EUがトランス脂肪に上限設定

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.10(2019.05.15)を発表した。

注目記事

【WHO】脂肪、油、食品およびフードサービス業界は2023年までに加工食品から工業由来トランス脂肪を排除する世界的な努力に協力すべき

2018年5月に世界保健機関(WHO)が発表した工業的に生産されたトランス脂肪の段階的な排除のための行動計画「REPLACE」を達成するために、フードサービス業界も含めて、脂肪、油、食品業界が取り組むべき行動に関するWHO事務局長の声明を発表した。

1)工業的に生産されるトランス脂肪を排除するために食品を見直す、2)トランス脂肪含有量を表示する、3)飽和脂肪が少なくより健康的な油脂の供給を増やす、4)企業が行う取り組みを独立的に評価する。

【EU】食品中トランス脂肪

2019年4月24日、次のような食品中のトランス脂肪に関する委員会規制(EU)2019/649が採択された。(規則(EC)No 1925/2006のAnnex IIIのPartBが改訂される)

  • 動物脂肪に天然に存在するものを除き、消費者に提供されるおよび小売りされる食品に含まれるトランス脂肪は脂肪100gあたり2gを超えてはならない
  • 遵守期限は2021年4月1日

※ポイント:WHOが政府向けに「REPLACE」を発表してからちょうど1年が経過したところで、業界向けに勧告が出されました。

食品に含まれるトランス脂肪を低減化するための管理措置は、主に北米が採用した「部分水素添加油の使用禁止」と、EUの「上限値の設定」という2つの流れがあります。EU加盟国の中には以前から自国で基準値を設定していた国もありましたが、今回、規則となったので全加盟国の義務となります。

【FDA】FDA規制問題担当副長官Melinda K. Plaisier 氏による、自主的リコールを開始する行程を強化するためのFDAの新しい取り組みに関する声明

米国食品医薬品局(FDA)が、自主的リコールが適切かつ迅速に開始されるようにするために、準備、計画および作業方法に関する明確な情報を提供し事業者を支援するガイダンス案を公表した。このガイダンス案には、「訓練」「記録管理」「手順書」の3つの主要分野に関する勧告が含まれる。

【FDA】FDAは乳児用調製乳および/または母乳に使用する食品接触物質に関するガイダンスを発表

FDAはすべての容器包装材について流通前に安全性を評価する。2002年にFDAは食品接触物質の安全性評価に関するガイダンス(毒性学的な推奨事項)を発表していたが、以前のガイダンスでは乳児用の容器包装からの移行物質の暴露や安全性評価について特別な説明は行っていなかった。

本ガイダンスはその不足を埋めるものとして、乳児用調製乳および/または母乳と接触する食品接触物質に関する安全性をどのように評価すればよいのかについて特別な助言を提供している。より影響を受けやすい可能性がある出生から生後6カ月の乳児のみに焦点を当てている。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.10(2019.05.15)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201910c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 脂肪、油、食品およびフードサービス業界は2023年までに加工食品から工業由来トランス脂肪を排除する世界的な努力に協力すべき
2. 新しい報告書は抗菌剤耐性危機を回避するために緊急対応を要請

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. 食品中トランス脂肪
2. 新規食品申請の要約追加
3. 査察報告書
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 国のリスク評価活動のためのソフトウェア
2. ミツバチと農薬:関係者はガイダンスレビューに参加する
3. 物理的・化学的特性と分析法に関して一般的に繰り返し発生する問題についての農薬ピアレビュー会議の結果
4. EFSAの食品及び飼料におけるナノテクノロジーのリスク評価科学ネットワークの2018年年次報告書
5. 食品酵素関連
6. 食品と接触する物質
7. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSAは包装済み食品の直接販売の完全な成分表示の義務化を強化する

【DEFRA】
1. 食品廃棄基金:食品廃棄を減らすために400万ポンドを提供

【COT】
1. COT/COM/COC年次報告書2017

【BfR】
1. がんリスクを隠していない:BfRによる全ての専門的結論は何年も公開されている
2. 食品偽装への共同の立場
3. InnoMat.Life:新素材の安全性強化
4. ホルモン測定の実行可能性についてのBfR専門家ヒヤリング報告書:統合的ホルモンエンドポイントの毒性学的試験の実験デザインについての助言
5. EUの食品には厳しい基準がある

【RIVM】
1. CleaRはリサイクル工程で懸念となる物質のリスク評価の枠組みを提供する

【ANSES】
1. 食品添加物E171:ANSESは消費者の安全性の助言を繰り返す

【FDA】
1. FDA規制問題担当副長官Melinda K. Plaisier氏による、自主的リコールを開始する行程を強化するためのFDAの新しい取り組みに関する声明
2. よりスマートな食品安全の新時代に米国を導くための行動に関するFDA長官代理Ned Sharpless, M.D.およびFDA副長官Frank Yiannas氏による声明
3. FDAは乳児用調製乳及び/又は母乳に使用する食品接触物質に関するガイダンスを発表
4. FDAウェブサイト刷新
5. リコール情報
6. 警告文書

【NTP】
1. SOT FDA会議-食品成分、ダイエタリーサプリメント、化粧品安全性のためのIn Silico法
2. ワークショップ:がんに集中する

【NIH】
1. 医療従事者向けファクトシートに新規追加

【CFIA】
1. 規則を簡素化し、カナダのビール業界の大きな革命を可能にする

【FSANZ】
1. オーストラリアの食品安全管理基準について意見募集
2. 食品基準通知

【TGA】
1. 安全性警告

【香港政府ニュース】
1. CFSは蜂蜜に微量の抗生剤を検出する
2. 生の牛肉サンプル2つが二酸化硫黄を含むことがわかった

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.「福島水産物紛争」4年、危険性の証明に手抜き政府
3. WTO日本産輸入食品の紛争上訴判定結果及び政府立場
4. 食品医薬品安全処、輸入海洋水産物の図鑑発刊(III)-二枚貝類編
5. 合理的な機能性表示制度の導入に消費者情報提供の強化
6. 食品医薬品安全処、ネガティブ規制の切り替え本格推進
7. 製品ではなく人体を中心に有害物質を管理する
8. 食品消費トレンドの変化に伴うオンラインストア製品の安全管理方案論議
9. オンラインモール販売食品の特別点検結果、11ヶ所の摘発
10.「ナイアシン(Niacin)」含有飲料ベース製品などの特別回収検査の結果
11. 子供のおやつ、糖類が少ない製品を準備してください!
12. 食品医薬品安全処、使用禁止の殺菌保存剤含有洗浄剤の回収・廃棄
13. キムチ・醤類の伝統食品 塩分少なくしておいしく

【FSSAI】
1. 中国からの乳及び乳製品の輸入禁止に関する文書
2. 乳と乳製品についての食品の事実を正しく
3. 豆の除草剤グリホサートの検査に関する命令

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)Konzo病-コンゴ共和国:キャッサバ中毒
・(ProMED-mail)原因不明の病気 インド:致死、アルコール疑い
・(EurekAlert)食品の包装にある表示は健康についての考えで消費者を誤解させている
・(EurekAlert)購入者は地元産の農作物の質を諦めるか?