガイダンスにはリードアクロスのワークフローの各ステップ、1)問題の定式化、2)対象物質の特性評価、3)ソース物質の特定、4)ソース物質の評価、5)データギャップの補完、6)不確実性の評価、そして結論および報告で考慮すべき重要な事項の説明が含まれている。その中で、初期段階で不確実性の許容レベルを設定し、全体的な不確実性をその許容レベル内に抑えられるかどうか、どのように抑えられるかについても議論するとともに、「新たなアプローチ方法論(New Approach Methodologies: NAMs)」の利用に関するガイダンスも提供している。

【BfR】ベニテングタケ毒:ムシモールを含む「フルーツグミ」の健康上のリスク——子供はとくにリスクが高い

 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、ベニテングタケの毒素であるムシモールを含むフルーツグミに似た製品が販売されているとして注意を喚起した。ドイツ中毒情報センターによると、ムシモール含有製品による中毒事例が数件報告されており、主な患者は娯楽目的で製品を摂取した青年および成人であり、一部は昏睡状態を含む意識障害、錯乱、興奮状態など重大な健康影響であった。フルーツグミやクマの形をしたグミの製品のほか、ブラウニーや棒付きキャンディなど、一般的な食品と間違える可能性のある製品も報告されている。

 これらの製品は、子供が菓子と間違えやすく、娯楽目的で摂取する大人よりも大量に摂取する可能性があるため、特にリスクがあると指摘している。

【MFDS】食薬処、食品添加物の分類体系を改定する

 韓国食品医薬品安全処(MFDS)は、「食品添加物の基準および規格」の全面的な改正案を7月22日に行政予告した。本改正案には、食品添加物の用途に応じて分類体系を「一般食品添加物・加工補助剤・栄養強化剤」に細分化すること、一部の栄養強化剤の適用拡大、変性ホップ抽出物のノンアルコールビールへの適用拡大、酵素剤(39品目)の成分規格の改訂と分類の明確化などの内容が含まれている。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【WHO】

1. 出版物

2. 国際がん研究機関(IARC)

【EC】

1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. 食品及び飼料における化学物質の安全性評価のためのリードアクロスの使用に関するガイダンス

2. 自動化ツールを用いたエビデンスの批判的評価の促進

3. 遺伝子組換え植物に新たに発現したタンパク質の安全性評価における現在の実践、課題及び将来の可能性

4. 食品添加物への慢性食事ばく露量を推定するための食品添加物摂取モデル(FAIM)バージョン3.0.0の開発

5. 食品酵素関連

【FSA】

1. 消費者調査(2025年4月〜2025年6月)

2. データ募集:食品中のアクリルアミド

3. 規制製品安全性評価

【FSS】

1. スコットランドの食の未来を形作る:FSSが2026〜31年の戦略に関するパブリックコメント募集を開始する

【DEFRA】

1. 政府は英国の食料システムを変革するために「グッドフードサイクル」を立ち上げる

【DWI】

1. 飲料水2024

【BfR】

1. 食品に含まれる過塩素酸塩由来と健康リスクについてのQ&A

2. 脳の中にマイクロプラスチック? BfRは新たな研究を評価-今のところ健康上のリスクの証拠はない

3. ベニテングタケ毒:ムシモールを含む「フルーツグミ」の健康上のリスク-子供は特にリスクが高い

【RIVM】

1. 規制目的のためのマイクロプラスチックの生態リスク評価に向けて

【FDA】

1. FDAは低温殺菌オレンジジュースの識別規格を改正する規則案を公表する

2. FDAは食品トレーサビリティ規則の遵守期限の延長を提案し、新たなFAQとその他のリソースを公表する

3. GRAS申請通知

4. リコール情報

【NTP】

1. 活動報告書「Synergistic Science」を発表

【EPA】

1. EPAはフタル酸エステルDIBP及びBBPのTSCAリスク評価案を公表し、パブリックコメントを募集

2. EPAは自然災害とサイバーセキュリティの脅威から飲料水を保護するために900万ドルの予算を発表する

【CDC】

1. 若年層と成人の超加工食品摂取量:米国、2021年8月〜2023年8月

【FSANZ】

1. 遺伝子組換え紫トマトに関する意見募集

【NZEPA】

1. NZEPAはクロルタールジメチル除草剤の禁止を求める

【香港政府ニュース】

1. プレスリリース

2. 違反情報

3. リコール情報

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 食薬処、食品添加物の分類体系を改定する

3. 健康機能食品の原料基準・規格の強化を推進

4. 向精神薬成分を含む栄養補助食品・ゼリー・飲料ミックスの国内輸入阻止措置を推進

5. かき氷・コーヒーのデリバリー飲食店など集中点検の結果、30カ所を摘発・措置

6. 鶏肉など夏場に消費量が増加する畜産物の製造・販売業者に対する検査結果、41カ所を摘発

7. 休暇シーズンの人気製品、オンライン違法・不当広告を点検

8. 回収措置

【SFA】

1. よりスマートな製造で加工食品をより安全に

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.17(2025.08.20)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202517c.pdf