国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。EFSAはサッカリンがヒトへの発がんリスクは低いと評価し、許容一日摂取量(ADI)を引き上げた。COTは食品添加物の二酸化チタン(E171)の健康リスクが低いと結論。シンガポールは食品安全法案を議会に提出し、2025年1月に再審議予定。
注目記事
【EFSA】サッカリン:許容一日摂取量の引き上げ
欧州食品安全機関(EFSA)が食品添加物として使用されるサッカリンおよびそのナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩を対象にした再評価に関する科学的意見を発表した。前回の評価は1995年に当時の食品科学委員会により実施され、ラット試験で観察された膀胱腫瘍の発生率の増加に基づき許容一日摂取量(ADI)が5mg/kg体重/日(サッカリンナトリウムとして)と設定された。しかし現在では、その膀胱腫瘍は雄ラットに特有のものでヒトには関連しないという科学的合意がなされている。今回の再評価においてEFSAは、サッカリンはDNA損傷を誘発せず、ヒトでの発がんリスクに関連する可能性は低いと結論するとともに、ラットの体重減少をエンドポイントにADIを9mg/kg体重/日(サッカリン遊離イミドとして)と設定した。消費者における暴露量は、新たに導出したADI未満であり健康リスクはないとしている。
※ポイント:EUでは委員会規則(EU)No257/2010のもと、2009年1月20日以前に認可された食品添加物についてEFSAが再評価することが定められています。甘味料もその対象で、アスパルテーム(2013年)、ソーマチン(2021年)、ネオヘスペリジンDC(2022年)、エリスリトール(2023年)に次いでサッカリンの再評価が実施されました。
【COT】食品添加物としての二酸化チタン(E171)の安全性に関する声明
英国毒性委員会(COT)が、食品添加物としての二酸化チタン(TiO2;E171)の安全性に関する声明の最終版を公表した。COTは食品グレードのTiO2(E171)のヒトでの吸収は非常に少ないとの考えを示した。また、英国変異原性委員会(COM)が食品グレードのTiO2(E171)による遺伝毒性のリスクは低いという結論を報告しており、COTはその結論に同意している。COTは、TiO2の健康影響に基づく指標値(HBGV)として10mg/kg体重/日を設定し、英国の全ての集団における平均的な推定食事暴露量はHBGVを下回るか、非常に近い値だと結論した。COTは、英国における現在の食事を介したTiO2(E171)への暴露にヒトの健康へのリスクはありそうにないと結論している。
※ポイント:食品添加物としてのTiO2については、昨年にFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が遺伝毒性について説得力のある根拠は提供されていないと結論しており、COTも同様の結論となっています。現時点で食品添加物としてのTiO2について遺伝毒性を排除できず安全上の懸念があると結論しているのはEFSAのみとなります。
【SFA】食品安全および安全保障法案の導入
シンガポール持続可能性・環境省は、食品安全および安全保障法案(Food Safety and Security Bill: FSSB)を議会へ第一次審議のために提出した。今後、議会は2025年1月の第二次審議で法案を検討する予定である。
※ポイント:食品関連の既存の法律が統合され、食品安全と食料安全保障を強化するために大幅に改訂されています。まだ法案ですが、全文が公開されていますので、シンガポールとの食品貿易に関わる方は今からフォローしておくとよいと思います。
(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)
目次
【WHO】
1. 出版物
【FAO】
1. 不健康な食事パターンが、世界の農業食料システムに年間8兆ドルの隠れたコストをもたらす
2. ココア、コーヒー、紅茶が、裕福な国の世界的な食料輸入額を押し上げる
3. FAO、SPS委員会の新興リスクと農業新技術に関するセッションに出席
4. Codex
【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【ECHA】
1. ECHA、有害化学物質1種を候補リストに追加
【EFSA】
1. サッカリン:許容一日摂取量の引き上げ
2. 食品及び飼料のリスク評価における新規タンパク質の評価を支援する技術的工程の調査
3. 食品酵素関連
4. 健康強調表示関連
5. 遺伝子組換え関連
6. 農薬関連
【FSA】
1. ピーナッツが混入したマスタード原料の調査の終わりが見え、アレルギーに関する助言が解除される
【DEFRA】
1. 小麦粉の葉酸強化で先天性欠損症が予防される
【COT】
1. 食品添加物としての二酸化チタン(E171)の安全性に関する声明
2. 母親の食事におけるラズベリーリーフ茶の健康影響の可能性に関する声明
【FSAI】
1. FSAI、ピーナッツアレルギーの消費者への注意喚起を解除
【BfR】
1. リスク評価:食品安全向上のための大切な要素
【Ruokavirasto】
1. 更新されたオイバ報告書を見る
【FDA】
1. 疾病調査:Diamond Shruumz ブランドの Microdosing Chocolate Bars(2024年6月)
2. FDAが任意適格輸入業者プログラム(VQIP)のガイダンスを更新する
3. 次のパンデミックへの備え:学んだ教訓と今後の道筋
4. FDA In Your Day:リコールに関する詳細情報
5. 警告文書
【EPA】
1. EPA、絶滅危惧種に対するジノテフランとアセタミプリドの影響に関する生物学的評価の最終版を発表
【FSANZ】
1. 食品基準通知
【NZEPA】
1. ニュージーランドEPAは農作物用殺虫剤の禁止について意見を求める
【香港政府ニュース】
1. プレスリリース
2. 違反情報
【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処、食医薬消費者監視団の活動結果を発表
3. 勉強ができる薬? 集中力向上栄養剤? オンライン不当広告・違法販売に注意してください
4. 食品安全国で食品安全クイズを解いてみてください
5. リコール情報
【SFA】
1. 食品安全及び安全保障法案の導入
2. プレスリリース
【その他】
・ProMED-mail2件
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.24(2024.11.27)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202424c.pdf