ICPOの作戦過去最大成果

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.08(2016.04.13)を発表した。

注目記事

【FDA】FDAは乳児用コメシリアルの無機ヒ素規制値を提案

米国食品医薬品局(FDA)が、乳児における無機ヒ素の暴露量を減らすための取り組みの一つとして、主な暴露源である乳児用コメシリアルについて無機ヒ素の規制値あるいは「アクションレベル」として100ppbを提案した。

現在市販されている乳児用コメシリアルの多くはこの基準を満たすか、あるいは近い値である。提案された値は、これまでFDAが実施したコメおよびコメ以外の食品に関する広範な検査結果、無機ヒ素暴露と健康影響の関連に関するFDAのリスク評価、基準値を設定することによるリスク低減の可能性と実行可能性の評価に基づいている。

今回の規制値提案に合わせ、FDAはコメおよびコメ製品中の無機ヒ素に関するさまざまな情報を提供している。同時に、企業向けガイダンス案も公表した。

※ポイント:先にEUが乳幼児用のコメおよびコメ製品について同じ100ppbという最大基準値を設定していますが、今回のFDAは乳児用コメシリアルのみを対象にしています。FDAが今回の発表とともにとくに強調して勧めているのは、これまでと同様、1つの食品を食べ続けるのではなく広くさまざまな食品を食べることです。

【RIVM】オランダの3-MCPDへの食事暴露の予備的評価

精製植物性油脂、とくにパーム油の製造時(脱臭段階)に、3-MCPD(3-モノクロロプロパン-1,2-ジオール)と呼ばれる腎臓に害のある可能性のある製造副生成物が生じる。この化合物を多く含む可能性のある食品は、マーガリン、ソース、コーヒークリーム、ベーカリー製品である。国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は2〜69歳のオランダ国民における3-MCPD(遊離型/エステル型の両方)の食事由来暴露を計算し、リスク評価を行った。

※ポイント:これまでは、醤油における遊離型3-MCPDが問題になっていましたが、今回の評価ではエステル型も含めて評価しているところが新しい点です。2017年11月の第83回JECFA会合でも3-MCPDエステルの評価が行われる予定になっているので、この時期にRIVMの評価書が公表されたのは大きな意味があります。

【FDA】FDAは安全上の懸念から豚用医薬品カルバドックスの認可を取り下げるための手続きを行う

FDAの動物用医薬品センター(CVM)は豚の治療用のカルバドックスの使用認可について取り下げることを決定した。今後、30日間の製造業者からの意見募集を行った後に最終決定する。

【ICPO】INTERPOL-Europol作戦でニセの食品や飲料の過去最大の押収

国際刑事警察機構(ICPO)と欧州警察組織の協力した57ヶ国に渡る作戦で1万トンと100万リットル以上のニセの食品と飲料が押収された。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.08(2016.04.13)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2016/foodinfo201608c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC):モノグラフ会合の予定

【ICPO】
1. INTERPOL-Europol作戦でニセの食品や飲料の過去最大の押収

【EC】
1. 世界保健デー:健康食品安全コミッショナーVytenis Andriukaitisは糖尿病予防の可能性を強調する
2. 食品獣医局(FVO)査察報告書:イスラエル、オーストラリア、リトアニア、ペルー
3. 食品および飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 将来の食品安全上の重要課題を同定する研究
2. ゼアラレノンとその代謝物の健康影響に基づくグループ指標値を設定することの妥当性
3. 食品添加物関連
4. 新規食品成分関連
5. 飼料添加物関連
6. 遺伝子組換え関連

【FSA】
1. FSAは2015年10月から12月の事故リストを発表

【BfR】
1. BfRシンポジウム-食品や飼料としての昆虫-将来の食糧?

【RIVM】
1. PFOA排出のリスク評価:場所: Dupont/Chemours, ドルドレヒト, オランダ
2. オランダの3-MCPDへの食事暴露の予備的評価

【ANSES】
1. 食品の栄養分類システム:SENSと5C(ライナースコアに基づく)の比較

【FDA】
1. FDAは乳児用コメシリアルの無機ヒ素規制値を提案
2. FDAは輸送時の食品安全を確保するための最終規則を発表
3. FDAは安全上の懸念から豚用医薬品カルバドックスの認可を取り下げるための手続きを行う
4. リコール
5. 公示
6. 警告文書

【FSANZ】
1. 科学戦略2015 – 2019

【TGA】
1.(消費者向け情報)減量:オンラインで規制されていない製品を買うのは注意
2. 意見募集:2016年7月の毒物基準改定案(医薬品)
3. 安全性助言

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 説明資料(韓国日報が報じた「世界初の新素材を開発したら・・・、“先進国の事例を提出すれば許可”」の記事に関連する)
3. 貝類毒素発生および検査現状
4. 海外ネット販売製品を購入する際に注意
5. 子供・青少年約2人に1人(46.3%)は糖類の過剰摂取
6. 2015年、食品異物の原因調査分析の結果
7. 残留農薬基準を超過して検出された輸入「グラビオラ乾燥葉」の回収・廃棄措置

【FSSAI】
1. 麺類やパスタの調味料の風味増強剤としてのグルタミン酸ナトリウムの使用について明確にする
2. 栄養補助食品、食品サプリメント、健康サプリメントに対する法的措置

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)フリントの土壌中の鉛がもう一つの既知の要因
・(EurekAlert)禁止されたEU農薬はミツバチの学習に影響するがマルハナバチには影響しない
・(ProMED-mail)鉛中毒、犬 米国:(ミシガン)
・(ProMED-mail)鉛麻痺性貝毒中毒/赤潮 米国:(ワシントン)警告
・(米国小児科学会)あなたの赤ちゃんの食事のヒ素を減らすためのtips