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【FSAI】食品・飲料業界向けの食品グレードの炭酸ガスが最近不足していることについて
現在、欧州で炭酸ガス(CO2 ※)不足が生じており、アイルランドの食品・飲料業界も影響を受けている。 炭酸ガスは飲料への気泡注入や、食品の保存期間を延ばすガス置換包装(MAP)に使用されている。食品や飲料に使われる炭酸ガスは「食品グレード」の規格・基準を満たしたものでなくてはならない。しかし、最近の炭酸ガスの不足は「食品グレード」の炭酸ガスの調達にも支障をきたしている。 そのためアイルランド食品安全局(FSAI)は英国食品安全庁(FSA)と協議し、と畜前のニワトリやブタの麻酔や食品のガス置換包装への使用について、特定の「非食品グレード」の炭酸ガスを暫定的に使用してもよいことにすると発表した。FSAが「非食品グレード」炭酸ガスの使用による消費者へのリスクは小さいと評価している。 ただし、代用してもよいのは純度99%以上の炭酸ガスである。 ※ポイント:炭酸ガスの大部分はアンモニア製造の副産物で、アンモニアは肥料に使われます。今回の不足は、同時期に複数の大手アンモニア工場がメンテナンスのために休業したことが影響したと報告されています。ただ、この時期のメンテナンスは肥料の需要が最も少ない季節として実施が予め決められていたもので、そこにアンモニア価格の下落で生産が落ちていたことも影響したようです。 炭酸ガスは、食品・飲料分野で広く使用されていて、アルコールを含む炭酸飲料の製造業界だけでなく、食肉業界への打撃が大きいようです。食用動物は意識をなくしてからと畜しなければならないので、それに炭酸ガスが利用されるためです。 編集部註:炭酸ガス(二酸化炭素)は空気中にも存在するが微量である。そのため、工業的に利用する炭酸ガスは、アンモニア工業、製鉄所、重油脱硫用水素プラントなどの副生ガスとして産したものを利用している。これらには製品としての規格があり、たとえば日本では食品用の炭酸ガスは食品添加物公定書などで成分規格が定められており、一酸化炭素をはじめとする各種の不純物の分析や臭気の評価試験などが行われたものが使用されている。 家畜のと畜では、通常、家畜の苦痛軽減と作業の安全のため家畜を何らかの方法で失神状態にしてから放血・致死させる。これをスタニングという。スタニングの方法としては、従来、打額法(額にハンマーを当てて失神させる)や電撃法(電気ショックを与えて失神させる)が一般に行われてきた。一方、近年炭酸ガスを用いた麻酔を行った上でと畜を行う方法が開発され、各国で普及しつつある。【FDA】FDAはEAFUS(Everything Added to Food in the U.S)リストを更新
FDAは新たに、食品に添加される物質(Substances Added to Food)リストを公開した。これは、EAFUS(Everything Added to Food in the U.S)リストの更新版である。この新しい検索可能なリストには約4,000種類の物質が収載されており、食品添加物、着色料、一般的に安全と認められる(GRAS)物質、および(1958年以前に)すでに認可された物質を含む。 ※ポイント:上記のFSAIに影響されて、ためしに「carbon dioxide」を検索してみました。結果は、CAS番号(※)、別名、用途、食品添加物/GRAS に関連した法令番号(21 CFR Parts170-186)、食品表示と基準に関連した法令番号(21 CFR Parts 100-169)が表示されました。それらは、リンクが貼ってあるものもあれば、ないものもありましたが、米国で適用される法令の番号が分かるだけでも次に何を見ればよいか手がかりを得られるので十分に役立つものと思います。 香料であれば米国食品香料製造業者協会(FEMA)番号やJECFA香料番号も表示されます。他にも業界団体からの追加情報などがあれば提示されると紹介しています。 編集部註:CAS登録番号は米国化学会(American Chemical Society)の情報部門であるCAS(Chemical Abstracts Service)が運用する化学物質データベース「CAS REGISTRY」に登録している物質に付された番号。- 参考:
- CASの登録化合物数7000万件を達成 https://www.foodwatch.jp/prs20121212002/
【EFSA】トランス脂肪酸の問題についての科学的および技術的補足
※ポイント:欧州食品安全機関(EFSA)の各パネルがトランス脂肪酸に関連してこれまで発表してきた意見・助言を統合したものです。各加盟国の推奨事項の変遷も紹介されていて参考になります。(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.14(2018.07.04)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201814c.pdf