コーデックス委員会50周年

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.14(2013.07.10)を発表した。

注目記事

【WHO】WHO紀要:消費者の健康を守るために食品の安全と栄養保障を確保する:コーデックス委員会の50年

 WHO紀要91巻7号が公表された。その掲載内容の1つとして、コーデックス委員会設立50周年を受けて、コーデックス委員会の役割に関するエディトリアル(論説)が紹介されている。

 コーデックス委員会は、国連食糧農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)が設置した政府間組織であり、現在は186カ国(うち1つはEU)が加盟している。1963年以降、加盟国および世界全体の食品安全および栄養を改善するための多数の規格基準を設定し、ガイダンスを提供してきた、コーデックス規格は時には“貿易の基準”としての見方もあるが、その主要目的は国際的に取引される食品の安全および栄養学的品質を確保することによる消費者の健康保護である。1995年にWTO/SPS協定(Application of Sanitary and Phytosanitary Measures:衛生と植物防疫のための措置)が、加盟国に対し、自国の規制をコーデックス規格にハーモナイズするよう呼びかけたため、その後はコーデックス規格が食品安全の国際基準となっている。

※ポイント:TPP交渉合流の報に対し、食品に関連する規格基準が他国と日本では異なるために食品の安全性が脅かされるのではないかとの指摘があります。そのような議論をするにあたり、必ず押さえておかなければならないのが、この「コーデックス委員会」の存在と、そこで設定された「コーデックス規格」がWTO/SPS協定が示す国際基準に相当するということです。

 WTO(世界貿易機関)は国際貿易ルールを策定している政府間組織です。その中で食品安全と関係するルールであるSPS協定では、加盟国が自国での基準を定めるときに国際的な基準や指針、勧告がある場合には、それらを使用すべきということが決められています。その国際基準の1つがコーデックス規格です。ただし、加盟国が独自の基準を定めることも認めています。しかしながら、その場合には必ず「科学的根拠」に基づいていなければならず、もし自国の基準をコーデックス規格よりも厳しくしようとする場合には、なぜ自分たちの国は厳しくしなければならないのか科学的データを示して国際的に認められるような根拠やリスク評価結果を示す必要があります。

【BfR】食品中の硝酸および亜硝酸についてのFAQ

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が食品中の硝酸および亜硝酸についてのFAQを公表した。レタス、ロケット(ルッコラ)、ホウレンソウなどの野菜は大量の硝酸を含む。硝酸は人体あるいは野菜中で亜硝酸に変化し、体内で発がん性のあるN-ニトロソ化合物が生じる。BfRは、硝酸および亜硝酸の摂取は減らすべきであるものの、野菜を多く含む食生活によるメリットのほうが大きいため、消費者は野菜の摂取量を減らすべきではなく、多様な種類の野菜を摂取する必要があるとしている。

※ポイント:我が国での取り組みについては以下URL参照。

農林水産省:野菜中の硝酸塩に関する情報
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/syosanen/index.html

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.14(2013.07.10)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201314c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO紀要
2. 新しい国連食品安全および栄養基準は消費者にメリットとなる

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:対象10ヶ国
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 農薬とハチ:EFSAは新しいガイドラインを完了
2. ビスフェノールA:2段階パブリックコメント募集により最終採択を2014年に延長
3. 改訂された食品添加物としての使用に基づくラウロイルアルギニンエチルの詳細暴露評価
4. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSA事故年次報告書発表
2. ウマ肉:FSAの対応についての最終報告書
3. 精製油に意見募集
4. 多動と関連する色素を含まない製品リスト更新

【MHRA】
1. プレスリリース:MHRAは、糖尿病の人に危険なハーブサプリメントの宣伝に警告

【BfR】
1. 尿中グリホサート-健康上のハザードとなる量より遙かに低い
2. 食品中の硝酸と亜硝酸についてのFAQ
3. 食品中残留過塩素酸のリスク評価法についてのBfRの助言
4. 乳の摂取と2型糖尿病発症の関連の可能性についての評価

【FDA】
1. FDAは違法オンライン薬局で販売されている危険な医薬品から消費者を守るために対応
2. 警告文書(2013年6月25日、27日公表分)
3. 公示(2013年6月27日、28日公表分)

【CFIA】
1. ヘルスハザード警告:UMNITZA(ロシア語)ブランドのベビーシリアル製品にかび毒が含まれる可能性がある
1. 調味料小袋の製造業者及び輸入業者向け情報

【FSANZ】
1. Carmanらによるブタ混餌投与試験について
2. 告知

【TGA】
1. 安全性助言(2013年7月1日、2日、8日公表分)

【MPI】
1. 一次産業省のガイダンス文書の変更

【香港政府ニュース】
1. 干しエビが安全性検査に不合格
2. 台湾産乳児用ミルクが基準を満たさない

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)チョウセンアサガオ中毒 イタリア
・(EurekAlert)コーラとハチミツ:心拍を障害する食品の謎を探る
・(EurekAlert)経口摂取したナノ粒子の毒性