DNPを含むサプリは致死的

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.17(2015.08.19)を発表した。

注目記事

【BfR】BfRはグリホサートについてのIARCモノグラフをレビューしている

2015年7月29日にIARCモノグラフ(Volume 112)としてグリホサート評価の完全報告書が公式に発表されたことを受けて、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、評価の概要がLancet Oncologyに短報として発表された時点では検討されなかった参考文献や評価の知見、質の問題や方法論についてモノグラフをレビューしている。

農薬有効成分認可の枠組みでグリホサートの報告国であるドイツは、その知見をEFSAとECHAに報告する。WHOもIARCとJMPRの評価の違いの理由を同定するための臨時専門委員会を設立している。

※ポイント:IARCモノグラフが公表され評価の全容が明らかになったことを受けて、EUでのグリホサート評価の準備を担当したドイツ(最終評価はEFSA)が改めてコメントを出しました。今後は、EFSAがIARCによる知見を含めたレビューを報告する予定です。

また、WHOでは臨時で専門家委員会を設置しており、IARC 112でGroup 2Aに分類されたグリホサート、マラチオン、ダイアジノンの評価内容についてこれまでのJMPR評価との比較を行った上で、JMPRで対応が必要であるかを決定するとしています。

例年通り今年も9月にJMPRが開催されるので、その際に何らかの動きがあると思われます。

※編集部註:モノグラフ=特定の分野について総合的に記述する学術論文。

【BfR】ジニトロフェノール(DNP)を含むダイエタリーサプリメントは深刻な中毒や死に至る恐れさえある

英国の女性がDNPを含むダイエタリーサプリメントを摂取して死亡した事件を受けて、BfRはDNPを含む製品について改めて警告した。DNPはダイエタリーサプリメントや痩身用(いわゆる脂肪燃焼用)の製品に違法に添加されている工業化学物質である。とくにボディビル界の人々はこの種の製品の重要なターゲット集団となっている。

BfRは今日までに5例のDNP中毒を報告されており、そのうち3例は致死的であった。医学文献では致死経口投与量はジニトロフェノール1~3gとされている。脂溶性のため体内に蓄積すると考えられ、少量の反復摂取も深刻な命にかかわる影響を与える可能性があると指摘する。

※ポイント:DNPによる健康被害は10年以上前からありますが、製品のインターネット販売はなくならず、健康被害も未だに報告されています。製品の中にはDNP添加が表示されていないものもあり、消費者がDNPの存在を認知出来ないという悪質なケースもあるようです。今回の英国での事件を受けて、韓国食品医薬品安全処(MFDS)からも注意喚起が出されています。

【FSSAI】プレスリリース(インドでのマギーヌードル事件について)

インドで販売されたマギーヌードルから鉛が検出されたとの事件について、インド食品安全基準局(FSSAI)がプレスリリースを公表した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.17(2015.08.19)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2015/foodinfo201517c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. コーデックス委員会:新しいコーデックス基準オンライン

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、英国、ペルー/ボリビア、ギリシャ、バングラデシュ、オーストリア、フェロー諸島
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品と飼料中の残留農薬に関する報告データ
2. FERAガイダンスの提案に関する声明:「規制評価で農薬の経年吸着研究をどのように行い、分析し、使用するべきかに関するガイダンス」(FERA, 2012)
3. 田畑周辺地表水の堆積物中生物への農薬の影響評価に関する科学的意見
4. 食品添加物としてのポリオキシエチレン ソルビタン モノラウレート(E 432)、ポリオキシエチレン ソルビタン モノオレエート(E 433)、ポリオキシエチレン ソルビタン モノパルミテート(E 434)、ポリオキシエチレン ソルビタン モノステアラート(E 435)、ポリオキシエチレン ソルビタン トリステアレート(E 436)の再評価に関する科学的意見
5. 使用状況に応じた抽出溶媒としてのジメチルエーテル利用の安全性と最大残留値案に関する科学的意見
6. 健康強調表示関連
7. 新規食品成分関連
8. 食品と接触する物質関連
9. 遺伝子組換え関連
10. 香料グループ評価
11. 飼料添加物関連
12. リンの食事摂取基準に関する科学的意見
13. マグネシウムの食事摂取基準に関する科学的意見
14. コーデックス残留農薬部会(CCPR)の第47回会合でのEUの見解を準備するための科学的支援

【FSA】
1. 戦略分野研究の公募

【HSE】
1. 英国の塩化ベンザルコニウム(BAC)と塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)のMRL執行

【NHS】
1. Behind the headlines:「バターは安全」で「マーガリンは危険」という主張は単純化しすぎ

【ASA】
1. ASA裁定

【BfR】
1. BfRはグリホサートについてのIARCモノグラフをレビューしている-WHO内部での方法の相違対応はいまだ進行中
2. ジニトロフェノール(DNP)を含むダイエタリーサプリメントは深刻な中毒や死に至る恐れさえある
3. 乳児用及びフォローアップミルク:プロバイオティクスの健康上の利益に根拠はない
4. 世界中からのリスク専門家のための高度訓練とネットワーク形成

【RIVM】
1. 動物実験代替法の法的障害:現在の医薬品認可のEU規制とガイドラインは法的障壁となるか

【FSAI】
1. FSAI年次報告書2014発表

【FDA】
1. 連邦判事はウィスコンシンのダイエタリーサプリメント製造業者に終局的差し止め命令
2. 公示
3. リコール情報
4. 警告文書
5. 連邦判事はアイオワのダイエタリーサプリメントメーカーIowa Select Herbsとの同意判決を承認

【EPA】
1. EPAは最もリスクの大きい農薬散布者のための基準強化を提案 / 訓練の改善と認証散布者の最低年齢規定は人々や環境を守るのに役立つだろう
2. Gold King鉱山の廃液流出事故関連

【CDC】
1. アクアリウムショップと家庭でのスナギンチャク類サンゴに関連したパリトキシン吸入暴露疑い

【FSANZ】
1. オーストラリアの安全な食品第二版
2. アレルゲン義務表示変更提案

【APVMA】
1. フェンチオンレビュー完了

【香港政府ニュース】
1. 台湾油禁止発効

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品購入時の標榜虚偽・誇大広告にだまされないよう注意を
3. ジニトロフェノール(2,4-Dinitrophenol、DNP)含有の栄養補助食品の海外購入に警告
4. 夏季多消費地域特化の農産物はすべて安全なレベル
5. 甘味料スクラロース(sucralose)について調べましょう!
6. MFDSが紹介していた記事

【HSA】
1. 家族全員向けハーブサプリメントとして宣伝されている4つの「S Lion Juice」製品がHSAの検査で勃起不全治療薬やその他の強力な化合物が含まれることがわかった

【FSSAI】
1. プレスリリース:マギーヌードルの事件

【その他】
・(ProMED-mail)Konzo病 ザンビア:キャッサバ中毒
・(ProMED-mail)有毒藻類 中国(安徽)
・(ProMED-mail)有毒藻類 英国:北ウェールズ、警告
・(ProMED-mail)有毒藻類 米国(第三報):(マサチューセッツ)
・(EurekAlert)有毒藍藻がますます国の飲料水やレクリエーション用の水への脅威となっている
・(EurekAlert)十代のビタミンD:摂りすぎないように、悪いことがおこるかもしれない
・(EurekAlert)トランス脂肪は死亡や心疾患リスクの大きいことと関連するが飽和脂肪は関連しない
・(EurekAlert)研究:2つの米国主要帯水層は天然ウランに汚染されている
・(EurekAlert)完璧な豆に向かう進歩