ハワイ飲食店従業員A型肝炎

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.15(2016.07.20)を発表した。

注目記事

【ハワイ州保健局】A型肝炎でBaskin-Robbins利用者に注意喚起

 ハワイ州保健局(Hawaii State Department of Health)は、アイスクリーム専門店Baskin-RobbinsのWaikeleセンター店(オアフ島Waipahu)の従業員1人がA型肝炎ウイルスに感染していることを確認し、現在この患者の調査を行っている。

 同局は、2016年6月17日~7月3日(具体的には6月17、18、19、21、22、25、27、30日、および7月1、3日)にこの店舗で食品・飲料を喫食・喫飲した人に対し、A型肝炎ウイルスに曝露した可能性があるとして注意を呼びかけている。曝露後2週間以内にA型肝炎ワクチンまたは免疫グロブリンを投与することで発症をある程度予防できるため、ワクチン接種をまだ受けていない人は投与について医療機関に相談すべきである。

 上述の患者は、報告患者数が増え続けている既知のA型肝炎アウトブレイクの患者の1人である。このアウトブレイクでは、発生以来、2016年7月12日までに同局に報告された確定患者が計52人に上っている。患者は全員がオアフ島に居住する成人で、うち16人が入院した。同局は6月30日に全医療機関に医療勧告を発し、注意を促すとともにA型肝炎ウイルス感染の疑い患者を直ちに報告するよう要請した。

【英国食品基準庁】「食品犯罪通報窓口」を開設

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)の英国食品犯罪ユニット(NFCU:National Food Crime Unit)は、食品関連の犯罪の疑いがある場合にこれを安全・内密に電話や電子メールで報告できる「食品犯罪通報窓口(Food Crime Confidential)」を開設した。この窓口は、とくに英国の食品業界またはその周辺で働く人々に向けたものである。

 NFCU は関係当局と協力し、食品・飲料の安全性または信頼性に影響を及ぼす深刻な犯罪から消費者を守っている。

 食品犯罪には、食品の生産・供給の各段階における不正が含まれる。食品犯罪は多くの場合複雑で、消費者、企業または一般市民の利益に深刻な損害をもたらす可能性が高い。

 NFCU は、食品・飲料・動物用飼料に関わる不正の疑いについていかなる情報も受け付ける。このような情報を得ることで食品犯罪の具体例を確認してそれらに対処できるようになることに加え、不正行為を可能にする状況をより詳しく把握できるようになる。

 NFCU は、以下のような情報提供を求めている。

  • 食品または飲料が基準不適合の物質を含んでいる。
  • 職場で食品の生産・加工・保存・ラベル表示・輸送に使用されている方法が完全に適正であるとは考えられない。
  • 食品や飲料に表示されている品質または原産地が事実とは異なると考えられる。

 NFCU は、雇用者またはその関係者に関する疑惑を報告することは大変な重荷であるということを認識している。このため、提供された情報は専門家によって注意深く取り扱われる。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.15(2016.07.20)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2016/foodinfo201615m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 米国食品医薬品局(US FDA)の全米抗菌剤耐性モニタリングシステム(NARMS)部門が発表した小売り食肉由来のサルモネラ分離株に関する中間報告書によれば数年来の改善傾向が持続している:全ゲノムシークエンシング(WGS)データも初めて収載

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. Wonderful Pistachios 社製のピスタチオに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Montevideo およびS. Senftenberg)感染アウトブレイク(最終更新)

【ハワイ州保健局(Hawaii State Department of Health)】
1. 飲食店従業員のA型肝炎ウイルス感染が確認されたためハワイ州保健局がワクチン接種を呼びかけ

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【Eurosurveillance】
1. オランダの散発性リステリア症のリスク因子(2008~2013年)

【イングランド公衆衛生局(UK PHE)】
1. 大腸菌 O157 アウトブレイクの調査を継続中(2016年7月5日付更新情報)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国食品犯罪ユニットが「食品犯罪通報窓口」を開設
2. リステリア症に関するガイダンスを発表